NHK イタリア語講座で ついつい聞きました
吹物(管楽器)篳篥、笙、龍笛
~笙は天から差し込む光、篳篥は地を行く人の声、龍笛は天と地の間・空を泳ぐ龍の鳴き声~
■篳篥hichiriki
管の長さ18cm強、舌shita(吹口、以下『リード』という)装着状態約21cm。縦笛。
見かけによらず音は大きい。揺らぐような奏法(塩梅enbaiをかける、という)が特徴的。
写真奥はリードの先を保護するための帽子(縮shime)。 |
管には、煤竹に桜皮を細くした物又は籐を巻き漆で固めた本管と、一見そっくりなプラスチック管がある。 表には7つ、裏には2つの指穴があり、左手で表の上から3つと裏の上側、右手で表の下4つと裏の下側を押さえる。 リードは葦から作られており、開き具合の調整のために籐を割って作った輪(責seme)が付けられている。普通の状態では先が閉じているので、温かいお茶などに漬けて適当に開かせた上で吹く(リードが微妙に茶色なのはそのため。長く使ったリードや使用する茶によっては真っ黒になる)。ちなみに、何故お茶なのかというと、茶渋でリードが腐りにくくなるとか長持ちするようになる、ということらしい。 篳篥の音色は全てリードにかかっているといっても過言ではない(塩梅をかける時はリードを口で操作するので…)。手作り品だけに、買う場合は良い物に当たるかどうかまさに賭けである。また、買ってきたからすぐ吹けるという訳でもなく、ほとんどの場合は自分である程度削らないといけない。そうやって、自分にあったリードを作ることが出来ても、いつかは寿命が尽きるのがリードの定め…(泣)。一説によると、「良く鳴るようになったなあ」と思ったら最期が近くなった証拠なので次のを準備すべし、とか。(なお、プロの方はリードを自分で作れて当然とのこと(実際のリード作り一部だけを拝見したし、東儀さんのエッセイにリードを作るときのことが書かれた物もある)。) |
■笙syou
全体の長さ約45cm。匏hou(写真の黒い丸い器部分)に17本の竹管を差している。
基本的には和音を奏でるが1本だけで演奏することもある。息を吸っても吐いても音が出る。
17本の竹管のうち15本の内部に金属製のリードが取り付けられている(残り2本にはリードがなく演奏にも使用しない)。演奏の際には吹口(上の写真手前側、銀色の円盤部分)を口に当て、匏を両手で包みこむようにし竹を天に向けて構える。小さな穴は指穴で、押さえた管に息が通り、リードが振動して音が出る構造。 笙は湿気を嫌う楽器で、ちょっと置いておくだけでも水分を含み鳴りにくくなるらしい。演奏の際には夏でも冬でも火鉢や電熱器で匏や管をあぶり、中を乾燥させておく。 篳篥などと違ってそれぞれの管からは音階通りの音が出るが、その代わり、調律が必要となる(これもプロの方は自分で行うとのこと)。 なお、この形から伝説の鳥・鳳凰が羽をたたんで休んでいる姿を連想し、『鳳笙housyou』と呼ばれることもある。 |
■龍笛ryuuteki
管の長さ約40cm。横笛の1つ。
息の強弱を使い分けたりすることで、同じ指使いでも1オクターブ違う音が出せる。
管には、篳篥の管と同様、煤竹に桜皮を細くした物又は籐を巻き漆で固めた本管と、一見そっくりなプラスチック管がある。 吹き口1つと指穴が7つで、三管の中では一番単純な構造の楽器。 上にも書いたが、同じ指使いでも息の強弱を変えたり、口の当て方を変えたりすると、1オクターブ音を変えることが出来るので、約2オクターブの音を出せるということになる。下の方の音を『和fukura』上の方を『責seme』と呼ぶ。 余談だが、吹く前に必ず茶が要る篳篥吹きからすると、管を取り出してすぐ吹けるというのはちょっと羨ましい(笑)。 |
どちらも指穴が6つで、高麗笛は約36cm、神楽笛は約45cmと管の長さが違い、
これらの差が龍笛との音階や音色の差になっている。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。