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関西@まち町街)住吉、よみがえる大神輿 来夏の祭り、担ぎ手を募集 【大阪】
大阪三大夏祭りの一つ、住吉祭で知られる住吉大社(大阪市住吉区)が、戦争中に巡行が途絶えた「大神輿(みこし)」を復活させる。現在修理が進み、本番は来年夏の予定。担ぎ手を募ろうと今月31日、近くの粉浜(こはま)地区の地域イベント「粉浜まつり」で今の神輿を担いでPRする。
住吉祭は毎年7月30日〜8月1日。1日、住吉大社から約6キロ離れた堺市の宿院頓宮(しゅくいんとんぐう)(御旅所〈おたびしょ〉)に神輿を渡す。途中、両市境の大和川に入って神輿を受け渡す「川渡り」は勇壮だ。
大神輿は式年遷宮を記念して1881(明治14)年、住民らが資金を出して造った。台座は正方形で、てっぺんに金色の鳳凰(ほうおう)を飾る。重さ約3トンとも言われ、数百人が交代で担いだ。
だが太平洋戦争が勃発した1941年から大神輿の渡御が中断。戦後は49年に再開されたが、大神輿が担がれたか大社に記録がなく、61年からは交通事情の変化などで別の神輿をトラックに載せて巡行。一方、大神輿は境内の倉庫に保管され、毎年1回、祭りの際に境内で展示されてきた。
2005年、人力による渡御が45年ぶりに復活。神輿は住民らの寄付で新調したが、重さは約1トンで大神輿よりかなり小さかった。
13年春、住民らでつくる神輿渡御実行委員会の会合で「かつての姿を知っている世代が元気なうちにやらないと」と大神輿の復活話が浮上。胴体や金具の修復費用約3千万円を、住民や企業の約500件の寄付で集めた。大神輿は解体され、京都や富山の工房などで修理が進む。
実行委の中野紀久雄会長(74)は「祭りは人を呼び、絆を生む。大神輿復活で『近所の力』をよみがえらせたい」。神職の岡康史さん(44)は「大神輿を復活させ、祭り本来の姿を子どもたちに伝えたい」と話す。
「粉浜まつり」は午前10時半から、住吉第一中学校運動場で。募集する大神輿の担ぎ手は15歳以上の男性。本番前に週1回程度の稽古がある。問い合わせは安立(あんりゅう)連合町会福祉会館(06・6674・0260)へ。(岡田匠)
◆キーワード
<住吉祭> 愛染まつり、天神祭と並ぶ大阪三大夏祭り。住吉大社の創建は211年とされ、住吉祭は731年の記録に初めて登場する。夏に流行した疫病などを鎮める意味があり、古くは「おはらい」と呼ばれた。ルイス・フロイスやシーボルトの書物でも紹介され、江戸時代には「摂河泉(摂津・河内・和泉)一の大祭」とされた。2013年から子ども神輿も始まった。
【写真説明】
住吉祭で展示された大神輿(右)。左は2005年に新調された神輿=10年、大阪市住吉区、住吉大社提供
1929年の住吉祭で担がれた大神輿(左上)
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