これは、ある秋の日の男女4人の会話です……
A子 「すっかり秋の空ねぇ」
B子 「どうして?」
A子 「だって、ほら、さば雲!」
B子 「それを言うなら、いわし雲でしょ」
C男 「いわし、さば、どっちも魚関係だな」
D男 「そう言えば、うろこ雲っていうのもあったよな?」
B子 「確かに。いったいどれが正しいの?」
さば雲、いわし雲、うろこ雲。なんだかよく似ていますが、秋の季語として聞いたことがあるようなないような……。さて、どれが正しいのでしょう?
さば雲、いわし雲、うろこ雲ってあるの?
これらの雲は全てあります。いずれも高いところにできる巻積雲(けんせきうん)の俗称で、小さなかたまりがたくさん集まっています。
さば雲、いわし雲、うろこ雲を明確に区別する定義はないため、どれも間違いではありませんが、しいて言えば、見た目の様子で区別することができます。
【さば雲】
鯖(さば)の背の模様のように波状になったもの。
【いわし雲】
鰯(いわし)の群れのように見えるもの。この雲は鰯が大漁になる兆しだとも言われています。
【うろこ雲】
魚の鱗(うろこ)に似ているもの。
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ひつじ雲のほうがかたまりが大きい |
いずれも秋によく見られることや、大きな雲、広い雲に比べてより一層高いところにあるように見えることから、秋の季語になっています。
また、似たような雲にひつじ雲(高積雲の俗称)がありますが、ひつじ雲のほうが1つ1つのかたまりが大きいのが特徴です。