7/24放送「関税15% 日米合意の舞台裏 『1枚の写真から見えてきた交渉の真相』 米側が詳細発表」
日本への相互関税が15%で合意しましたが、24日朝にアメリカ政府が具体的な合意の内容を発表しました。そして、トランプ大統領との緊迫の交渉も明らかになりました。
日米関税交渉の電撃合意。その裏側が、1枚の写真によって明らかになりました。
関税交渉中に撮影された写真。ホワイトハウスの高官が自身のXに投稿したものです。
トランプ大統領に向かい合うように座るのが、赤沢大臣。その脇には、2人の交渉を見守るベッセント財務長官とラトニック商務長官の姿もあります。
トランプ大統領の前には、文字が印刷されたボードが置かれています。よく見ると、赤沢大臣の前にもボードと同じような文字が印刷された紙があるのが分かります。
ボードの文字を読むと、一番上には「日本はアメリカに投資する」と書かれ、その下には「10%の関税、次のものに15%、自動車、医薬品、半導体」の文字があります。
さらに、交渉の過程で変更されたものなのでしょうか。4000億ドルの「4」の数字に斜線が引かれ、手書きで5000億ドルに直されています。
さらに一番下には「50%の利益」の文字が書かれているのも分かります。
トランプ大統領は、自身のSNSに関税交渉の結果を喜ぶコメントを投稿しました。
「私の指示で、日本はアメリカに5500億ドル(約80兆円)を投資する。その利益の90%を米国が受け取ることになる。かつてない規模になる数十万の雇用が創出される」
経済・金融のアメリカ大手情報配信会社、ブルームバーグは23日、今回の日米関税交渉について、その裏側を報じました。
「当初、日米双方は利益を折半する形で約4000億ドル規模のファンドについて協議していたとされる。写真では当初4000億ドルとなっていた金額が、トランプ氏によって手書きで5000億ドルに書き換えられたことが見受けられる。最終的には5500億ドルで妥結した」
9対1の利益分与は当初は50%ずつで折半の予定だったといい、さらに投資額は1500億ドル(約22兆円)増えたと指摘。最終会議でさらなる譲歩を強く要求し、米国にとってさらに好条件を確保したと報じました。
また、アメリカ政府高官の話として、これはアメリカ国内でトランプ自身が投資を管理できる政府系ファンドに近いものだと説明しました。
そして24日朝、アメリカ政府が具体的な合意内容を発表しました。
日本は直ちにアメリカ米の輸入を75%増やし、80億ドル(約1兆1700億円)の米国製品(農産品など)を購入する。
日本はアメリカ産の民間航空機の購入を約束。それにはボーイング社の航空機00台購入の合意も含まれる。
アメリカの自動車やトラックに長年課されていた規制の撤廃。アメリカの自動車基準が日本で初めて承認されることになる。
何十年にもわたり、アメリカ企業の日本市場参入には障壁があったが、この協定により重要分野参入への突破口が開くと記載されています。
日本時間の24日未明、日本やフィリピン、インドネシアとの関税交渉を終えたことに対し、ホワイトハウスのレビット報道官からこんな発言がありました。
「トランプ大統領は、ついにこの国がぼったくられることを阻止しました。大統領の見事な交渉と作戦の結果、有害な貿易の障壁は取り除かれ、多くの外国市場はアメリカ産業に初めて開放されたのです」
「日本と史上最大の貿易協定に署名した。日本は最高のメンバーをここに派遣し、私たちは長い間、懸命に取り組んだ。これは誰にとっても素晴らしい取引だ」
電撃合意に喜びをあらわにするトランプ大統領。石破総理もこう述べました。
「相互関税について、25%まで引き上げるとされていた日本の関税率を15%にとどめることができました。これは対米貿易黒字を抱える国の中で、これまでで最も低い数字となるものであります」
その成果をアピールするなか、8回にも及ぶ交渉を経て合意を締結させた赤沢大臣はこう話しました。
「簡単な交渉ではありませんでしたが、しかし緊密な日米間の協議を通じて構築をされた相互理解と、信頼関係を基礎として本日両国の国益にする合意ができたと、そのことについては大変喜ばしいことである」
安堵(あんど)の表情。一方、自動車メーカーはこうみています。
「完全撤廃を目指すと言っていたのに…という気持ちはある」
「25%に比べたら約半分。進歩を感じたが、15%で納得しちゃっていいのかという気持ちはある」
さらに、町工場ではテレビから流れる会見を不安な眼差しで見つめる男性がいました。ホワイト・テクニカの白石正治社長です。
「もう、これ(関税の話題)付きっきりですよね」
「(Q.(関税の)ニュースに釘付け?)釘付け」
東京・大田区で45年、カメラや医療機器などの部品を製造しています。今回15%の関税に合意したことについてはこう話します。
「今度の15%、これは25とか30とか35とかあったから低く見えましたけど、実際どうなんでしょうね…。よくやったとは思えないですね」
取引先や協力会社などが次々と閉業し、作業にも影響が出始めているといいます。
「こういうのはうちで作るんですけど、鈑金屋さんは溶接もやってるんですよ。だからお願いしますって、すぐそこに行ったらやってない。遠い所まで行ってやってもらって…」
そんななかでも、白石社長は会社を存続させるため、半年前から値下げの要望に応えています。
「(通常より)7%下げたかな、200円。(納品先は)多分、輸出関係ですから、多分そうでしょうね」
しかし、関税の影響で今後経営がさらに苦しくなるのではないかと不安を口にします。
「そういうふうになっていけば、違う仕事をやらざるを得ないですかね。うーん、厳しいですね。やっと息してるくらいですよね。仕事が増えてくればいいんでしょうけど…」
今回のアメリカとの交渉では、コメの輸入についても合意がありました。石破総理はこう話しました。
「枠内でございますので、その中でアメリカからのミニマムアクセス米の調達、割合を増やすということだと思っていただいて結構ですが、今回の合意について農業を犠牲にするというようなことは一切含まれておりません」
日本は毎年、およそ77万トンのコメを「ミニマム・アクセス」として無関税で輸入しています。その枠内で、アメリカの輸入割合を増やしていくことで合意したと説明しました。
24日朝に発表されたアメリカ側のリリースによると、日本は農産物などの輸入割当量を大幅に拡大し、アメリカ産米の輸入を直ちに75%増加させることで合意したとなっています。
都内のコメ業者・株式会社スズノブの西島豊造代表取締役はこう話します。
「ミニマムアクセスの枠の中で数字を変えてもらう分には、あまり問題ないと思うんですよ」
「今回の合意によっての影響はあまりないのでは?」と話す一方で、気になっていることがあるといいます。それは「石破総理の進退問題」でした。
「選挙に負けたからすぐ辞めろの問題じゃ今はない。今辞めてしまったら、今までのおコメの政策どこに行っちゃうんですか?価格も下げましたよね、備蓄米も出しましたよね。でも、何もそこから進んでないんですよ」
もし石破内閣が退陣したら、コメ政策が停滞または「振り出しに戻る」ことを不安視していました。
23日午後、自民党本部で異例の会談が行われました。
麻生太郎最高顧問、菅義偉副総裁、岸田文雄前総理。3人の総理経験者と会談を行なった石破総理。会談前は4人とも一様に険しい表情を浮かべていましたが、終了後には麻生氏と岸田氏は、笑みを浮かべながら、何やら言葉を交わしています。菅氏は、そのすぐ後ろを歩いていきます。
そして、石破総理も報道陣に会釈。1時間20分の会談で何が話されたのでしょうか。
「強い危機感を皆で共有をしたということ。党の分裂ということは決してあってはならない等々、いろんなお話ございましたので。私の出処進退につきましては、一切話は出ておりません。一部にそのような報道がございますが、私はそのような発言をしたことは一度もございません」
自身の進退についての話は、一切出ていないと口にした石破総理。会談には、森山裕幹事長も同席しました。
「選挙の総括については、できるだけ早く行わなければならないという意見が出ました。また党員、党友や地方組織、友好団体等にもいろいろな意見があるので、丁寧に耳を傾けるべきであるという意見もございました」
23日、自民党本部では、さまざまな動きがありました。
「大変声が大きかったのが、総裁および執行部の刷新。そして、即時退陣というものでありました」
自民党青年局の中曽根康隆局長は、全国の都道府県連・青年局の意見を集約し、執行部に対し参院選の敗北の責任を取り早期退陣するよう迫りました。
また、神奈川県連の執行部も自民党本部を訪れました。神奈川県連は小泉進次郎農水大臣が会長を務め、さらには石破総理と会談した菅副総裁も所属しています。
自民党 神奈川県連 赤間二郎衆院議員
「きょうは自民党神奈川県連として、この選挙の結果を受けて、また党員・党友のさまざまな声も踏まえて、責任の所在を明確化してほしいという要請、このことで参りました」
立憲民主党 野田佳彦代表
「自民党内の動きを注視していきたいと思います。下野論もあるようですし、一方で政権を取り続けていこうと。総裁選をやって、当然総裁目指す人は総理を目指す可能性はあると思いますので。そういう状況などをよく見ながら、判断をしていきたいと思います」
国民民主党 玉木雄一郎代表
「はっきり言って、再続投宣言ですよね。選挙結果がなかったような振る舞いであることは変わりない。あの選挙で示された民意は一体、何だったのかということになる。3人の総理経験者と危機感を共有したから続けるとか、国民から見たらストンと胸に落ちる、腹に落ちる説明にはなっていないので。永田町の論理で続投を決めたのかなという印象ですね
(「羽鳥慎一モーニングショー」2025年7月24日放送分より)