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(美の履歴書:728)「竹林虎」 篁牛人 おおらかに向かう先には
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「竹林虎」=富山市篁牛人記念美術館蔵
丑(うし)の年が去りゆき、寅(とら)の年がやってきた。
これは、牛人(ぎゅうじん)が描いた虎の絵。竹林の中から、日輪のごとき円がある左方に歩み出てきた図だ。まことにめでたい、ともいえる。
篁(たかむら)牛人は、水墨画史では評価が定まっていない異端の画家だ。極端にデフォルメされた造形も異例なら、渇いた筆などでガシガシと紙が毛羽立つほどに墨を塗り込める渇筆と呼ばれる技法も特殊。そう簡単に評価されるはずもない。
この絵でも、虎の肩は水牛のように盛り上がり、後ろ脚は極端に太く、尾も長い。一方で、顔は愛敬たっぷり。2面のうち右側は、虎の尾と竹林のみと、構図も極めて大胆といえる。
大倉集古館の安村敏信顧問は、「パトロンを得て2年目ぐらい。紙も墨も自由に使え、乗りに乗って気持ちよく描いている」と話す。確かにこの虎、実に大きくおおらかだ。
近世までの画家の多くは虎を直接見たことがなく、中国や朝鮮の絵で学んだ。20世紀生まれの牛人は動物園などで見る機会もあっただろうし、何より兵役でマレー半島に赴いている。しかし、この虎、とても写実的とはいえない。
渇筆技法で描かれた黒は紙に強く塗り込められている。「中間色のグレーが多い水墨画にあって、画期的な技法で黒を追求している」と安村顧問は話す。
他方、竹は細く厳しい線で描写。そこに藤田嗣治にも連なるような技法で、立体感が与えられている。
安村顧問は、虎の描写はアニメに通じるとみる。今回の展覧会では若い人の姿も目立つという。異端の画家は再評価へ向け、虎同様に歩み始めたように見える。(編集委員・大西若人)
名前 竹林虎(ちくりんこ)
・生年 1967年ごろ
・体格 それぞれ縦166.5センチ×横216.9センチ(2面)
・素材 紙本墨画
・生みの親 篁牛人(1901~84)
・親の経歴 寺の次男として現在の富山市に生まれる。工芸学校を卒業後、商工省工芸展覧会で受賞するなど図案家として活動。小杉放庵や藤田嗣治に傾倒し、40年ごろから絵画に専念。44年に応召し、シンガポールやタイに。46年に復員後、渇筆画を描くが、生活は困窮。65年ごろから富山市の医師の支援を受け、大作を手がける。美術評論家・河北倫明に評価されたこともあったが、73年にアルコール中毒で入院し、翌年ごろからは描けないまま、84年に死去。
・日本にいる兄弟姉妹 富山県水墨美術館、富山市篁牛人記念美術館などに。
・みどころ [1]虎の右後ろ脚が見えないのは、地面が盛り上がっているからか。[2]桃のようなザクロのような謎の植物が見える。[3]竹に止まる鳥は虎に呼びかけているのか。
▽「篁牛人展 昭和水墨画壇の鬼才」は、東京都港区虎ノ門2丁目の大倉集古館(03・5575・5711)で10日まで。後期展示では、「西王母と小鳥」(1969年、富山県水墨美術館蔵)=写真=など、30年代の図案作品から、キュービスム的な作品を含む、70年代までの約50点を展示。
豆知識 アート 由来
少し前に有名な俳優の高倉健さんが亡くなりました。健さんの主演の映画の主題歌、「唐獅子牡丹」が、このところカラオケではよく歌われているそうです。この「唐獅子牡丹」は古来より襖絵、陶器、刺青などの絵柄によく使われています。また「獅子」ではないですが、「虎」も昔からの絵によく出てきます。ことわざに「竹に虎」というのがあり、そのくらい昔から知られているということです。日本には、昔からいなかった動物がなぜこんなに図柄などに使われるようになったのでしょうか?今回は「牡丹と唐獅子」と「竹に虎」について書いてみました。
浜松市動物園
浜松市動物園 | |
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施設情報 | |
専門分野 | 総合 |
所有者 | 浜松市 |
開園 | 旧所在地:1950年11月1日 現所在地:1985年4月2日 |
所在地 | 〒431-1209 静岡県浜松市西区舘山寺町199 |
位置 | 北緯34度45分53秒 東経137度37分50秒座標: 北緯34度45分53秒 東経137度37分50秒 |
浜松市動物園(はままつしどうぶつえん)は、静岡県浜松市西区舘山寺町にある市営動物園。浜松市フラワーパークの北隣で、両者を合わせて舘山寺総合公園(かんざんじそうごうこうえん)を形成する。
概要[編集]
隣接する浜松市フラワーパークとは園内通路同士で繋がっており、「共通券」を購入することで両園を自由に巡ることができる。
霊長類の展示は、国内の動物園としては最大級で、日本の動物園ではここでしか飼育していないニシゴリラやゴールデンライオンタマリンなど、67種970匹(2014年6月現在)[1]は日本モンキーセンターに次ぐ規模である。その他にも、ミニ・サファリ形式の大放牧場や動物ふれあい広場・こんちゅう館など、教育施設としても立派な動物園である。猛獣は、ライオンやトラを始め、クロヒョウ、ユキヒョウ、ジャガー、オオカミがおり,地方都市の動物園としては充実しているとされる。2013年度の年間入場者数は32万人。2009年度の45万人から減少傾向となっているのは、レジャーの多様化、少子化、市街地から遠く子供だけで行きにくいことが原因とされている。[1]
アジア大陸の広い地域にいる虎も、今では絶滅が心配されています。
この強そうな虎は、実は象には勝てません。
虎は群をなしている象には、かないません。
虎が像を見て逃げこむところが竹薮の中なのです。
象の巨体は竹薮に入りにくく、また、無理をして竹薮に入ると、竹で象牙にヒビが入ると言われています。
昔の人はこれを知っていて、象牙を竹薮へは持って入らなかったとのことです。
青竹に象牙はダメな組み合わせで、よって、虎には竹薮が何よりの安住の地でありました
竹 [↑植物名]
竹 竹木(ちくぼく) 此君(しくん) さ枝草(えだぐさ) 角柱(かくばしら)
(用途)
弓竹(ゆみたけ)
竿竹
(種類)
笹 寒山竹 寒竹
淡竹(はちく) 呉竹 唐竹 胡竹(こちく)
黒竹 紫竹(しちく)
雲紋竹(うんもんちく)
真竹 雄(お)竹 苦竹(にがたけ) 実竹
金明竹(きんめいちく)
人面竹 布袋竹 五三竹(ごさんちく)
根曲竹(ねまがりだけ) 九枚笹
四方竹
大名竹 業平竹
鳳凰竹
蓬莱竹
麻竹 大麻竹
孟宗竹(ちく) 孟宗竹(だけ)
女子竹(おなごだけ) 女竹(めだけ)
篠(しの) 篠(しぬ) 篠竹(しのだけ) 篠(しの)の小笹(おざさ)
(状態)
新竹 若竹 今年竹
三年竹
弱竹(なよたけ) 女竹(めだけ)・雌竹(めだけ)
緑竹 青竹
回復竹(かいふくだけ)
斑竹
七夕竹
竹林(たけばやし) 竹林(ちくりん) 竹生(たかふ) 竹原 脩竹(しゅうちく)
竹藪 籔 笹籔 藪畳 竹叢(たかむら)・篁(たかむら) 竹叢(ちくそう)
叢竹(むらだけ) 叢竹(いくみだけ) 細小叢竹(いささむらたけ)・細小群竹(いささむらたけ)
立繁(たしみ)竹
疎(あばら)竹
細小小笹(いささをざさ)・細小小竹(いささをざさ) 笹竹
梧竹
竹の秋 竹秋(ちくしゅう) 竹の秋風 竹の春
竹の花 竹の落葉 竹落葉 笹散る
籜(たけのかわ) 竹竿
竹植う 竹移す 竹伐(き)る
竹誕日(ちくたんじつ) 竹植うる日
日本語シソーラス 第2版 類語検索辞典 (C) YAMAGUCHI Tasuku and Taishukan, 2016
牡丹に唐獅子 竹に虎
『南禅』平成11年1月号
大分県 ・長福寺住職 宇都宮玄秀
南禅寺―穏やかな東山の緑につつまれ、こけら葺きの方丈ほうじょうから、虎の児渡しで有名な庭園を望む広縁ひろえんの頭上に、左甚五郎ひだりじんごろう作の両面透彫すかしぼりの欄間らんまがあります。
その図柄は「牡丹に唐獅子、竹に虎」という、古来より耳にし目にする絵図ではありますが、そこに彫り込まれているメッセージは、
あなたの依所よりどころは、何んですか。 あなたが安心して身を寄せられる安住の地は、どこに在りますか。
透彫の小さな空間から、我々に発せられる問いであります。
獅子は、百獣に君臨する王といわれます。その無敵の獅子でさえ、ただ一つだけ恐れるものがある。それは、獅子身中の虫です。我身の体毛の中に発生し、増殖し、やがて皮を破り肉に食らいつく害虫です。しかし、この害虫は、牡丹の花から滴り落ちる夜露にあたると死んでしまいます。そこで獅子は夜に、牡丹の花の下で休みます。獅子にとっての安住の地が、そこに在ります。
また、アジア大陸の広域に生存する虎も、猛獣ですが、その数5千頭から7千頭と、将来絶滅が心配されています。虎は、象には勝てません。群をなした象には、歯が立ちません。そこで逃げこむ処が竹薮の中です。巨体は竹薮に入られず、また、竹薮に入ると、象牙にヒビが入ります。
その昔、杣人そまびとは、象牙のパイプを竹薮へは持って入らなかったということです。青竹に象牙は禁物です。従って、虎には竹薮が何よりの安全地帯であり、依所であります。
牡丹に唐獅子 竹に虎
三百数十年の時を越え、
「あなたにとって、依所となる安住の地は何処ですか。」
と問いかけます。
おのれこそ/おのれのよるべ
おのれを措おきて/誰によるべぞ
よく調ととのえし/おのれにこそ
まこと得がたき/よるべをぞ獲えん 友松円諦訳「法句経」より
お金や物や地位、名誉、頼りになりそうで却って、無明の世界へ迷い込んでしまいます。「頼りになるのは自分だけ」というのは、自我のおごりです。その自我の奥にある『もう一人の自分』、調整を必要としないもう一人の自分-仏心-に、めぐりあえて初めて、まこと得がたき依所となる、安住の地が得られるのであります。
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