太陽の風を「プラズマ」とよぶ。
こどもの本
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広辞苑
プラズマ【plasma】
(1)血漿(けっしょう)。プラスマ。
(2)自由に運動する正・負の荷電粒子が共存して電気的に中性になっている状態。放電中の放電管内の気体、電離層、恒星の外気などはこの状態にあると考えられる。
・・・・・・・・・・・・・・・・プラズマ (plasma) は一般には電離した気体のことを指す。通常の気体を構成する中性分子が電離し、正の電荷をもつイオンと負の電荷をもつ電子とに別れて自由に飛び回っている、全体として電気的に中性な物質である。しかし、構成粒子が電荷をもつため、粒子運動がそれ自身のつくり出す電磁場と相互作用を及ぼしあうことにより、通常の分子からなる気体とは大きく異なった性質をもつ。そのためプラズマは物質の三態、すなわち固体・液体・気体とは異なった、物質の第四態といわれることもある。物質の四態は、古代ギリシャで考えられていた世界を形成する4つの根源であり、『地』は固体、『水』は液体、『空気』は気体、『火』はプラズマ(炎はプラズマの一種)に対応するとして、William Crookesが、放電現象に対して第4の物質の状態という言葉を最初に用いたと言われている。
物質の第四態と言われることもあるプラズマは、必ずしも物質の第三態である気体の必要はない。また、プラズマを定義する場に、本来は無関係な相の概念を持ち出してきて、物質の第●態といった記述によって、認識に混乱を招くことは好ましくない。「ほぼ同数の正負の電荷が混在する気体」といった回答では、試験などで点数が取れないことがある。これからプラズマについて学ぶ人は、この点に十分な注意が必要である。より正確な定義は、「電荷群が不規則な熱運動をする力学系のなかで、2つの荷電粒子間の相互作用の及ぶ平均距離(デバイ(Debye)の遮蔽距離)よりも十分に大きな体積部分の呼称」となる。産業分野で用いられている、半導体のような固体や、イオン化された液体なども、電荷の状態によっては一般的な従来からのプラズマの範疇に含まれることがある。
プラズマは身近にも存在し、実験室内でも古くから真空放電の研究に伴って観察されていた。そこにある電離した気体自体を対象とした研究は1920年代のアーヴィング・ラングミュアに始まり、そこでシースやプラズマ振動の存在など、プラズマの基本的性質が次々と明らかにされた。そしてラングミュアは、1928年にこの物質状態に「プラズマ」という名前を与えた。さらに1950年代以降、エネルギー源としての熱核融合研究や宇宙空間でのプラズマの役割探求、さらには広く応用を進める上での基礎学問として、その研究が進展していった。
プラズマの特徴として、中に多数の自由電子があるため電流が極めて流れやすいという点が挙げられる。電流が流れればその近辺に電磁場を生じ、それがまたプラズマ自身の行動に大きく影響する。そのためプラズマ中では粒子は集団行動をとりやすく、全体として有機的な挙動が観測される。外部から電磁場を掛ければそれに強く反応する。こうした有機的挙動の1つの現れとして、プラズマ中には通常の気体中には存在しない、電場を復元力とする縦波であるプラズマ振動が存在する。
医学分野では血漿 (blood plasma) のことを、生物学では原形質 (protoplasm) をプラズマと呼んでいる