➀ 12/15 木 朝刊
薗浦議員、事前報告認める 説明一転、指示は否定 過少記載
防衛財源3税、大筋合意 法人税・所得税・たばこ税 自民税調幹部
2度目質問権を行使 旧統一教会に 民事裁判の報告要求
留置場自殺、3署員書類送検 点検巡り虚偽報告疑い 大阪府警
折々のことば:2586 鷲田清一
母親に向かって、「死ねばいい」……とののしったりするのは、ほとんどやつあたり。半分は自分に向かって言っている。 (高校一年生)
(天声人語)ゴブリンになりたい?
欧州の童話に登場するゴブリンは、悪さをして人間を困らせる生き物だ。妖精から小鬼まで描かれ方は様々だが、アンデルセンの『雑貨屋のゴブリン』はかなり人間臭い。おいしいおかゆをくれる1階の雑貨屋と、屋根裏で詩集を読む貧しい学生のどちらと住むか迷う▼▼▼▼▼アンデルセンのゴブリンは雑貨屋か学生かで迷った末に「時間をふたつにわけよう」と決める。詩は心を豊かにするが、おかゆも必要だ。「いいとこ取り」は、悩める人間として実にうらやましい。
➁ 12/15 木 夕刊
赤い旋風に拍手 モロッコ、4強で涙 サッカーW杯カタール大会
防衛増税、時期明記せず
米FRB、利上げ幅を0.5%に縮小
知床、「波高くなった復路で浸水」 観光船沈没事故
素粒子
防衛増税ドタバタ。肝心の使途は見えぬまま。福祉や教育の財源不足そっちのけで。
「復興」を都合よく使い回すのを見て思い出す。たしか「復興五輪」と言ってたな。
× ×
しらを切り、うそをついていたわけだ。薗浦衆院議員が全否定を一転させたそうな。
× ×
時代の変化くっきり。米で同性婚の権利保障法が成立。
➂ 12/16 金 朝刊
防衛財源、裏付け先送り 増税時期示さず 与党税調
復路で浸水「冷たすぎて泳げない」 知床事故、ハッチに不具合 運輸安全委が報告書
米利上げ、ペース減速 円安収束の見方強まる 0.5%幅
折々のことば:2587 鷲田清一
「今では、ここの刑務所の囲いの塀の中だけを求めてヒバリが巣を作っておりますよ」 (八王子の医療刑務所長)
(天声人語)ベルト手錠と革手錠
「ベルト手錠」とは何か。刑事収容施設法の施行規則は「適宜な幅の腰ベルトの左右に手首を固定するため伸縮できる輪を設け」たものとしている。通常の手錠と違い、三つの輪で腕と胴体をつなぐ▼▼▼▼▼刑事収容施設の状況をみれば、その国の人権レベルがわかるという。時代遅れの実態が続く限り、密室の人権侵害はまた繰り返される。
➃ 12/16 金 夕刊
協定が守る家族愛 農家の経営指針、締結6万件
安保3文書、きょう閣議決定
NY株、一時900ドル超値下がり
赤十字救護所に砲弾命中、女性死亡 ウクライナ
素粒子
➄ 12
/17 土 朝刊
戦後日本の安保、転換 敵基地攻撃能力保有、防衛費1.5倍 3文書決定
折々のことば:2588 鷲田清一 科学の振興には、本当に科学というものが分っている人を必要とする (中谷宇吉郎)
(天声人語)異議申し立ての文化
欧州ではこの時期、ストライキが起きるという印象が強い。クリスマスを控えて物入りなのに、賃上げが不十分だと労働者の不満が増す。物価高騰ならなおさらだ。経営者と交渉が決裂したとき、最大の効果を期待して行使する権利がストなのだ▼▼▼▼日本でもこの10年、脱原発集会や安保法案の抗議デモで異議申し立てをしたことがあった。敵基地攻撃能力の保有など安保政策の大転換となったきのう、国会前を歩いた。かつてのにぎわいは、まだなかった。
➅ 12/17 土 朝刊 be
(フロントランナー)不知火病院理事長・精神科医、徳永雄一郎さん うつ病専門病棟の先駆者
⑦ 12/17 土 夕刊
思い出語る遺族に教わったこと ある警察官の決意 大阪のビル放火殺人1年
変わらぬ悲しみ、伝えたい思い 大阪のビル放火殺人1年
(Photo Story)生まれ変わる
素粒子 9条のさらなる空文化が、民意を問うこともなく進む。
× ×
専守防衛の「撃たぬ国」が安保法制で「撃てる国」になり、敵基地攻撃能力を持つことで、ついに「撃つ国」へ。
× ×
疑問と不安が、いや増す。ミサイルに敵はひるむのか。敵の「着手」をどう見抜く。何十倍も撃ち返されないか。本当に43兆円も必要なのか。借金で軍拡は禁じ手のはず。
➇ 12/18 日 朝刊
攻撃ドローン「日本製部品」 イラン製、ロシアが使用
奪われた命、思う 大阪ビル放火殺人1年
薗浦議員、共謀認める意向 地検、略式起訴も検討 過少記載
折々のことば:2589 鷲田清一
(天声人語)危うき大転換
アフガニスタンで3年前に殺された医師の中村哲さんは、武器を手にした人間の弱さと狂気を知り尽くした人だった。現地で人道支援をしながら幾度も戦闘に巻き込まれたからだろう。「『撃つな』という方が勇気が要って、ぶっ放すことは本当に簡単だと思いました」と作家の半藤一利さんとの対談で語っていた▼▼▼▼▼もっと時間をかけて広範な議論をすべきだったのではないか。国民に覚悟を求める重大事なのにあまりにも拙速で乱暴な政治である。「平和には戦争以上の努力と忍耐が必要なんです」。そんな中村さんの言葉もこれでは空しく響いてしまう。
⑨ 12/19 月 朝刊
薗浦議員、辞職へ 虚偽説明認める 略式起訴の判断待たず 過少記載
「ちょっと ちがう」11歳の命の先に 給食アレルギー事故10年、対策の訴え形に
有害投稿の削除、誰が ツイッター解雇、安全対策の部署縮小
折々のことば:2590 鷲田清一
自分が疑えないのは最も知的でない。自分が無謬(むびゅう)であると考えるのは最も知的でない。 (福岡伸一)
(天声人語)ゆりなさんのペンケース
薄茶色の小さなペンケースが売られていた。バナナの茎を素材にしたやさしい手触り。買いたいと私が言うと、ゆりなさん(24)は驚いたようだった。「自分がつくったものが売れるのを見るの、初めてだから」。彼女の目に涙がわっとあふれた▼▼▼▼ゆりなさんははにかんだような表情で話していた。「人間関係がダメ。わたしはもうダメなときはまったくダメだから」。三つ続いたダメが心に残った。ペンケースはいまも私のカバンに入っている。手にするとつぶやきたくなるときがある。「大丈夫」
⑩ 12/19 月 夕刊
メッシ、伝説の集大成 アルゼンチンV、PK戦でフランス破る サッカーW杯カタール大会
内閣支持率31%、発足以降最低に
日銀の国債保有、初めて5割超す
北朝鮮「偵察衛星、最終段階の試験」
素粒子
サッカーW杯が閉幕。この間、躍動する選手の陰で――。
◎
開催国の人権状況に疑義。一方でそのカタールに便宜を図る見返りに金品を受け取ったとして欧州議会幹部が訴追され、大混乱に。国内では五輪を巡り、汚職に続いて談合疑惑。その余波か、30年冬季五輪開催地の決定は先送り。
◎
取り巻く闇の深さに、将来への不安いや増す祭りの後。
⑪ 12/20 火 朝刊
当初予算案、114兆円台 政府調整 異例6兆円増、防衛費が押し上げ
岸田内閣支持、急落31% 防衛増税「反対」66% 朝日新聞社世論調査
(天声人語)自衛隊と性暴力
「過去にあなたに起きたことは変えられません」。記者たちは性被害の証言を記事にしようとしたとき、まずそう言ったそうだ。冷たく聞こえるかもしれないが、被害者に誠実であろうとするもの。ハリウッド映画界での性暴力を暴いたニューヨーク・タイムズの話である▼▼▼▼▼五ノ井さんは東日本大震災での救援活動を見て自衛隊にあこがれた。きのう都内で開いた会見で今回の対応への強い不満を示しつつ、こうも話していた。「自衛隊は変わらない、と言う人もいますが、私は変わると信じています」
アルゼンチン36年ぶりV サッカーW杯カタール大会
折々のことば:2591 鷲田清一
I took the one less traveled by,
And that has made all the differ-
ence. (ロバート・フロスト)
⑫ 12/20 火 夕刊
日銀、長期金利上限0.5%に
師走のドカ雪、動かぬ車列 新潟、一時800台超立ち往生
プーチン氏・ベラルーシ大統領、会談
米議会襲撃、トランプ氏訴追を勧告
原発事故慰謝料、新指針合意へ議論
素粒子 戦後、文相や最高裁長官を務めた田中耕太郎が残した言葉を牧原出氏の近著で知る。
職業に求められる徳とは何か。〈司法官にあっては公平、学者、芸術家にあっては不羈(ふき)独立〉〈然(しか)らざれば曲学阿世(きょくがくあせい)の腐儒(ふじゅ)で国家の為(ため)にならぬ〉
◎
あす総会を開く日本学術会議に、政府は「問題意識・時間軸等の共有」を迫り、介入をもくろむ。何が真に「国家の為」か、立ち止まり再考を。
⑬ 12/21 水 朝刊
日銀、金融緩和を修正 長期金利、上限0.5%に引き上げ 黒田氏「利上げではない」
原発賠償、9年ぶり増額 対象148万人 原賠審指針見直し
バイデン氏、長崎訪問案 現職米大統領で初 G7首脳会議前後
折々のことば:2592 鷲田清一
本当に文学や哲学を理解する人間しか本を買わないのなら、文学者や哲学者は食べていけない (鹿島茂)
(天声人語)アイ・アム・サム
サムはスターバックスで働きながら、男手ひとつで娘を小学生まで育てた。ただ知的障害があり、7歳児レベルの知能だと診断されていた。子どものためにならない、と2人は福祉行政の手で引き離される。米映画「アイ・アム・サム」である▼▼▼▼▼映画の中では、飲食店での支払いで小銭の計算にてこずるサムを、列に並んだ人たちがうんざりした顔で見つめる。同じ目をしてはいないかと、心の鏡に自分を映してみる。
⑭ 12/21 水 夕刊
自民・薗浦氏が議員辞職願 パーティー収入、過少記載疑い
1991年「ゴルバチョフ氏は生きている」 ソ連クーデター、秘密公電は語る 佐藤優氏、重鎮から情報
学術会議の会員選考、第三者委案
ゼレンスキー氏、きょう訪米か
ツイッター社CEOの辞意表明
素粒子
福島原発事故の賠償指針を改定。遅きに失した感は否めず、被害実態との乖離(かいり)はなお。
◎
指針も書くように、あくまで目安で金額の上限を定めるものではない。東電は「最後の一人まで」「迅速かつきめ細やかな賠償」との誓いの貫徹を。
◎
原発回帰に走る政府に、ふるさとを奪われた人々は見えているのか。あの日抱いた東日本壊滅の恐怖はいずこに。
⑮ 12/22 木 朝刊
東京五輪経費、1.7兆円 組織委公表より国費2800億円増 検査院最終報告
薗浦氏が議員辞職 きょうにも略式起訴 過少記載
自衛隊艦船に建設国債 対象拡大、護衛艦など 政府方針
今年の出生数77万人台 少子化、想定より11年早く 朝日新聞社算出
折々のことば:2593 鷲田清一
人生は両極ではない。悲しいこと、うれしいことの絶妙なミックス。
(Rei)
(天声人語)2022年創作四字熟語
中国の詩文に由来する露往霜来(ろおうそうらい)という言葉がある。気がつけば秋の露は消え、冬の霜がおりる。月日の移ろいは早い。今年はロシアのウクライナ侵攻に明け暮れ、「露欧争来」と自己流で書き表したい1年であった。以下、住友生命が募集した恒例の創作四字熟語でふり返る▼▼▼▼募集の締め切りは10月下旬。先ごろ閣議決定された安保3文書を自作で補いたい。敵基地攻撃能力(反撃能力)を保有しても専守防衛はそのまま、と岸田首相は言う。それは敵に先んずる「先手防衛(せんしゅぼうえい)」なのでは。不安が募る。
⑯ 12/22 木 夕刊
米ウクライナ首脳会談、侵攻後初 バイデン氏「必要な限り、尽力」 ゼレンスキー氏「良いニュース」
ロシア、新型ICBMを実戦配備へ
国葬の政府検証、有識者の意見公表
22年度成長率1.7%、見通し下方修正
素粒子
「秘書が秘書が」の逃げ道ふさがれ、薗浦議員が辞職。過少記載4千万円の使途に口つぐみ、紙切れ1枚だけ残し。
◎
今度こそ、カネの流れと政治家の責任を明確にする法改正を。防衛増税唱える前に。
◎
かたや東京五輪組織委は大会経費2800億円を過少公表。総無責任体制が生んだ幾多の背信にけじめを。札幌招致に多額の税金投じる前に。
⑰ 12/23 金 朝刊
原発建設へ転換 60年超す運転も可、政府方針 脱炭素、GX会議
「民主主義の世界、この戦いで決まる」 ゼレンスキー氏、訪米し支援訴え
薗浦前議員、略式起訴 過少記載4900万円
折々のことば:2594 鷲田清一
絶景ではなく、車窓の風景のような人間でいたい
(安西水丸)
(天声人語)しんしんしんしん
詩人・草野心平の作品は目に訴えるものが少なくない。「しんしんしんしん/しんしんしんしん/しんしんしんしんゆきふりつもる/しんしんしんしんゆきふりつもる/しんしんしんしんゆきふりつもる/しんしんしんしんゆきふりつもる/しんしんしんしん/しんしんしんしん」▼▼▼▼冬至を過ぎて、きょうから日が伸びていく。寒さに震えている各地の人々のためにも、お天道さま、もう少し頑張ってもらえまいか。
⑱ 12/23 金 夕刊
暴力事件から10年、桜宮高は 生徒も考える、地域に開く
消費者物価指数、40年ぶりの上昇率
米「ロシア側、北朝鮮から武器輸入」
今年の平均気温、過去最高の見込み
素粒子 事故の反省に立って熟議を経て決めた原発政策を、広く国民の声を聞くことなく、計数時間の会議で葬り去った。
◎
「プロセスに問題なし」と強弁する安保政策に続く暴走。「国葬」も独断専行だった。
◎
「聞く耳はどこへ」と問う人もはやなく。前の2人の首相と違うように見せるため言ってみただけだったか。当初、少し期待した不明を恥じる。
⑲ 12/24 土 朝刊
防衛費膨張、114兆円予算案 艦船に国債、医療・子育て後回し 閣議決定
秋葉復興相の交代検討 首相、通常国会前に
11月消費者物価、3.7%上昇 40年ぶり伸び 止まらぬ値上げ
列島大雪 高知、龍馬像にも
折々のことば:2595 鷲田清一
絵というのも、筆の置きどころがあって、つまり描くことのやめ時があって、これはこれで絵にとって大切なことだと思っている。 (安西水丸)
(天声人語)11年前の誓い
あの年の3月。福島県浪江町の佐藤真理子さんは不安を語った。「原発が爆発して2回も避難した。これからどうなってしまうの」。4月、102歳の大久保文雄さんは飯舘村の自宅で命を絶った。「俺、ちと長生きしすぎたな。嫌なもの見ちまった」▼▼▼▼▼心にばつの悪さが生じると耳が赤らむ。そこから「恥」という字が出来たと、白川静さんの『常用字解』にある。「聞く力」の人の耳は、ほんの一瞬でも赤く染まっただろうか。そうでなければ、悲しすぎる。
⑳ 12/24 土 朝刊 be
(フロントランナー)建築家・安藤忠雄さん 青いリンゴのまま走る