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この項目では、日本の現行通貨について説明しています。東アジアにおける他の「円」については「圓」を、その他の用法については「円」をご覧ください。 |
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「YEN」はこの項目へ転送されています。かつて存在したレコードレーベル「YEN RECORDS」については「アルファレコード」をご覧ください。 |
円 |
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ISO 4217 コード |
JPY |
中央銀行 |
日本銀行 |
ウェブサイト |
www.boj.or.jp |
使用 国・地域 |
日本 ジンバブエ |
インフレ率 |
0.8% |
情報源 |
総務省統計局(2015年平均) |
指数 |
CPI |
補助単位 |
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1/100 |
銭(通貨は廃止) 一円未満の金額の計算単位で使用 |
1/1000 |
厘(通貨は廃止) 一円未満の金額の計算単位で使用 |
通貨記号 |
¥ |
複数形 |
この通貨の言語に形態学的な複数形区別はない。 |
硬貨 |
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広く流通 |
¥1, ¥5, ¥10, ¥50, ¥100, ¥500 |
紙幣 |
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広く流通 |
¥1,000, ¥5,000, ¥10,000 |
流通は稀 |
¥2,000(殆ど沖縄県のみの流通) |
紙幣製造 |
国立印刷局 |
ウェブサイト |
www.npb.go.jp |
硬貨鋳造 |
造幣局 |
ウェブサイト |
www.mint.go.jp |
円(えん)は、日本の通貨単位。通貨記号は¥(円記号)、ISO 4217による通貨コードはJPY。旧字体では圓、ローマ字ではyenと表記する。しばしば日本円(にほんえん)ともいう。
通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律(昭和62年6月1日法律第42号)により「通貨の額面価格の単位は円とし、その額面価格は一円の整数倍とする。」と定められている(通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律第2条第1項)。
日本の通貨単位である「円」は、明治4年5月10日(1871年6月27日)に制定された新貨条例(明治4年5月10日太政官布告第267号)で定められたものである。
当時の表記は旧字体の「圓」であった。貨幣法(明治30年3月29日法律第16号)施行により貨幣条例(明治8年6月25日太政官布告第108号、新貨条例を改正公布)は廃止されたが、通貨単位としての円は受け継がれ、現在の通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律(昭和62年6月1日法律第42号)に受け継がれている。
外国為替市場や為替レートなど、日本以外の通貨との関りの深い分野では、「日本円」という表記や呼称がよく用いられ、国際通貨や特別引出権のひとつである。
使用国[編集]
長らく日本においてのみ法定通貨とされていたが、2014年1月よりジンバブエの法定通貨の1つに加えられた[1]。これにより同月より日本円を法定通貨とする国は2カ国となっている。なお、ジンバブエでは日本円の他に米ドル、ユーロ、英ポンド、南アフリカ・ランド、ボツワナ・プラ、中国人民元、インド・ルピー、豪ドルも法定通貨として導入されている[2]。
通貨単位[編集]
「円(圓)」という単位名は中国に由来する。中国では、銀は鋳造せずに塊で秤量貨幣として扱われたが(銀錠)、18世紀頃からスペインと、それ以上にその植民地であったメキシコから銀の鋳造貨幣が流入した(洋銀)。これらはその形から、「銀圓」と呼ばれた。後にイギリスの香港造幣局は「香港壱圓」と刻印したドル銀貨を発行したのはこの流れからである。「銀圓」は、その名と共に日本にも流入し、日本もこれを真似て通貨単位を「円」と改めた。1870年、日本は、香港ドル銀貨と同品位・同量の銀貨を本位貨幣とする銀本位制を採用すると決定したが、直後に伊藤博文が当時の国際情勢を鑑みて急遽金本位制に変更することを建議した[3]。明治政府が貨幣の形状から「円」と名付けたとする説は、俗説である[3]。
現在のローマ字表記が「en」ではなく「yen」と書かれるようになった決定的な要因は、幕末から明治にかけての英米人が「yen」と綴り、それが国際化したことと考えられる。そこに至るまでの語史はやや複雑である。歴史的仮名遣いは「ゑん (wen)」であるが、16世紀ごろの日本では、発音上は「え」も「ゑ」も区別なく /je/ と発音されていた。この時代のキリシタン文献には、「え」「ゑ」がどちらも ye と綴られている(詳細は日本語の項の音韻史、または「ゑ」の項を参照)。
英国人宣教師W.H.メドハーストは、日本を訪れたことも日本人に会ったこともなかったが、ジャカルタ(バタヴィア)で、和蘭辞典や日本を訪れたことのある人々の情報を基に『英和・和英語彙』(1830年)著した。この語彙集には「e」と「ye」が混在しており、たとえば冒頭の仮名一覧を見ると、「え」「ゑ」に「e」「ye」の両方が当てられている)。19世紀後半に来日したアメリカ人宣教師 J. C. ヘボンは、先行する辞典・語彙集などを参考にしながら、史上初の本格的な英和・和英辞典である『和英語林集成』(初版1867年)を著した。この辞典はメドハーストの表記に倣い、「円」以外にも、「え」「ゑ」で始まる単語は全て「ye」と綴られている。しかし一部地域をのぞいて、この時代には /je/ 音は /e/ 音へと移行しており、ヘボンは綴りを実際の音に近づけるため、第3版(1886年。この版においてヘボン式ローマ字が確立)に至って、「円」と格助詞の「へ」以外、「え」「ゑ」を全て「e」で表記することにした[4]。「yen」の綴りを改めなかったのは、これがすでに定着していたからだと考えられる。また、他の言葉の語(仏語の前置詞 en など)と混同されにくい利便性も指摘される。外国語では綴りに引かれて、「イェン」/jɛn/といった具合に「y」を発音する。
補助単位としては、
- 銭 - 円の100分の1(1円=100銭)
- 厘 - 円の1000分の1、銭の10分の1(1円=1000厘、1銭=10厘)
が規定されるが、銭および厘単位(一円未満)の全ての硬貨・紙幣(補助貨幣・臨時補助貨幣・小額日本銀行券・小額政府紙幣)は1953年末に小額通貨の整理及び支払金の端数計算に関する法律(昭和28年法律第60号)によって小額通貨が整理された際に使用・流通禁止措置が取られた。現在、「銭」や「厘」の単位は通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律によって「一円未満の金額の計算単位」と定められており(通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律第2条第2項)、為替や株式の取引、少額物品の単価見積で単位としての銭が便宜的に使用されるにすぎない。ただし、電子マネーやプリペイドカードに限り、一部の取引で小数点第2位まで0.01円(1銭)単位での取引が認められている。
なお、円にはいくつか種類があり、第二次世界大戦終戦までは内地で流通した日本円の他、外地通貨である台湾円(台湾で流通)や朝鮮円(朝鮮及び関東州で流通)も存在した(南洋群島は例外的に日本円が流通)。また、満洲国の通貨も「圓」と称しており、1935年(康徳2年)9月以降は日本円と完全に等価で通用していた。
中華人民共和国の通貨単位である「元」の正式名称は「圆(=圓・円)」である。かつて「"圓"の画数が多い」という理由で、その代わりに同音 (yuan) の「元」が当てられ、今日に至る。韓国・北朝鮮の「ウォン」も「圓(=円)」の朝鮮語読みである(ただし現在はウォンの公式な漢字表記はない)。台湾のニュー台湾ドルや香港の香港ドルも、国内での名称は「元」ないし「圓」である。すなわち、これら東アジアの諸通貨は、みな本質的には「圓」という名称を共有しているといえる。
同様に通貨記号“¥”も日本の円と中国の人民元で共有している。
なお中国語では日本円を「日圓」「日元」、米ドルを「美元」、ユーロを「欧元」というように、国・地域名を冠してそこで用いられる通貨を指す用法も派生した。
流通硬貨・紙幣[編集]
現在も継続的に発行されているものは硬貨6種類、紙幣4種類である。