http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201307030678.html?ref=com_top_pickup
記事
9党首討論会の主な発言 参院選きょう公示
党首討論会に出席した(左から)社民党の福島瑞穂党首、生活の党の小沢一郎代表、公明党の山口那津男代表、民主党の海江田万里代表、自民党の安倍晋三総裁、日本維新の会の橋下徹共同代表、みんなの党の渡辺喜美代表、共産党の志位和夫委員長、みどりの風の谷岡郁子代表=3日午後、東京・内幸町、樫山晃生撮影 |
[PR] |
■自民党 安倍晋三総裁
昨年の今ごろは、長引くデフレ、行きすぎた円高、経済低迷で、閉塞(へいそく)感が国を覆っていた。自民党が衆院選で政権を奪還し、次元の違う3本の矢の政策でデフレ脱却、経済再生に挑んだ。その新しい政策によって、国内総生産(GDP)の成長率がマイナスからプラスに大きく変わった。みなさんの力で政治が変わり、経済も動き出した。参院選に勝ってねじれを解消し、政治の安定を手に入れ、(成果の)実感をみなさまの手に届けたい。
■民主党 海江田万里代表
今度の参院選はまさに「日本のこれから」がかかっている。自民党と公明党の政権には大変危うさがある。この危うさから国民の暮らしを守ることが私たちの主張だ。確かに安倍首相の経済政策は国民の期待をふくらますことには成功した。しかし、その副作用として、まさに物価は上がっている。7月にも電気代、ガス代、食品の値段も上がっている。生活破壊の恐れのある政策に対して、国民の生活をしっかり守ることをテーマに掲げていく。
■日本維新の会 橋下徹共同代表
アベノミクスの第1の矢、第2の矢は結果が出ている。しかし、一番重要な第3の矢である徹底した構造改革は、しがらみのある、既得権に左右されるような政党ではできない。農協改革、混合診療の解禁、カジノ解禁。社会保障では、40歳の世代は年金をもらう年齢を段階的に引き上げていく。道州制の導入。これまでの政治は、選挙を恐れて改革にふたをしてきたが、我々は批判を恐れず、反論を恐れず、そして選挙を恐れず、必要な改革を実行していく。
■公明党 山口那津男代表
経済再生と復興のスピードアップを優先課題として取り組んだ。経済政策を三つの柱で実行し、様々な前進効果を生んだ。しかし、国民の手元では実感が伴っていない。それをもたらすために、特に成長戦略を実行することが重要だ。しかし国会の決定力は十分ではない。参院選は与党で過半数を取って、実行できる力を得るのが与党の共通目標だ。国民目線に立つ公明党の存在が広く民意を受け止め、安心感を与える。連立政権における役割は重要だ。
■みんなの党 渡辺喜美代表
この20年間、日本が右肩下がりの、下がりっ放しになってしまったのは、日本のシステムが時代遅れになってしまったからだ。官僚統制・中央集権が戦後レジームの根幹をなしている。こうした岩盤のようなシステムに風穴を開ける。例えば、公務員制度改革をやらないと国家経営のイノベーションはできない。特に岩盤規制がはびこっている電力、農業、医療の3分野は成長分野でありながら成長ができていない。闘う改革を進めていく。
■共産党 志位和夫委員長
自民党と対決、「四つの転換」を訴えて選挙戦を戦い抜く。第1は国民の所得を増やして景気回復を図る政治への転換。大企業の260兆円の内部留保の一部を活用して賃上げと安定した雇用を増やし、景気回復の突破口をひらく。消費税増税は断固反対。第2は原発ゼロの日本への転換だ。第3は憲法を守り、いかす政治への転換だ。9条、96条の改定に反対。最後に米国言いなり政治からの転換で、TPP(環太平洋経済連携協定)推進に反対だ。
■生活の党 小沢一郎代表
アベノミクスの下での広範な物価高によって、国民の生活は苦しくなっている。原発再稼働によって国民の命も危うくされようとしている。TPP参加は農林水産業の衰退、国民皆保険制度の崩壊を招きかねない。こうした中で、我が国は国際的にも孤立を深め、日米関係も危うくなっている。国民は冷静に判断してもらいたい。政治は国民のために、生活を守るためにある。私どもはそのような政治を実現するために頑張っていきたい。
■社民党 福島瑞穂党首
キャッチフレーズは「強い国よりやさしい社会」。軍事大国化、原発輸出、原発推進、1%の大企業や大富裕層のための強い国ではなく、やさしい社会を目指す。雇用と暮らしの立て直しで景気回復。最低賃金1千円以上を実現し、長時間労働を規制する。原発再稼働、原発輸出を許さない。脱原発基本法を成立させ、自然エネルギーを促進し、地域で電気・産業・雇用をつくる。基本的人権を制限し、憲法9条を変える自民党の動きと対決をしていく。
■みどりの風 谷岡郁子代表
格差の小さい、日本らしい共生社会をつくりたい。参院選は若者・女性の幸せのために戦っていく。資本主義の社会ではお金は低いところから高いところへ流れがちだ。政治は再分配機能を果たすべきだが、これまでそうなってこなかった。そのしわ寄せにより、働いていてもとても貧しい若者たち、女性たちをつくり出している。とりわけ若者、女性たちを不安にしている問題について、脱原発、消費増税の凍結、反TPPを掲げた。
◆経済政策・原発
安倍氏 (消費増税の)法律は昨年に自公民で通して、基本的には来年3%、再来年2%上げていくということをすでに約束している。2年間で2%の物価安定目標に到達すると同時に、2015年に財政赤字の国内総生産(GDP)比を半減していくと約束している。これを達成していくためには消費税を上げる必要があるが、上げることで税収全体が減っては元も子もなくなる。4~6月期の経済指標、足元の状況を見ながら適切に判断していきたい。たくさん借金を抱えているから国の信認も考えながら決断したい。
雇用は5月、前年同月比で60万人増えた。有効求人倍率は0・9になった。我々の政策で実体経済が良くなって、雇用にもいい影響が出てきた。必ず正社員が増えていく。これから入社しようという皆さんに(社員の)定着率がいい企業を分かりやすく示していけるようにしたい。
(消費増税に関して)低年金の人たちへの手当てについては我が党と民主党が合意して対処している。経済成長で年金の財政基盤は安定していく。年金の運用は過去最高の利益をあげている。
10年もの国債の金利には我々も注目している。積極的な政策を行った当初はある程度のボラティリティー(変動しやすい状態)があるのは予想外ではないというのが世界的な金融の専門家の常識だ。だんだん落ち着く。信認が疑われるような金利上昇には政府、日本銀行がしっかりと対応していかなければいけない。
電力自由化(の法案)は秋の臨時国会で直ちに成立させたい。成長力を強化するための法律を通していく。民主党は(アベノミクスの)副作用を主張している。どうやって経済を成長させるのか。
(原発は)原子力規制委員会の基準に合わないものは再稼働しない。同時に私たちは低廉で安定的な電力を供給する責任も負っている。福島第一原発で事故を起こしたものは40、50年前の技術だ。日本の最新技術を世界は高く評価し、「ぜひ日本の安全な原発技術で自分の国の原発をつくりたい」と言っている。我々が過酷事故で得た経験による技術、ハードは世界と共有するべきだ。
海江田氏 経済成長で大事なのは持続可能性だ。長続きするには国内需要。消費を拡大していかなければいけない。そのためには雇用の安定が大切だ。私たちは子ども手当、高校授業料無償化を通じて(子育て世代の)手取り額を増やす努力をしてきた。一番必要としている方々に消費してもらうことで持続的な経済成長を目指す。
物価が3%上がっても年金の額は2・1%くらいしか上がらない状況になってきた。(消費増税するならば)低年金の人たちに何らかの手当てが必要ではないか。
橋下氏 首相のマクロ経済政策、大胆な金融緩和には賛成だ。ただ消費増税に関して、今の日銀の方針と合わさると、2014年には物価上昇が4%、2015年には物価上昇が5%となる。オイルショック以来の物価上昇率を認めるのか。消費税を財政再建の視点だけで考えるのはマクロ経済政策的にはおかしい。
大阪都構想で大阪府・大阪市を統合することで経済効果が出てきそうだ。関西広域連合とか全国の自治体を信用して、我々に経済政策をやらせる権限と財源を与えてもらえれば、しっかりできる。
渡辺氏 2年で物価安定目標2%というのだったら、実質成長2%、物価2%で名目4%になるはずだ。4%成長を達成するには増税を凍結しなければいけないはずだ。
志位氏 13・6兆円もの大増税を国民の審判ぬきに強行するのは民主主義の国では許されない。今やれば暮らしも経済も、財政も破綻(はたん)する。
原発再稼働が今度の選挙の大争点になる。今なお15万人が避難生活を強いられている。事故原因も分かっていない。収束もしていない。こういうときに原発を動かすことは絶対あってはならない。原発即時ゼロの決断をして、廃炉に向かうプロセスを進める。再生可能エネルギーへの抜本的転換を行う。こういうことを訴えていきたい。
小沢氏 小泉政権のもとで雇用制度が改変されて今日では非正規社員が35%を占めていると言われている。これが国民所得の減少、生活を不安定にしている最大の要因じゃないか。
今の政治を続けると、日本社会はますます格差の大きい社会になってしまう。セーフティーネットをきちっと作ったうえで自由競争する社会にしなければならない。
福島氏 20代の死因の半分が自殺だ。社民党は公約で、若者を使い捨てにするブラック企業の公表を掲げている。時給千円以上を実現する必要がある。自民党はできるか。
安倍総理は再稼働や原発輸出を推進している。原発事故が起こったら責任を取れるのか。
谷岡氏 社会は経済のような動脈と、生活、環境、健康といった静脈(でできている)。経済ばかり議論される政治であれば、バランスが崩れていく。みどりの風は「そうではないのだ」としっかりと申し上げたい。
◆外交・安保・歴史認識
安倍氏 日中関係は最も重要な二国間関係の一つだ。戦略的互恵関係の原点に戻るべきだ。国境を接しているから様々な問題が起こる。起こったからといって、すべてのドアを閉じるのは間違っている。要求をのまないから首脳会談をやらないのは間違っている。われわれは常にドアをオープンにしている。(会談で)主張すべきことがあれば主張してくれればいい。お互いが必要だな、という気持ちが盛り上がっていくように努力を続けているところだ。
(第1次安倍内閣の)2006、7年は中国の公船が尖閣の領海に侵入することがなかった。今はしょっちゅう入ってくる。防空識別圏に中国の飛行機が入ってくる。近くを潜水艦が航行している。こういう状況は東シナ海だけでなくて、南シナ海でも起こっている。「力による変更を許してはいけない。法とルールによって秩序をつくっていこう」という考え方を多くの国々と共有していきたい。今の振る舞いは国際社会から受け入れられないと、中国が考え方を切り替えることを目指す。
日韓は民主主義、基本的人権、価値を共有する隣国だ。先般、外相会談を行うことができた。首脳会談ができるような状況をつくるように努力をしていきたい。
(北朝鮮による日本人拉致問題の解決は)そう簡単なことではない。しかし、金正日(キムジョンイル)政権から金正恩(キムジョンウン)政権にかわったことが大きい。拉致のオペレーションに金正日委員長は関わったが、金正恩氏は違う。政策を変えるには「このままではやっていけない」という状況に追い込んでいく必要がある。まず圧力を強めていくことが重要だ。
(日本が過去に植民地支配したのか、中国大陸を侵略したのかについては)私は総理で、政府の長だ。その判断、定義自体が政治問題、外交問題になっていく。私は「歴史家に任せる」とずっといっている。これからも任せていきたい。
総理大臣の私が「歴史がこうなんだ」というのは謙虚ではない。私は植民地支配、あるいは侵略をしていなかったとはいっていない。しかし、それを定義する立場に私はない。
今は靖国神社に行く、行かない自体が外交問題に発展するから(参拝するかしないか)申し上げるつもりはない。
山口氏 集団的自衛権行使は認めないのが長年、政府がとってきた考え方だ。これを公明党は尊重している。これを変えるのであれば、なぜ変えるかをしっかり主張し、国民の理解を得る必要がある。説得力とコンセンサスをつくるのが重要だ。新しいルールをつくりたいのであればしかるべき手続きも必要だ。(自民党が)どういう考えを出すかはまだ分からないので、よく見守りたい。いうべきことは申し上げていきたい。
橋下氏 ぼくの(慰安婦に関する)発言についてはメディアの誤報だ。インタビュー記事を読んでいただければ、どこがぼくの主張だったのか(分かる)。何がいいたかったかというと、河野談話の事実があいまい不明確じゃないかというところだった。河野談話は、国家の意思としての女性の拉致、人身売買を認めたような表現になっている。なぜ日本だけが批判を受けるかというと、まさに国家の意思としての拉致、人身売買というところを取り上げているところだから、ここをはっきりしないといけませんね、ということをいった。
◆憲法
安倍氏 立憲主義には確かに、憲法は権力を縛るという側面がある。しかし、権力をすべて縛るものであるという考え方は王権の時代、専制主義的な政府に対する憲法という考え方だ。いまは民主主義の国家だ。民主主義国家である以上、権力を縛るものであると同時に、国の姿について書き込んでいるものだと私たちは考えている。(自民党案は)国民主権、基本的人権、平和主義は現行憲法、昭和憲法とかわっていない。(自民党案では)いくらでも基本的人権を制限できる、というのは明らかに間違った読み方だ。
私たちは案を示しているが、ただちにこれを次の国会で発議しようということにはなっていない。3分の2を勝ち得るためにどういう知恵が必要か考えるのは当然だ。一般の法律でも、お互いに修正しあったりするのは当たり前だ。私たちは第一歩として自民党の草案を示した。憲法改正がリアリティーをもって議論された意味では、第一の目標は達成することができた。
海江田氏 (首相は)憲法96条について当初の言っていることと違ってきているのではないか。(民主党は)96条から改正に入っていくのは反対だ。憲法9条をはじめとした他の項目は過去に何度も議論して集約する作業に入っている。9条についていえば、私たちは平和主義とか専守防衛、徴兵制はやらないという考え方、国会がしっかりと統制しないといけないという考え方の柱を決めたから、そのなかで議論をしていく。
小沢氏 基本的人権は永久の権利として与えられたものだ、と規定されている憲法97条が自民党案では削除となっている。これはどういう考えのもとに、どういう憲法、日本にしようとしているのか。
福島氏 憲法は国家権力を縛るものだ。立憲主義だ。総理はこれに同意するか。同意するなら、自民党の憲法改正案はこれにのっとったものか。自民党の憲法改正草案は基本的人権を公益、および公の秩序によっていくらでも制限できるというものになっている。表現の自由を公益で制限すれば、権利がなくなってしまう、あやうくなる。
谷岡氏 いまの私たちの憲法は「日本国民は」という言葉から始まる。あきらかに憲法は日本国民のものと規定されている。それに対して、自民党案は「日本国は」ということから始められている。なぜ「日本国民は」という言葉を「日本国は」としたのか。この違いはなんなのか。
最新トップニュース
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。