特に9月は25日、28日、29日と相次いで発射しています。これまでの21回のうち、18回は弾道ミサイルと推定されもう1回も弾道ミサイルの可能性が指摘されています。
ミサイルは日本の東北地方上空を通過した後、午前7時44分ごろ、太平洋上の日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下したと推定されるという。
北朝鮮は過去に例を見ない頻度で弾道ミサイルを発射し(※1)、平成29年8月29日及び9月15日には、予告することなく発射した弾道ミサイルが、日本の上空を通過する事案も起こっています。政府としては、いかなる事態にも対応することができるよう緊張感をもって必要な対応に万全を期しているところです。北朝鮮から発射された弾道ミサイルが日本に飛来する場合、弾道ミサイルは極めて短時間で日本に飛来することが予想されます(※2)。 仮に、北朝鮮から発射された弾道ミサイルが日本に飛来する可能性がある場合には、政府としては、24時間いつでも全国瞬時警報システム (Jアラート)を使用し、緊急情報を伝達します。Jアラートを使用すると、市町村の防災行政無線等が自動的に起動し、屋外スピーカー等から警報が流れるほか、携帯電話にエリアメール・ 緊急速報メールが配信されます(※3)。なお、Jアラートによる情報伝達は、国民保護に係る警報のサイレン音を使用し、弾道ミサイルに注意が必要な地域の方に、 行います。Jアラートによる情報伝達では、弾道ミサイルが日本に飛来する可能性があると判断した場合に、まず、弾道ミサイルが発射された旨の情報(1)を伝達し、避難を呼びかけます。屋外にいる場合は、近くの建物(コンクリート造り等頑丈な建物が望ましいですが、頑丈な建物がなければ、それ以外の建物でも構いません)の中、又は地下(地下街や地下駅舎などの地下施設)に避難して下さい。屋内にいる場合には、すぐに避難できるところに頑丈な建物や地下があれば直ちにそちらに避難して下さい。それができなければ、できるだけ窓から離れ、できれば窓のない部屋へ移動して下さい。(※4)その後、弾道ミサイルが日本の領土・領海に落下する可能性があると判断した場合には、続報として直ちに避難することを呼びかけるとともに、落下時刻及び落下場所についてお知らせします(1.(2))。屋外にいる場合には、直ちに近くの建物の中、又は地下に避難してください。また、近くに適当な建物等がない場合は、物陰に身を隠すか地面に伏せ頭部を守って下さい。屋内にいる場合には、できるだけ窓から離れ、できれば窓のない部屋へ移動して下さい。その後、弾道ミサイルが日本の領土・領海に落下したと推定された場合には落下時刻及び落下場所についてお知らせします(1.(3))。続報を伝達しますので、引き続き屋内に避難していて下さい。弾道ミサイルが日本の上空を通過した場合には、他に追尾しているミサイルやミサイルから分離した落下物が我が国の領土・領海に落下する可能性が無いことを確認した後、弾道ミサイルが通過した旨の情報をお知らせします(2.(2))引き続き屋内に避難する必要はありませんが、不審な物を発見した場合には、決して近寄らず、直ちに警察や消防などに連絡して下さい。このほか、日本まで飛来せず、領海外の海域に落下した場合には、その旨を続報としてお知らせし」((https://www.kokuminhogo.go.jp/kokuminaction/jalert.html 参照 2022年10月4日))
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ミサイル防衛について
弾道ミサイルとは
弾道ミサイルとは、ロケットエンジンにより発射された後、弾道軌道、すなわち放物線軌道を描いて飛翔するものを指します。
北朝鮮は、核兵器の小型化・弾頭化を実現しているとみられるとともに、我が国を射程におさめる弾道ミサイルを数百発保有しています。昨今では、ミサイルの長射程化、多数のミサイルを同時に発射する能力、正確に目標を狙う能力、奇襲攻撃能力、低空を飛翔して探知を遅らせる新型ミサイルなど、ミサイル技術と攻撃能力の向上を図っています。
また、昨今では、ミサイル防衛網の突破を企図した極超音速兵器をはじめとする新たな脅威が出現しています。例えば、一部の国で導入が進められているHGV(Hypersonic Glide Vehicle)は、弾道ミサイルによって打ち上げられた後、超高速で低高度を飛行し、高い機動性を有することから、一般論として、ミサイル防衛システムによる迎撃がより困難とされています。
- 北朝鮮の大量破壊兵器・弾道ミサイルについて (令和2年度防衛白書p.92-105)
- 北朝鮮の弾道ミサイルについて (令和2年度防衛白書p.95-105)
- 中国の核戦力およびミサイル戦力について (令和2年度防衛白書p.61-63)
- 中国の航空戦力について (令和2年度防衛白書p.67-68)
- ロシアの核戦力・新型兵器について (令和2年度防衛白書p.115-119)
ミサイル防衛(MD)について
我が国では、ミサイル攻撃などへの対応に万全を期すため、2004(平成16)年度からミサイル防衛(MD)システムの整備を開始しました。
イージス艦への弾道ミサイル対処能力の付与やペトリオット(PAC-3)の配備など、弾道ミサイル攻撃に対するわが国独自の体制整備を着実に進めています。
自衛隊は、レーダー、人工衛星、航空機、艦艇などによって、今この瞬間も、我が国周辺の警戒監視にあたっています。
我が国に飛来する弾道ミサイルに遅滞なく対応するため、JADGE(ジャッジ)と呼ばれる自動警戒管制システムが、全国各地のレーダーがとらえた情報を集約・処理しています。これにより、着弾地点の計算などを自動的に行い、はるか洋上のイージス艦などに瞬時に迎撃を命令することができます。
- ミサイル攻撃などへの対応について (令和2年度防衛白書p.255-262)
MD体制強化のための取組
日本に向けて弾道ミサイルが発射された場合、これを迎撃するのは、海上自衛隊のイージス艦や航空自衛隊のPAC-3です。イージス艦は弾道ミサイルが大気圏外を飛行している段階(ミッドコース段階)で迎撃する一方で、PAC-3は大気圏に再突入した後の最終段階(ターミナル段階)で迎撃します。現在、イージス艦の能力向上増艦や、能力向上型PAC-3(PAC-3MSE)の導入を進めており、さらなるMD体制の強化に取り組んでいます。
総合ミサイル防空
極超音速兵器などを始めとする新たな脅威が出現している中、防衛省では、センサーやシューターの能力を高めていくほか、ネットワークを通じて、ミサイル防衛用の装備品とその他防空のための装備品を一体的に運用する「総合ミサイル防空」強化のための取組みを進めています。
こうした取組みが進展すれば、例えば、自らのセンサーで目標を捕捉していなくても、他のセンサーからの情報を用いて迎撃ミサイルを誘導することが可能となって防護範囲が拡大するなど、防空能力の向上が期待されます。
陸上配備型イージス・システム(イージス・アショア)について
イージス・アショアの配備に向けた、当時の取り組みについて
- 防衛省としては、北朝鮮には、我が国を射程に収める各種の弾道ミサイルが依然として多数存在するなど、弾道ミサイル防衛能力の向上は喫緊の課題であると考えています。 そうした中、弾道ミサイル攻撃から国民の生命・財産を24時間365日守り抜くための能力を抜本的に向上させることが可能であるイージス・アショア2基の配備候補地について、防衛省において検討を行った結果、秋田県の陸上自衛隊新屋演習場及び山口県の陸上自衛隊むつみ演習場を選定したところです。
- こうしたことを受け、2018年6月、福田防衛大臣政務官(当時)及び大野防衛大臣政務官(当時)が秋田・山口両県をそれぞれ訪問し、イージス・アショアの配備候補地及び各種調査についてご説明いたしました。 その後、配備候補地についてご理解をいただくため、同月、小野寺防衛大臣(当時)が秋田・山口両県をそれぞれ訪問しました。 また、防衛省としては、配備候補地の周辺住民の方々のご懸念を払しょくすべく、住民説明会を複数回開催しました。 同年12月、原田防衛副大臣(当時)が秋田・山口県をそれぞれ訪問した際には、関係自治体の首長等と面会し、改めてイージス・アショアの配備の検討に関するご理解とご協力を求めました。
- 2019年5月、原田防衛副大臣(当時)は改めて秋田・山口両県を訪問し、関係自治体の首長等に対して2018年10月より行った各種調査の結果等についてご説明いたしました。しかしながら、その説明資料の誤りや住民説明会における職員の緊張感を欠いた行為など、極めて不適切な対応がありました。
- こうしたことから、再説明に向け、より正確でわかりやすい説明となるよう、説明内容の確認と見直しを行うとともに、再調査の部外委託・部外の有識者による検証を行うこととしました。
- 山口県については、再説明の準備が整ったことから、2019年12月、山本防衛副大臣が山口県を訪問し、関係自治体の首長等に対して再調査結果についてご説明いたしました。
- 秋田県については、再説明の準備として、秋田県の新屋演習場を含む20か所の国有地について、再調査を実施しました。
イージス・アショアの配備のとりやめについて
- 2018年6月に配備候補地を公表して以降、地元の皆様から、弾道ミサイル防衛用迎撃ミサイル(SM-3)から切り離されるブースターの落下による影響に関する御懸念が示されたことから、防衛省として、それまでの米側との協議を踏まえ、SM-3の飛翔経路をコントロールしブースターを演習場内又は海に落下させる旨、説明してまいりました。
- また、2019年5月、各種調査・検討の結果として、秋田県の陸上自衛隊新屋演習場及び山口県の陸上自衛隊むつみ演習場においてイージス・アショアを安全に配備・運用できる旨の説明を行いました。この際、ブースターを演習場内又は海上に落下させるための措置をしっかり講じていく旨を地元の皆様に対して説明してまいりました。
- 他方、ブースターを演習場内又は海に落下させるための措置を講じることについて、その重要性に鑑み米側と協議を行い、防衛省において検討を進めてきた結果、2020年5月下旬、SM-3の飛翔経路をコントロールしブースターを演習場内又は海に確実に落下させるためには、イージス・システムのソフトウェアのみならず、SM-3のハードウェアを含むシステム全体の大幅な改修が必要となり、相当のコストと期間を要することが判明しました。
- このため、2020年6月15日、イージス・アショアの配備に関するプロセスを停止し、河野防衛大臣が同月19日に山口県を、同月21日に秋田県をそれぞれ訪問し、関係自治体の首長等に対して、経緯のご説明とお詫びを申し上げました。
- そして、イージス・アショアの配備に関するプロセスの停止について国家安全保障会議における議論を踏まえ、同月25日に防衛省として、陸上自衛隊新屋演習場を含む20か所の国有地及び陸上自衛隊むつみ演習場へのイージス・アショアの配備を断念することを公表しました。
- イージス・アショアの配備プロセスの停止、配備断念に至るまでの経緯について、防衛大臣の指示の下で確認作業を進め、2020年9月4日に、その結果を公表しました。
- 2020年12月18日、国家安全保障会議及び閣議において、イージス・アショアに替えて、イージス・システム搭載艦2隻を整備することが決定されました。
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