1/30 月 朝刊
五輪本大会400億円も談合か 組織委側「テスト落札企業に原則委託」 特捜部、立件検討
ミャンマー脱出、恋人と森へ ブローカー頼り、タイに密入国 クーデター2年「優秀な人ほど国出る」
高速の老朽化対策、追加1.5兆円 財源確保へ有料延長法案
折々のことば:2631 鷲田清一
さあ、武器(アームズ)を置こう。/たがいの体に腕(アームズ)をまわせるように。/だれも傷つけず、皆が調和する社会を目指そう。
(アマンダ・ゴーマン)
(天声人語)最近よく見る乗り物
ご存じ孫悟空の魅力は雲に乗り思うがままに大空を駆け巡ること。「十万八千里さきまで飛んでいけるぞ」。術を教えた師匠は言った。「げんこつをにぎりしめ、からだをひと揺すりしてから跳びあがり、ひとつきん斗(とんぼがえり)するのじゃよ」(中野美代子訳『西遊記』)▼▼▼▼きん斗雲に乗った悟空は世界のはてまで飛んだつもりでも、実は釈迦如来の手から出ていなかった。自由な走行をおおらかに包み込みつつ、危険を防ぎ、暴走を許さない。魅力的な乗り物だけに、そんな如来の掌(てのひら)のようなルールにはできないものか。
1/30 月 夕刊
(コロナ3年 人生が変わった)海外で活動制限、届けた私の音楽 オーストリア・ベトナム
防衛増税に首相「時期、柔軟に判断」
ヘルソンで3人死亡「武器供給を」
ロシア「ワグネル」、4千人超死亡か
素粒子
66年前の今日、群馬県で薬莢(やっきょう)拾いの女性を米兵が至近距離で撃ち殺す事件が起きた。国内で裁く代わりに軽い罪で起訴する密約が両国間で交わされた。ジラード事件という。
◎
その後も米兵の犯罪と被害者の悲嘆・無念は尽きない。
◎
「日米同盟の現代化」を言うなら不平等な地位協定の現代化も。「議論・検討」の段階は過ぎた。首相の「決断」こそ。
1/31 火 朝刊
PFAS、国が対策強化へ 健康への悪影響、指摘 基地や工場周辺で検出
ルノー、日産と対等出資に 15%に引き下げ合意
子育て財源、地方負担検討 首相、社会保険支出も視野
折々のことば:2632 鷲田清一
「この商売、店が客に一本とられることもあれば逆もある。気にせんでいい」
(ある露天商)
(天声人語)戦争と五輪
第2次大戦で中断した五輪が再開されるのは終戦から3年後の1948年である。開催地はロンドン。敗戦国の日本も参加を求めた。「恐らく無理だろうとあきらめながらも、心の隅ではオリンピック参加を熱望していた」。「フジヤマのトビウオ」で知られる古橋広之進(ひろのしん)は自伝でそう振り返っている▼▼▼▼▼五輪に参加できなかった古橋はさぞ悔しかったろう。だが、その感情をのみ込み、これを「敗戦国の宿命」と記した。彼ならいま、ロシアの選手にどんな言葉をかけるだろう。ウクライナの人々に何と言うだろう。
1/31 火 夕刊
帰れぬ島の記憶、受け継ぐ 硫黄島、返還後は基地に 3世が聞き取り、写真集めアーカイブ化
首相、児童手当を拡充させる方針
世界成長率見通し、2.9%に引き上げ
「韓国はウクライナに軍事支援を」 NATO事務総長
素粒子
今月も驚く発言が次々と。
細田氏「議長の立場として記者会見で答えるのはふさわしくない」。没論理。理解不能。
◎
麻生氏「少子化の最大の理由は出産時の女性の高齢化」。副総裁がこれでは「異次元」対策の行方も推して知るべし。
◎
茂木氏「児童手当の所得制限の撤廃を」。つまり旧民主党政権の施策に戻れと。「悪夢のよう」の罵詈(ばり)雑言はどこへ
2/1 水 朝刊
環境債ではなく移行債 基準緩め20兆円調達 新たな国債発行へ
児童手当の拡充表明 首相、具体策は示さず 衆院予算委
米、5月に解除 コロナ非常事態 ワクチンや薬、自己負担も
折々のことば:2633 鷲田清一
風に逆らって歩くとき、敏感さは――過敏さというようなものは――致命的である。 (坂口ふみ)
(天声人語)スーチー氏の旅
小説家カポーティの『ティファニーで朝食を』に登場するヒロインは、いささか風変わりな名刺を自宅アパートの郵便受けに貼っている。「ミス・ホリデー・ゴライトリー」と書かれた名前の下には住所ではなく、こうある。「旅行中」▼▼▼▼▼スーチー氏は平和を求める人は誰もが「救いの星に導かれる砂漠の旅人」なのだと言った。ミャンマーの人々の苦難の旅は続いている。そのことを忘れたくない。同じ、旅人として。
2/1 水 夕刊
戦禍のダーニャ、角界の門 ウクライナから避難、縁と実力で安治川部屋入り
ウクライナ・EU首脳会議に期待 ゼレンスキー大統領
ミャンマーへの関心低下、問題視 国連特別報告者
パキスタン自爆テロ、犠牲100人超
素粒子 愚か者は水が半分入ったかめ、賢者は水の満ちた湖、とブッダの教えにある。欠けて足りないものは音を立てる、と。
◎
所得制限なき子ども手当を進めた旧民主議員らを「愚か者」と大声で罵倒の丸川氏。今になり「反省すべきは反省」。
◎
当時、故安倍氏も社会全体で子育てという考えはポル・ポトと同じと批判していた。失われた10年経て是正の時。
2/2 木 朝刊
航空エコ燃料確保、国が主導 米などと連携、民間と共同調達へ
熱中症「特別警戒アラート」 高温予測で発表→冷房備える施設開放 来夏運用へ
沈黙の抗議 ミャンマー
ベンチ入り2人増・五回終了時に休憩 夏の甲子園、球児の負担軽減
折々のことば:2634 鷲田清一
どうやら、こちらが相手を理解する分だけ、相手もこちらを理解してくれるようです。 (斉須政雄)
(天声人語)テレビ放送70年
ある俳優がNHKの時代劇に出た。テレビ草創の頃である。出演料の入った封筒を本番の直前にもらい、胸元におさめてカメラの前へ。当時はドラマでも何でも生放送だった。やり直しはきかない▼▼▼▼▼とはいえ、居間に皆が集まって同じ番組を見る光景は、家族だんらんの一つの形ではあっただろう。ネット動画ならば、好きなものを好きな時に見られる。一人ひとりが顔も合わせずに、別々のスマホで。ホームドラマの作り手には何ともやりにくい時代になった。
2/2 木 夕刊
ゆるくて自由、私たちの学校図書館 マンガ・こたつ…もう一つの居場所
米FRB、利上げ幅0.25%に縮小
汚職、ウクライナ国税庁幹部ら更迭
集合住宅にロシア攻撃、3人死亡 ウクライナ
素粒子
〈問題は結果に到達する手続きだ。政府専断のきらいはなかったか。同じ結論になるにしても、材料を十分供給し討議を尽くしたか否かで、人心の受ける感銘は全く違う〉
◎
昭和初め、ジャーナリスト石橋湛山は議会を軽視する内閣を批判した。「結論」が彼が是とする内容であってもだ。
◎
後に首相になった湛山。岸田「塩答弁」に泉下で何思う。
2/3 金 朝刊
特殊詐欺、被害額8年ぶり増 組織トップ、検挙者の1.9%
刑法犯20年ぶり増 「人出戻った影響」
核最終処分場「協議の場」 原発立地自治体と 政府新設へ
組織委元次長、談合認める 東京地検聴取 電通側の供述影響か
折々のことば:2635 鷲田清一
宇宙を感じるには、早起きして頭を傾けてみるだけでいいのだ。
(橋本幸士〈こうじ〉)
(天声人語)「ただいま」
玄関を開けて、まだランドセルも下ろさぬうちだろう。〈ただいまぁ/あのね きょう学校でね/あのね きょうお休みの人はね/あのね きょうのきゅうしょくはね〉▼▼▼▼▼「ただいま」は親子の心をつなぐスイッチである。その言葉を、身を守るために使わねばならない。寒々とするのは冬のせいだけではあるまい。
2/3 金 夕刊
農の魅力、掘り起こせ 放棄地をワイン用ブドウ畑に 長野・小諸、元人気グループ27歳の挑戦
河井夫妻事件、地元町議が無罪主張
プーチン氏「ドイツ戦車、再び脅威」
五輪ボイコット議論、IOC「遺憾」
素粒子
代理店やイベント事業者をコントロールし、危機管理対応にあたり、社会の共感を得る――。五輪組織委の元次長が大会の経験を踏まえ、同様の国際的な催しを今後開く際のポイントに挙げた事項だ。
◎
その元次長が五輪をめぐる談合を認めたという。IOCの専横、強行開催、関係者の差別的言動、そして検察による摘発と、最も大切な「共感」に程遠かった2020大会。
2/4 土 立春 朝刊
米IT大手、減速鮮明 計5万人削減 コロナ下の急成長、景気不安で鈍化 22年10~12月決算
性犯罪規定、大幅見直しへ 同意年齢引き上げ・時効延長
国枝氏、国民栄誉賞授与へ 政府検討 車いすテニス、東京パラ金
(がんとともに)治療は、仕事は、相談支援充実へ
折々のことば:2636 鷲田清一
戦争を知る者が引退するか世を去った時に次の戦争が始まる例が少なくない。
(中井久夫)
(天声人語)日本人の名前
作家の開高健はペンネームではなく、これが本名である。エッセーで「めったにない名だから子供のときからイヤな思いばかり味わってきた」と回想している。ヒラキダカ、カイダカと呼ばれることが多かった▼▼▼▼▼こんな悩みが生じるのも、元をたどれば、漢字に音訓という複数の読みをあててきた日本語の豊かさゆえだ。かの開高(かいこう)氏の名前も、正しくは「タケシ」だが、「ケン」と署名することも多かったそうだ。いやはや名前は難しい。
2/4 土 Be 朝刊
(フロントランナー)一般社団法人「全国がん患者団体連合会」理事長・天野慎介さん 患者の声を届けたい
2/4 土 夕刊
(がんとともに)骨髄がつないだ、娘の命 「みんなに生きるチャンスを」母が映画制作
荒井首相秘書官、更迭へ 同性婚巡り「隣に住むのも嫌」発言
素粒子
「隣に住んでいるのも嫌」発言の秘書官を首相が珍しく迅速に更迭へ。問題閣僚を延々引っ張り、傷を深めた教訓?
◎
元をたどると、同性婚を認めれば「社会が変わってしまう」との自身の答弁、そして差別発言を繰り返した杉田議員の政務官起用。その反省は?
◎
横を見ると、公用車でお土産と「観光」の長男秘書官は続投。人々の視線どう感じる?
2/5 日
朝刊差別発言、秘書官を更迭 首相の同性婚答弁巡り「隣に住むのも嫌」 首相の人権意識に疑問も
学校近く229交差点、事故続発 「ゾーン30」9割が指定外
(がんとともに)行動を導く灯に 薬師寺などライトアップ
折々のことば:2637 鷲田清一
正義に引きずり回されたくない。それはひとつの政治思想です。
鶴見俊輔)
(天声人語)「国を捨てる」とは
英作家のカズオ・イシグロ氏は6年前、ノーベル文学賞の受賞講演で自らを「フェミニズムや同性愛者の権利、人種差別との闘いで大きな進展を見た世代だ」と語った。だが近年は、差別主義などが「埋もれた怪物のように文明社会の地下でうごめいている」と▼▼▼▼▼イシグロ氏は、未来は不確かだが「多様であれ」と最後に呼びかけた。そうすれば次の世代が大切で素晴らしい物語を伝えていくはずだと。いまの日本の指導者たちでそれができるだろうか。