2/27 月 朝刊
(共生のSDGs コロナの先の2030)夫候補が来る、少女は逃げた ケニア児童婚、コロナが奪った学び
自民、「連合と連携」明示 統一選・5補選、結束訴え 党大会
(災後の風景@石巻:上)71億円の橋、誰のために
折々のことば:2658 鷲田清一
自然にいちばん近く、長く接して、しかも鈍感なのが子供たちである。
(佐藤正午)
(天声人語)西山太吉さんの遺言
「問題は実質ではなくAPPEARANCEである」。これが、沖縄返還をめぐる日米間の密約を示唆した部分である。返還を翌年に控えた1971年5月、当時の外相と駐日米大使の会談を伝える外務省の電信文だった▼▼▼▼▼軍国少年だった西山さんは、敗戦後に権力監視が必要だと痛感して新聞記者になったという。国家の秘密事項をしっかり報道せよ。見せかけにだまされるな。遺(のこ)した数々の言葉をかみしめる。
2/27 月 夕刊
盛岡、世界で2番目 NYタイムズ「今年行くべき52カ所」、ロンドンに次ぐ
ガーシー氏「本会議で陳謝」の意向
イタリア沖で移民船難破、59人死亡
円安が進み、一時136円台半ばに
素粒子
低金利や日銀の国債引き受けなど大胆施策でデフレを脱す。だが「副作用」は覆い難く。
◎
いえ87年前の話。高橋是清蔵相は財政規律の回復と軍事費抑制に踏み出すも2・26に倒れ、日本は破滅の道を進む。
◎
むろん状況は当時と違う。だが歴史に何を学び、現下の課題にどう向き合うか。2%ありきで膨れあがる防衛予算の衆院通過を前に、考える。
2/28 火 朝刊
地方議会、増える無投票 直近選挙で15%、なり手不足深刻 全国アンケート 統一地方選
死後の再審、高裁も認める 39年前の強盗殺人事件 滋賀
トマホーク400発購入へ 予算案、年度内成立確実に
対話型AI、唐突に「愛している」
一足早く春 ハウステンボス「チューリップ祭」
折々のことば:2659 鷲田清一
自分の親を嫌いでなくなることがこんなにも楽なことなのか なぜか 自分の中の元の部分を嫌いではなくなったからでしょうか (青木さやか)
(天声人語)「ペーパーシティ」を観て
白髪の男性がじっと一枚の写真を見つめている。黒い血と灰色の粉じんにまみれ、戦場で呆然(ぼうぜん)とすわる少年の写真だ。男性はつぶやく。「私は、同じようなものですよ。着てたコートは焼けあとで、ボロボロで」▼▼▼▼▼冒頭で紹介した白髪の男性は星野弘さん。映画の撮影後、87歳で亡くなった。写真に写っていたのは内戦下の空爆で傷ついたシリア人の少年だった。不条理な戦火は時を隔て、ところを変えて止(や)んでいない。その現実を改めて心に刻む。
2/28 火 夕刊
シシャモ激減、なぜ 海水温上昇に注目、20度超で成長率低下 北海道の研究者
五輪談合、6社と7人を刑事告発
JAXA宇宙飛行士候補に2人
「原発60年超運転」法案を閣議決定
素粒子
東京五輪談合で電通など起訴へ。危機感抱くべき人々の危機感の欠如に深まる不信。
◎
国も都もJOCも、実態の解明と検証になぜ本気で取り組まないのだろう。それで「7年後に札幌で」と言われても。
◎
選手たちはなぜ怒りの声を上げないのだろう。上意下達の色濃い世界。物言えば唇寒し、か。そんな悪弊の一掃から再生・信頼回復の第一歩を。
3/1 水 朝刊
五輪談合、広告業界ぐるみ 電通など6社と7人を起訴
出生数、80万人割れ コロナで減少加速 22年統計
114兆円予算案、年度内成立へ
「非日常」からも卒業 公立高、マスク外して卒業式
折々のことば:2660 鷲田清一
共通世界は、それがわずか一つの位相のもとで見られるとき、消失する。
(ハンナ・アーレント)
(天声人語)マスクと卒業
ユーミンは名曲「卒業写真」で歌った。〈人ごみに流されて 変わってゆく私を/あなたはときどき 遠くでしかって〉。あなたとは誰だろう。かつては憧れの異性のことだと思って聴いた。でも、いまは、18歳の自分だと思う。変だろうか▼▼▼▼▼ユーミンが歌ったように、ひとは変わる。卒業して、大人になって。でも、コロナ下での学園生活を悩んだ18歳の自分は消えない。〈あの頃の生き方を あなたは忘れないで〉。すべての卒業生に、祝福を。
3/1 水 夕刊
アフリカゾウ、消えゆく国内 高齢化・少ないオス、20年で半数以下 繁殖へ動物園模索
韓国大統領演説、徴用工言及せず
反撃能力、首相「対ミサイルのみ」
来春向け就活、会社説明会が解禁
素粒子
1日はビキニデー。69年前のこの時期、水爆実験の海域には第五福竜丸だけでなく延べ1千隻の漁船がいた。だが調査も補償も中途に終わる。
◎
背景に、反核機運の高揚を恐れ、被害を小さく見せて収拾を図りたい日米の思惑が。
◎
地元理解なき「処理水」の海洋放出に、拙速・強引な原発回帰。「国益」の名の下、被災者不在の政治はいまも。
3/2 木 朝刊
福田・鳩山両元首相に依頼 旧統一教会側、両氏は出席拒否 韓国での式典
「米の打撃力、完全依存せず」 敵基地攻撃能力巡り 首相
携帯乗り換え、1カ所で完結 大手4社など、5月下旬から手続き簡素化
折々のことば:2661 鷲田清一
まわりが……とか、ふつうは……とかじゃなくて。自分が決めることなんだ、って。 (黒岩家の長女・タマヲちゃん)
(天声人語)出てこい責任者
「責任者、出てこーい」。そう聞いて懐かしいと思うのはご年配の方だけだろうか。昭和のお笑い界で一世を風靡(ふうび)した「ぼやき漫才」の決めぜりふ。コテコテの関西弁で世相を笑いとばす人生幸朗(じんせいこうろう)さんと生恵(いくえ)幸子さんの夫婦漫才である▼▼▼▼ ▼あさって4日は41年前に逝った人生さんの命日だ。漫才では「世の中が私を舞台でぼやかせる」と言っていた。「理屈に合わんことが多すぎる」と。その言にうなずき、ひとり声に出してみる。出てこい、東京五輪の責任者。
3/2 木 夕刊
キーウのひな人形、片付けられずに 妻と娘2人、侵攻後に日本へ避難
コロナ患者負担、インフル並みへ
鳥インフル殺処分、採卵鶏の1割超
ギリシャ列車事故、死者43人に
素粒子
沖縄返還密約に迫った西山太吉さんの訃報(ふほう)の翌々日、アベノマスクの単価や枚数の開示を命じる判決。こんなものまで国はなぜ隠すのだろう。
◎
「批判的な意見も多かった」施策を進めた元首相への忖度(そんたく)か。染みついた隠蔽(いんぺい)体質か。
◎
司法は「税金の使途に係る行政の説明責任」の履行を求めた。「大変厳しい判決」との官房長官発言にあきれる。
3/3 金 朝刊
諫早、非開門で決着 最高裁、司法判断を統一 国の勝訴確定 閉め切りから26年
安倍政権の内部文書か 放送法の「政治的公平」新解釈要求 立憲・小西議員が公表
コロナ自己負担額、インフル並みに 5類移行後、政府方針
折々のことば:2662 鷲田清一
卒業証書を渡すのではなく、ぬくもりを渡すんです。 (永六輔)
(天声人語)ウィシュマさんの映像を見る
名古屋地裁のレンガ色の庁舎を先週、訪ねた。ウィシュマ・サンダマリさんが亡くなるまでの様子を映した入管施設の映像を見るためだ。手続きをし、裁判所が用意したパソコンの前に座る。見始めてすぐに自分の顔がこわばるのが分かった▼▼▼▼ウィシュマさんが亡くなってから来週6日で2年になる。彼女の悲惨な死に対し、まだ誰一人としてまともに責任を問われていない。そんな社会は何か間違っていないか。裁判所を出て、暗い気持ちでお堀端を歩く。ほおにあたる風は切るように冷たかった。
3/3 金 夕刊
名人挑戦権は譲らない 5年ぶりプレーオフ 藤井竜王・広瀬八段 将棋名人戦順位戦A級
文書、総務相「事実確認できてない」
1月の完全失業率、2.4%に改善
東京都区部物価、前年比3.3%上昇
素粒子
自らに都合が良いよう長年の法解釈を変更する。そんな安倍政権の手法を詳細に記録した「怪文書」が明らかに。
◎
放送番組を制御下に置くことを図り、異見言う官僚を首相側近が「首が飛ぶぞ」と脅す場面も。本当なら由々しき話。
◎
集団的自衛権、検察官の定年延長、菅政権の学術会議問題――。法の支配を解さぬ行いは陸続と。諫早も同じく。
3/4 土 朝刊
新解釈、官邸側の意向認める 礒崎元補佐官「放送法、総務省と意見交換」
4割、歩道で衝突 自転車事故、重傷以上の歩行者312人 昨年、警察庁まとめ
保釈中の被告、GPS装着可 海外逃亡恐れある場合 法改正案を閣議決定
折々のことば:2663 鷲田清一
《もとの日常に戻る》と言うけれど、それってどこに戻ることなんでしょうね。
(かおりさん〈仮名〉)
(天声人語)100年後の誰かのために
博物館には「三つの無」という言葉があるそうだ。いわく無目的、無制限、無計画。動物の骨格標本などを収集し、保管するときの理念だとか。解剖学者の郡司芽久(めぐ)さんの著書『キリン解剖記』に教えられた▼▼▼▼▼「重要な記録をきちんと保存し後世に引き継ぐ責任は、裁判所だけではなく、社会全体にある」。先日の本紙にジャーナリストの江川紹子さんの話があった。同感。広く議論を進めたい。100年後の誰かのためにも。
3/4 土 be 朝刊
(フロントランナー)アーティスト、キャンドル・ジュンさん 誰かのために、ともし続ける
3/4 土 夕刊
戦時下の報道、公共放送だからこそ ウクライナ、国営から17年転換 NHK×JICA、変革支える
(Photo Story)議論もアツアツ
素粒子
「何でも倍増」で各方面にいい顔見せてきたけれど――。
◎
首相の「子ども予算倍増」は一転「数字ありきではない」。側近は「出生率がV字回復すれば倍増が実現」。言い訳に詭弁(きべん)を重ねる姿に失望は倍増。
◎
「所得倍増」もいつの間にか「資産所得倍増」にすり替えた政権で、ゆるがないのは防衛費。何にいくらか詳細は言えないが、とにかく「倍増」と。
3/5 日 朝刊
徴用工、日韓が最終調整 韓国側、肩代わり/日本「おわび」継承 経団連「未来志向」の事業案
(安保の行方 議事録をたどる 有識者会議:1)安保転換、議論「時間限られ」
(託されたもの 東日本大震災12年:1)津波、目の前に友の娘
折々のことば:2664 鷲田清一
花の良いところは必ず枯れるところだと思う。
(くどうれいん)
(天声人語)85%の価値
大勢のろう者が手話でおしゃべりする中に一人でいたことがある。線香花火がはじけるように手や腕が動く。近況を伝えているのか、手話の分からぬこちらは立ち尽くすしかない。世界はぐるりと反転し、「障害者」は自分のほうだった。障害って何だろう▼▼▼▼▼店員がろう者か聴者か、誰も気にする様子はない。「聴覚障害が労働能力を制限しうる事実であること自体は否定できない」。判決の一節が色あせる未来へ。手がかりは見えている。
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