皇位継承に伴って11月にある皇室行事「大嘗祭(だいじょうさい)」で、供える米の収穫地域を決める「斎田点定(さいでんてんてい)の儀」が13日、皇居であり、東日本と西日本から栃木県、京都府がそれぞれ選ばれた。
斎田点定の儀に使われた亀の甲羅は、江戸時代から続くべっ甲職人の6代目、森田孝雄さん(68)=東京都荒川区=が加工した。甲羅を極限まで薄くする技術が求められ、「50年かけて培ってきた経験を十分に生かせた。重要な儀式に役立てられ、うれしい」と話した。
材料となったのは、宮内庁が東京都小笠原村から購入したアオウミガメの甲羅(全長約1.3メートル)。前回の平成の儀式で使われずに残っていた現物を参考にして、3月から、将棋の駒のような五角形に切り出し始めたが、試行錯誤の連続だったという。
森田さんがアオウミガメを加工するのは初めてで、普段扱っているタイマイの甲羅に比べて硬度があった。宮内庁からは厚さを1~2ミリにすることが求められた。削りすぎると割れるうえ、甲羅に付いていた傷で穴が開く恐れもあったという。約1カ月かけて3匹分の甲羅から10枚仕上げて納入した。