5/21 日 朝刊
G7「核軍縮の努力強化」 ウクライナ支援は継続確認 首脳声明
ゼレンスキー氏、広島に インド・ブラジルと対面外交
アラブ首脳会議、シリア本格復帰 アサド大統領が出席
折々のことば:2738 鷲田清一
重要なのは、身体に備わっているあらゆる感覚を遠い音に耳を澄ますようにして開いていくことです。
(光嶋〈こうしま〉裕介)
(天声人語)ゼレンスキー氏の広島訪問
あの原爆はいったい、どこに落ちたのだろうか――。雨空の広島できのう、G7各国の首脳たちがそろって平和記念資料館に訪れる映像を見ながら、そんな問いが頭に浮かんで、消えない▼▼▼▼▼「核なき世界」は必ずや実現する。現実を直視しつつも、理想を掲げ続けたい。きのう慰霊碑の前で黙祷(もくとう)した首脳たちは、しかと心に刻んだろうか。原爆は、広島に落とされた。
5/22 月 朝刊
「戦争なくさねば」、広島で ゼレンスキー大統領、会見
「歴史的に意義」 首相、成果強調 G7サミット
「核戦争の破壊、想起」 資料館訪問のバイデン氏
折々のことば:2739 鷲田清一
ここに私はいるけれど、彼女は宙に向かってしゃべる。
(永野三智〈みち〉)
(天声人語)もうひとつのヒロシマ
それは、はっきりとした違いだったという。広島の被爆者には、8月6日の朝、あの閃光(せんこう)の記憶から自らの体験を語り始める人が少なくない。しかし、朝鮮半島出身の被爆者は異なっていた。なぜ日本に来たのか。話はまず、そこから始まった▼▼▼▼▼G7サミットが終わった。きのうの朝、漢字とハングルが刻まれた慰霊碑の前に、そろって立つ日韓両首脳の姿があった。戦後78年 にして、初めてのことである。5月の風が白いユリの花を小さく揺らしていた。
5/22 月 夕刊
福島の酒、10連覇へ挑む ライバルとタッグ、原発事故の風評はね返す 新酒鑑評会、24日結果発表
「ゼレンスキー氏、待ったが会えず」 ブラジル大統領
首相「国際保健分野へ280億円」
独韓、半導体など協力拡大へ合意
素粒子
この週末、90年前の広島の繁華街を映画の中のすずさんと歩く。年の市、おもちゃ屋、呉服店、理髪店、旅館……。
◎
「この世界の片隅に」が描いた人々の営みの場は、瞬時に廃虚と化し、今は平和を祈る空間に。中ロ首脳がそこに立つ日をどう手繰り寄せる。
◎
「支援継続」は当然としつつ、亡くなり傷つく人が更にに増えることを思い、心沈む。
5/23 火 朝刊
消えた郵貯457億円、返金は2億円 取り戻し、17年度63%→21年度19%
児童手当、第3子以降増 3歳~小学生 政府、倍増を検討
研究者を「使い捨てでは」 雇用10年、直前に雇い止め
折々のことば:2740 鷲田清一
「あなた、悶(もだ)え加勢(かせ)しよるとね。そのままでよかですよ。」
(石牟礼道子)
(天声人語)5月の風、解散の風
どこか希望の匂いがするからだろうか。若葉を吹き抜けてくる風には、心が浮き立つ。〈十の椅子丸く並べて風薫る〉山崎千枝子。小さな学校の教室で、ちょこんと座った生徒たちを育むように風が吹く。そんな光景が浮かぶ▼▼▼▼▼防衛費の財源問題など、国会は大事な審議が目白押しである。議員諸氏、薫風に心を浮き立たせたとしても、解散風に右往左往するのはどうか勘弁してもらいたい。
5/23 火 夕刊
癒やし合う心、ガザに根付く 紛争地の人のトラウマ、支えは周囲に 日本のNPO法人の施設「独り立ち」
本田・東京メトロ会長退任へ 人事介入問題の元次官
マイナひもづけ口座を誤登録
22年度実質賃金、前年度比1.8%減
素粒子
法律の定めで、蓄えたお金が消えてゆく。異を唱えても法を知らなかったのが悪いと一蹴される。郵便貯金の怪。
◎
法律があるのに、実績を積んだ研究者が消えてゆく。法の趣旨に沿った運用を求める声も空しく、科学技術立国の看板が泣く。雇い止めの怪。
◎
正しくつくられ、正しく使われてこそ良き法律――。思いを強くする「怪」ふたつ。
5/24 水 朝刊
「被爆の実相」こだわり、重ねた交渉 資料館視察、日米駆け引き 滞在40分、オバマ氏の4倍
マイナ保険証、総点検へ 誤登録、公金口座でも
東京メトロ会長退任へ 代表取締役、初の国交OB外に 人事介入問題
折々のことば:2741 鷲田清一
その日のその現場が即興だと思っている。同じ点なんだけどそこに今日の点。
(坂東玉三郎)
(天声人語)辞められないヤクザ
強欲な老政治家が裁判に訴えた。判決の当日、弁護士が電話で結果を伝えた。「先生、やはり正義が勝ちましたよ」。政治家は即答した。「そうか控訴してくれ。金ならある」。さるジョーク集に見つけた▼▼▼▼▼暴力団対策法が施行されて30年超。暴力団員の数は、施行前の2割台になった。社会の病巣は薬が効いて小さくなった。転移させない仕組みの充実が、次は必要だ。本にあった現役組員の言葉が記憶に残る。辞めたいけれど辞められない。「ワシらは迷子になっている」
5/24 水 夕刊
戦争マラリア、悲劇もう二度と 沖縄・八重山、死者3600人超
女川2号機差し止め請求を棄却
ホンダ、F1に26年から復帰
トランプ氏訴訟、来年3月初公判
素粒子
日本武尊(やまとたけるのみこと)の冒険譚(たん)から最新のミステリーまで、なりすましや取り違えは物語の定番。作り手の腕のみせどころだ。
◎
〈わたしがそなたで そなたがわたし〉。野村萬斎さんの「ややこしや」も根強い人気。
◎
いま、マイナカードの誤登録が次々と。事実上の強制の末、薬の処方の取り違えで健康被害が生じるなどしたら。〈表がござれば 裏がござる〉
5/25 木 朝刊
児童手当、高校生も 第3子以降、倍増3万円 所得制限撤廃 少子化対策原案
南シナ海に「小さな豊洲市場」 中国に対抗、日本が漁港支援
鎮魂の風が通る 平和記念公園
折々のことば:2742 鷲田清一
人生のおりおりに暗誦(あんしょう)されてこそ、詩であるのだな。
(福島泰樹)
(天声人語)マイナカード総点検
『マーフィーの法則』(アーサー・ブロック著)は、米社会での皮肉と警句を集めた、かつてのベストセラーだ。こんな言葉がある。〈どんなに素晴らしい仕事を上司に示しても、上司は、その結果に手を加えようとする〉。おや、弊社記者のぼやきをどこかで聞いていたのだろうか?▼▼▼▼▼点検が済んでも、マイナンバーと各種データのひもづけ作業が続く以上、「人為的なミス」は今後もありうる。そこまで射程にいれた対策を政府としてたてねば、制度の信頼は失われるばかりだ。
5/25 木 夕刊
退避の燃料、スーダン人の愛 JICA現地所長、感謝語る
岸田首相長男、公邸で「忘年会」
クレムリン攻撃、ウクライナ関与か
デサンティス氏、米大統領選出馬表明
素粒子
空中楼閣。事故を起こした原発の炉を支える台座はボロボロ。あの東電に安全と言われていったい誰が信用する?
◎
見果てぬ夢。追い続けて半世紀。もんじゅ事故にも日仏連携の挫折にも懲りず、高速炉の旗を振る。仮にうまくいっても実用化になお数十年。
◎
12年一日。「事故の可能性はあるけどない」。干支(えと)が一巡りして司法も安全神話に回帰。
5/26 金 朝刊
警官2人と女性死亡 男が刺し発砲、立てこもり 1人搬送できず 長野・中野
最高裁、記録廃棄を謝罪 「国民の財産」保存ルール見直し
社会保険料、月500円上乗せ 少子化対策の財源 政府試算
別人にマイナポイント 90自治体で誤付与113件 総務省
折々のことば:2743 鷲田清一
そこで出会うのは……とてもうれしいか、悲しい人たちです。
(村田まみさん)
(天声人語)円珍和尚の記録
平安時代の『今昔物語集』には、超能力者のような高僧がたくさん登場する。唐から戻ったある和尚がふいに、仏具を振って西の空に水滴を散らした。何をしているのか。怪しんだ弟子が問うと「住んでいた寺が燃えているので」▼▼▼▼▼寺の長吏である福家俊彦(ふけしゅんげん)さんは、歴代の思いをこう表現した。「どうしても後世に伝えるという使命感、確信、意志の積み重ね」である、と。裁判記録を次々と捨てる「不適切な対応」を重ねた黒い法衣の人たちに、聞こえるだろうか。
5/26 金 夕刊長野立てこもり、男を逮捕 倒れていた1人死亡、死者4人に 中野市議長の長男、殺人容疑
ベラルーシに戦術核移転、始まる
大卒就職率97.3%、3年ぶり改善
円安、一時140円台 6カ月ぶり
素粒子
悲痛な記事に心ふさいでページをめくると、あまりの緩みにあいた口がふさがらぬ。
◎
首相公邸に出るという幽霊もたまげたに違いない長男秘書官らの馬鹿騒ぎ。小学生並みと言ったら小学生に失礼。
◎
この際、親馬鹿ついでに児童手当の対象も高校生といわず「32歳まで」に広げますか。一族で議席つないだ歴史になぞらえ、財源はつなぎ国債?
5/27 土 朝刊
長野立てこもり、31歳逮捕 「悪く言われたと思い」供述 殺人容疑、死者4人に
賃上げ・少子化対策、盛る 「骨太の方針」骨子案 正式提示
AIに仕事奪われる 全米脚本家組合、スト
マイナ混乱、首相が対策指示
折々のことば:2744 鷲田清一
ある程度撮ったら終わるかなと思ったのね。でも、終わりませんね。人がいなくなっても、植物が生きているのね。 (寺崎英子)
(天声人語)「ふるさと」の惨劇
“ふるさと”という言葉は、年齢を重ねるとともに、追憶とまじりあって心の奥深くまで染みこんでくる。〈兎(うさぎ)追ひしかの山 小鮒(こぶな)釣りしかの川〉。日本の原風景をうたった『故郷(ふるさと)』ほど、多くの人に愛される歌もないだろう▼▼▼▼『故郷』の歌詞はこう続く。〈如何(いか)にいます父母 恙(つつが)なしや友がき〉。親の愛情や地域の人々の励ましに支えられた日が、男にもあったろうに。いったい何があったのか。
5/27 土 be 朝刊
(フロントランナー)コミュニティシネマセンター事務局長・岩崎ゆう子さん 映画館を公共的文化施設に
受け入れの道、見いだす世界に 難民・避難民1億300万人 俳優・ブランシェットさんの問い
(Photo Story)上を向いて
素粒子
わからない。梅村議員を維新が処分。党の指示に従わなかった「ガバナンス違反」が理由で、発言が政治倫理に反するとは認定していないとか。
◎
「事実はない。しかし可能性はある」でデマをまき散らし、議員特権まで持ち出して正当化したことを「不適切、未熟、稚拙」で済ますのですか。
◎
他党議員の問題発言は、激しく鋭く糾弾するその党が。
5/28 日 朝刊
「ずっと孤独」一方的恨みか 親の説得に話す 長野立てこもり
(共生のSDGs コロナの先の2030)スタジアム浸水、海面上昇の未来図
中国でも元気だよ 和歌山から返還「桃浜」公開
折々のことば:2745 鷲田清一
保育園時代の苦い経験もあり……否定されることが怖かったんだと思います。
(押切もえ)
(天声人語)動物の言葉がわかるには
スキスキスキスキ――。早朝に自宅の窓を開けたら、鳥の鳴き声が聞こえてきた。はっきりした「発音」に驚きつつ双眼鏡を手に見渡すと、いた。集合住宅の屋上で、胸にネクタイのような黒い線があるシジュウカラが鳴いていた▼▼▼▼▼地球上で人間は特別でも偉くもないと自覚すれば、自然や環境保護への姿勢も変わるのではないか。シジュウカラを突破口に、無限の豊かさや共生の道が開けるかもしれない。
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