◆ 10/23 月 夕刊
クマ育て32年、探る共生の道 かまれて大けがも、教訓胸に最期まで
経済重点「還元策、早急に」 首相所信表明
ガザ入ったイスラエル兵が死亡
首相、2補選「真摯に受け止め」
素粒子
首相に見えていたのは、低い支持率、「増税メガネ」との揶揄(やゆ)、厳しい選挙情勢と目先のことばかり。急きょ減税をぶち上げてはみたものの。
◎
やっとの1勝1敗。この先待ちうける負担増と、膨大な借金を抱える国の将来が見える有権者の目はごまかせず。
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先月メガネの具合をみてもらった首相。広く遠くまで見通せるよう、ぜひ再調整を。
◆10/24 火 霜降 朝刊
グーグル、独禁法違反疑い 検索アプリ、スマホ搭載要求 公取委審査
首相「税収増を還元」 「経済」3回連呼 所信表明
ガザの緊張、波及 ヨルダン川西岸
米「侵攻延期を」 イスラエルに要求 米メディア
折々のことば:2889 鷲田清一
人間はたえず非人間化される危険のなかに生きている
(オルテガ・イ・ガセット)
(天声人語)ザックバランにズケズケと
首相が自分の思ったことをザックバランにズケズケ言うのは大変よろしい――。66年前の小欄は歯切れよく、そう書きはじめている。ときの首相はと言えば、在職65日の短さで辞任しながら、没後50年のことし、とみに注目を集める石橋湛山である▼▼▼▼▼空々漠々とした文字の羅列はもう結構だ。首相は何をしたいのか。政治家としての本気がザックバランに伝わる言葉が欲しい。「最もつまらないタイプは、自分の考えを持たない政治家だ」。石橋は晩年、そんな名言も残している。
◆ 10/24 火 夕刊
カプセルに詰めた夢、羽ばたく 黒川建築「中銀タワー」解体後、居室がアートに
王毅氏が訪米へ、米中会談準備か
ガソリン補助、4月末まで延長
IAEA、処理水巡り聞き取り
素粒子
私家版定義集(か行)から
ググる 圧倒的な力を背景に特別扱いを求め、さらに力を増すこと。米欧でも横行。
◎
月曜 前週金曜に策定した演説や訓示は「三日おくれの便り」になるので要注意。本人は高揚、周囲は冷ややか。
◎
口頭伝承 マニュアル重視の世間に抗し、文書抜きで事を進める手法。一部製薬会社の不正の温床。霞が関でも。
◆ 10/25 水 朝刊
定額減税、1人年4万円 非課税世帯、給付7万円 1年限定、来夏めざす 政府調整
中国、李国防相を解任 就任半年、外相に続き 装備品購入めぐり疑惑報道
(アメリカ大統領選2024 覇者の焦り)脱・中国へ、「廃山」復活 レアアース、国内採掘を再開
折々のことば:2890 鷲田清一
定年後が退屈になる原因の一つは、「失敗」する機会がないことだ。
(外山滋比古)
(天声人語)万博の混乱、責任はどこに
ピカソの代表作のひとつ「ゲルニカ」は、1937年のパリ万博の展示のために描かれた。ただ、絵の完成は開幕に間に合っていない。スペイン館の入り口に置かれたのは万博が始まってから約1カ月後だった▼▼▼▼▼大阪府も市も国も経済界も、いったん立ち止まり、よく話し合われてはいかがか。思い切り簡素化する選択もある。延期論も出ている。後世へのイメージが「負担増」や「無責任」となれば、開催の意義さえ色褪(あ)せる。
◆ 10/25 水 夕刊
叫べ!声出せ!熱くなれ! 東大応援部リーダー、異色の「文化系」留学生が一員に
米国務長官、戦闘の一時停止要求 イスラエル・パレスチナ情勢
イスラエル「事務総長は辞任を」
障害福祉事業所、職員充足率5割
素粒子
〈強国の我慾(がよく)のみがいたずらに醜い跳梁(ちょうりょう)をほしいままにした〉。中野好夫は著書「アラビアのロレンス」で第1次大戦後の列強をそう評した。
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今に至る混迷の源。地域に深刻な対立を生み、新旧様々な我慾が交錯するなか、罪なき人々の命が失われ続けた。
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殺すな。中東を思い、ロシアの侵攻から20カ月のウクライナを思い、繰り返し叫ぶ秋。 https://www.msn.com/ja-jp/feed
◆ 10/26 木 朝刊
「性別変更に手術必要」は違憲 生殖不能にする要件、無効 最高裁決定、全員一致
国連総長「人道的停戦」訴え イスラエル側、猛反発
人影なく イスラエル南部
折々のことば:2891 鷲田清一
「すぐ気ぃついてたら、よかったんですけど」
(スーパーマーケットの店員〈京都〉)
(天声人語)町田ゼルビアのJ1昇格
東京とは何だろう。地元とは何か。そんなことを考えさせてくれるエピソードを、『ちびまる子ちゃん』の作者、さくらももこさんが、自らの10代を描いた漫画『ひとりずもう』に記している▼▼▼▼ももちゃんは町田に行った翌日、原宿にも連れて行ってもらう。でも、なぜかつまらない。静岡に帰って、一人つぶやく。「東京って何がそんなに面白いんだろう」。東京は、いや、町田は、地元のよさを教えてくれる街である。
◆ 10/26 木 夕刊
骨髄バンク、ドナーもっと 55歳が年齢制限、4割10年以内に 若者への呼びかけ強化
江東区長辞職へ 区長選巡り家宅捜索
東京市場、1年ぶり1ドル150円台
米の「戦闘中断」案、中ロ拒否権 ハマスとイスラエルの軍事衝突
素粒子
昨日の大法廷決定を読む。全員一致の「違憲」に納得。だがなぜもう一歩踏み込めぬ。
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法律のおかしさを何年もかけて訴えてきたのに、まだ審理が足りないと決着は先延ばし。本人の悲嘆いかばかりか。
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憲法13条 すべて国民は、個人として尊重される――。この簡潔な、しかし重い一文が真に息づく社会へ。今回の違憲判断を手に、粘り強く。
◆ 10/27 金 朝刊
(巌より 袴田さん、獄中からの手紙:上)神さま、僕は犯人ではありません きょう再審開始
定額減税、首相が指示 与党に 来年6月から方針
ガザ、死者7千人に イスラエル、限定的越境作戦
折々のことば:2892 鷲田清一
考えてみりゃあ、年なんかどうでもいいんだ。生きものには、生きるか死んでるかの二種類しかないんだ。 (水木しげる)
(天声人語)ガザの子どもたちの死
自らが信じる「正義」のためならば、不正義を行ってもいいのだろうか。もしも、そうだとしても、悪を打ち倒すための不正義はどこまで許されるのか。幾多の先人が考えた普遍的な問いがいま、脳裏にこびりつき、離れない▼▼▼▼▼ハマスに襲撃されたイスラエルの住民が本紙に語っていた。「戦争はしたくない。生きていたいだけ」。そんな幾つもの言葉を重く受け止めながら、強く思う。停戦をすべきだ。いますぐに。
◆10/27 金 夕刊
袴田さん再審始まる 姉・秀子さん初公判出廷「巌に真の自由を」 検察側は有罪立証の方針、審理来春まで
李克強・中国前首相、心臓病で死去
「人道回廊や戦闘中断を」EU合意 ガザ
衆院予算委、基本的質疑始まる
素粒子
袴田巌さんのやり直し裁判始まる。長期の拘禁で心を病んだ本人の姿は法廷になく。
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精神科医で多くの死刑囚と面接・交流した作家の故加賀乙彦さんは書く。〈彼らは拘禁ノイローゼになってやっと耐えるほどのひどい恐怖と精神の苦痛を強いられている〉
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死刑囚として33年、逮捕から数えると47年を超す獄中生活。1万枚の手紙に涙する。
◆10/28 土 朝刊
「真の自由を」訴え 袴田さん再審、姉が無罪主張 判決は来春以降に
防衛増税「景気踏まえ判断」 首相、来年度は見送り表明 衆院予算委
ガザに連続越境攻撃 米はイラン関連施設空爆
李克強中国前首相、死去 3月に退任、心臓発作 68歳
折々のことば:2893 鷲田清一
完璧な国などありません。早く間違いに気がついて、自分の力で乗り越えていくことにしか未来はない (井上ひさし)
(天声人語)李克強氏の突然の死去
朝日新聞が、中国東北地方の瀋陽に取材拠点を設けたのは、2006年の春のことである。駐在記者として赴任した私は、そのころ地元トップの書記を務めていた李克強(リーコーチアン)氏と、何度か身近に接する機会があった。早口で、歯切れのよい話し方をしていたのを思い出す▼▼▼▼▼突然の訃報(ふほう)に世界は驚き、様々な臆測も流れる。外相や国防相が急に姿を消してしまうぐらいだから、それも仕方ないことか。何とも言えぬ暗さを感じる中国のいまを思うと、寂寥(せきりょう)の念を覚えて止(や)まない。
◆ 10/28 土 be 朝刊
(フロントランナー)インテリアデザイナー・吉田恵美さん 人生を詰めた唯一無二の家
◆ 10/28 土 夕刊
記憶の付箋、刻む梨泰院 追悼、後悔、近況報告―10万枚を保存 事故あす1年
ガザ越境、衝突激化 全ての通信途絶か
素粒子
万博の黄信号深まる10月。
「責任といわれても」。経費膨張の質問に苦笑いで答えた協会事務総長は元中小企業庁長官。常に責任と向き合っている中小経営者はどう聞く?
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「オールジャパンで」。例によって響かぬ首相の言葉。
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「中止になってしもたんや」と大阪府の生成AIキャラクター大ちゃん。「10歳の話す柴犬(しばいぬ)」には見える万博の未来。
◆ 10/29日 日 朝刊
ガザ、越境攻撃激化 空爆150カ所、通信断絶 国連「人道的休戦」決議
(ひらく 日本の大学)命名権売却、物価高に一策 朝日新聞・河合塾共同調査
朝に染まる 青森・蔦沼の紅葉
折々のことば:2894 鷲田清一
人に聞(きこ)えないほどの微(かす)かな鼻声で唄(うた)っていても、自分では技巧の妙を味わい尽(つく)すことが出来、三昧境(さんまいきょう)に這入(はい)れる (谷崎潤一郎)
(天声人語)読書週間に
「本の虫」がいるとして、一番騒ぎ出すのは、いつどんな場面だろう。新たな挑戦に一歩を踏み出した春先の教室か。何でも吸収できそうな気分になる。冷房の利いた夏の電車内も捨てがたい。朝日歌壇の1首がかつて詠んでいる▼▼▼▼▼「書物を買いもとめるのは結構なことであろう。ただしついでにそれを読む時間も、買いもとめることができればである」。やられた。まったく悩ましく、そして楽しいものである。読書というやつは。