ジャガイモは地下のの部分(塊茎)を食用にする。加熱調理して食べられる他に、デンプン原料としても利用される。比較的保存が効く食材であるが、暗くても温度の高い所に保存すると発芽しやすいため、涼しい場所での保管が望ましい。芽や緑化した塊茎には性成分ポテトグリコアルカロイド(ソラニンなど)が多く含まれ、中毒の元になる。

ジャガイモの原産は南米アンデス山脈の高地といわれる。16世紀には、スペイン人によりヨーロッパにもたらされた。この時、運搬中の船内で芽が出たものを食べて、毒にあたったため「悪魔の植物」と呼ばれた。日本には、1600年頃にオランダ船によりジャカルタ港から運ばれた。「ジャカルタから来たいも」として「じゃがたらいも」、さらに「じゃがいも」と呼ばれるようになったという説がある[3]

日本では当時は観賞用として栽培されたという。

日本では北海道が最大の生産地で、春に植え付けて夏の終わりから秋にかけて収穫される。北海道に次ぐ大産地である九州長崎県では、秋に植え付けて冬に収穫するのに加えて、冬に植え付けて春に収穫する二期作が行われる。

名称[編集]

日本では呼び名も様々である[4]。これは、「」というとたいていの人がジャガイモ、サツマイモサトイモのいずれかを思い浮かべるほどに人気な食材であることを反映したものともいえる。

「ジャガイモ」という呼び名[5]について、「じゃが」とは、ジャワのジャガトラ(ジャカルタ)からオランダ造船によって伝播したことに因む。これが変化して現在のジャガイモという呼び名になった[6]。ただし異説もあり、ジャワ島の芋の意味のジャワイモが変化したもの[7]天保の大飢饉でジャガイモのおかげで餓死を免れたことから呼称された「御助芋」が転じたもの[7]などともされる。

「馬鈴薯」(ばれいしょ)という呼び名[8]もよく用いられる[9]。これは中国での呼び名の一つと漢字が同じで、中国語で読むとマーリンシュー(ピン音 mǎlíngshǔ)となる。18世紀に日本人の小野蘭山『耋筵小牘』(1807年)が命名したといわれているが、中国名をそのまま輸入したものなのか、新しく付けた名前がたまたま中国名と同じだったのか、それとも蘭山の命名が中国に伝わったのかは明らかではない。一説には、ジャガイモの形が馬につける鈴に似ているということから、この名前になったという[6]。また、「マレーの芋」という意味からこの名前が付けられたという説もある。なお、中国では他に「土豆」(トゥードウ)、「洋芋」(ヤンユー)、「薯仔」(シューザイ)などの呼び方もある。なお、日本の行政では馬鈴薯と呼んでいる[9]

英語potatoの語源は、タイノ族の言葉でサツマイモを意味するbatataスペイン語patataに変化したものによる[10]。なお、ジャガイモの原産地で古くから使われている言語の一つであるケチュア語ではpapaというが、この単語はそのまま中南米スペイン語で使われている。スペイン語でbatatapatataに変化したのはこのpapaの影響であると考えられている[11]Papaローマ教皇を意味する単語と同じであったため、これを忌避してPatataに変遷したともいわれる[12]