暗喩のことばの充満性は、換喩にもちいられる空白=断片によって瓦解させられてゆく。これらすべてによって「暗喩的戦後」が「換喩的現在」へと移行しつつあるのだ。
(「換喩的現在」)
「暗喩詩」から「換喩詩」へ――これまで詳細に論じられてこなかった90年代以降の詩の趨勢を、「換喩」をキーワードに根源的に定義づける。詩の現在に対峙するための詩論集。装幀=奥定泰之
本体3,800円+税
四六判並製・410頁
ISBN978-4-7837-1693-8
2014年3月刊
換喩(かんゆ)は、修辞学の修辞技法の一つで、概念の隣接性あるいは近接性に基づいて、語句の意味を拡張して用いる、比喩の一種である。また、そうして用いられる語句そのものをもいう。メトニミー(英: metonymy)とも呼ばれる。文字通りの意味の語句で言い換える換称とは異なる。上位概念を下位概念で(またはその逆に)言い換える技法を提喩(シネクドキ)といい、これを換喩に含めることもある。
目次
実例
頻繁に用いられる換喩には、以下のように関係性がある。
- 包含
- ある事物が他の事物を包含するもので、換喩の典型である。たとえば、「食卓」 は「テーブル」の意味から転じて、そこに載る食事あるいは料理を指すこともある。米飯を意味する「ごはん」「めし」を食事全体の意味に用いて、「朝ごは ん」「晩めし」などと称するのもこれにあたる。また、建物の名称がそこに含まれる事物を表す場合もそうである。代表的なものに、「東宮」(皇太子の居所、 または皇太子自身)、「ホワイトハウス」(アメリカ大統領官邸、または当地に勤務する職員)、「ペンタゴン」(アメリカ国防総省および同国の軍事)があ る。
- 道具・器具
- しばしば道具や器具の名が、それを使用する職業人を表す場合がある。
- 「白バイ」=白バイ隊員(警察官)
- 「ペンは剣よりも強し」=ここでの「ペン」は、それを手に取って文章を書く人、すなわち「文筆家」や「文学家」あるいは「思想家」などの意味である。