日本海の冬の味覚 ズワイガニ漁 解禁 富山から島根まで 2012/3月まで
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ズワイガニ
ズワイガニ | |||||||||||||||||||||||||||
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ズワイガニ Chionoecetes opilio
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Chionoecetes opilio (Fabricius, 1788) | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
ズワイガニ | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
snow crab |
ズワイガニ(楚蟹、Chionoecetes opilio)は、エビ目カニ下目クモガニ科に分類されるカニ。深海に生息する大型のカニで、重要な食用種でもある。ズワイガニの「ズワイ」とは、細い木の枝のことを指す古語「楚(すわえ、すはえ)」が訛ったものである。漢字では津和井蟹とも書かれる。
近縁種のベニズワイガニについても本項で記載する。
目次 |
生態 [編集]
山口県以北の日本海と、茨城県以北からカナダまでの北太平洋、オホーツク海、ベーリング海に広く分布する。水深50 - 1,200メートルほどの砂泥底に生息するが、おもな生息域は水深200 - 600メートルほどの深海で、水温は0 - 3度程度の水域を好む。産卵期は、初産6 - 7月、経産2 - 4月。深海域に生息するため、脱皮、季節移動、寿命など生態の解明は十分におこなわれていないが、オホーツク海での調査では、脱皮は春で季節により生息域が変化し、雄雌で生息水深が異なっていた[1]。食性は雑食性だが肉食が強く、貝類や多毛類などを捕食する。また、海底に落ちた魚介類や海洋性哺乳類などの屍骸、脱皮した自分自身の殻も食べる。産まれてから親ガニになるまでに約10年を要し11齢で漁獲可能サイズの90ミリ・メートルを超える、最終齢からは4年程度生存する[1]。最終齢までは脱皮すると損傷した足は再生する。
交尾後産卵された卵は、抱卵され(腹節の内面にある腹肢に付着)1年から1年半経過すると、孵化しプレゾエアとなり放出される。放出後、親は短期間で再び産卵するとされている。従って、成熟した雌は生涯の殆どの期間、卵を抱いている。また、1回目の交尾のときの精子は、雌の体内にある貯精嚢(受精嚢)に保存され少しずつ使用される[2]。 飼育実験によると、ゾエア幼生からメガロパ幼生期の適正飼育水温は9 - 14度程度[3]、100日から120日で稚ガニとなり着底する。 2003年に若狭湾で行われた調査によれば、雌ガニは66,000粒程度の卵を抱き、放出する。放出数は高齢のカニほど減少する事が報告されている[4]。
近縁種など [編集]
- ズワイガニ(C. opilio オピリオ)
本種。日本海、オホーツク海、カナダなどで水揚げされている。別名本ズワイガニと呼ばれており、この品種のズワイガニを全国各地で地域ブランドとして販売し地域活性をしている。身は中程度で甘みが一番あるといわれている。
- オオズワイガニ(C. bairdi バルダイ)
ロシア東岸のものがバルダイであることが多い。身が大きく甘みがあるのが特徴でかにしゃぶなどに用いられている。
- ベニズワイガニ (C. japonicus Rathbun, 1932 紅ズワイガニ)
日本海、北朝鮮、ロシアなどで水揚げされている。主にズワイガニよりも水深の深い場所に生息するといわれ、足、胴の腹面含め全体に暗褐色で、加熱すると全体が鮮やかな紅色になる。オピリオ・バルダイに比して殻が幾分柔らかく薄い。身が少なめで比較的安く、缶詰の材料にも多用される。加熱すると身が縮みやすいが、生の身は甘みが強く、しっかり身の入った紅ズワイの刺身はバルダイ、オピリオ以上に美味しいと言う人もいる。香住では香住漁港で水揚げされた紅ズワイガニを香住ガニとしてブランド化している。
本種は、1906年にアメリカ合衆国の海洋調査船アルバトロス号が日本海佐渡沖水深960mで採集した1匹の個体によりアメリカの海洋生物学者メアリー・ラスバンが1932年に記載した。当時は、日本では本種の存在すら知られておらず、1950年になって但馬沖で採集された11個体に対して山本孝治によって「ベニズワイガニ」という和名が与えられた。なお、富山湾では1941年から「赤ガニ」の名称で刺し網で大量に漁獲されている。現在は山陰沖が主要な漁場。資源保護の目的で当初から雌ガニは捕獲禁止となっている[5]。
- オオエンコウガニ(Chaceon maritae (Manning & Holthuis, 1981) 丸ズワイガニ)
オオエンコウガニ科オオエンコウガニ属に属し、南アメリカ、西アフリカなどから輸入されている。「丸ズワイガニ」は商品名で、ズワイガニとは近縁ではない[6]。
- その他
紅ズワイガニとオピリオの雑種、オピリオとバルダイの雑種などが確認されておりハイブリッドと呼ばれることもある。
特徴 [編集]
体色は全身が暗赤色をしている。甲羅は三角形で、鋏脚と第5歩脚は短いが第2 - 4歩脚が長く、大きなオスが脚を広げると70センチ・メートルほどになる。オスの甲幅は最大1センチ・メートルほどだが、メスはその半分くらいの大きさである。メスが小さいのは、短期間に産卵、抱卵、幼生放出を繰り返すので脱皮ができないためといわれる。オスとメスの大きさがあまりに違うためか、多くの地域でオスとメスに別の名前がつけられている。エチゼンガニ、マツバガニ、ヨシガニ、タイザ(タイザガニ)などはオスを指し、メガニ、オヤガニ、コッペガニ、コウバコガニ、セコガニ、セイコ(セイコガニ)、クロコなどはメスを指す。
漁業 [編集]
TAC制度(漁獲可能量制度)が導入され海域毎の漁獲量の上限が定められている。日本海での漁は沖合底びき網漁が主体となっているが、かにかご漁、刺し網や板びき網漁も行われている。 資源保護の為、省令により海域毎に異なる制限がされている。例えば、富山県以西の海域と新潟県以北の海域では異なる漁獲規制が行われていて、
- 新潟県以北の海域:雌雄とも漁期は10月1日 - 翌年5月31日、共に甲幅90ミリ・メートル未満の雄と未成体雌の漁獲は禁止。
- 富山県以西の海域:雌ガニの漁期は11月6日 - 翌年1月10日、雄ガニの漁期は11月6日 - 翌年3月20日、さらに富山県以西の海域では漁業者の自主協定により、漁獲量の上限、禁漁区の設定、漁期の短縮、初産の雌ガニの漁獲禁止、省令より厳しい甲幅制限、ミズガニ(最終脱皮前または最終脱皮後1年以内の雄ガニ)の漁獲禁止などのより厳しい漁獲制限がされている[7]。
漁期以外の季節にカレイ等の底引き網漁で混獲されてしまうが、日本の漁船での捕獲は禁じられているため海に再放流しているが生存率は30パーセント台とされ、実態は死んだカニの投棄に近い。この様な状態を解決すべく、混獲されるカニを減らすための技術開発も行われている[8]。
資源回復を目指し1964年頃より福井県、兵庫県などで、放流用種苗の稚ガニの生産技術確立すべく飼育研究が行われている[9]。
陸揚げ漁港 [編集]
食用として重要なカニで、冬になると生息地の沿岸で多量に漁獲される。
2002年度(平成14年)の漁獲量
国内で漁獲されるだけではなくロシア・アメリカ合衆国(特にアラスカ州)・カナダ等からも輸入されている。
食材 [編集]
冬の味覚として人気が高い。体色は暗赤色だが、熱を加えると赤くなる。塩茹でや蒸しガニ、カニ鍋(カニスキ)などで食べられ、新鮮なものは刺身にしても食べられる。缶詰などの原料にもなる。上品で甘みがある肉とこってりした味の中腸腺(カニミソ)、メスの卵巣(内子)も食用にする。
甲羅によく付着している黒いつぶつぶはカニビルの卵で、これが付着しているカニは脱皮後の時間が長いことを示しており、身入りが良い証拠とされることもある。
観光産業との関係 [編集]
ズワイガニは冬の味覚の王様といわれるほど人気が高い食材であり、関西地方では、旅行代理店などが温泉地と結びつけたツアーを商品として扱っている。北海道・北近畿・北陸・山陰にはズワイガニ需要によって発展した温泉地も多い。これらの温泉地は冬場に最も集客が見込める。
一部の地域の漁港ではズワイガニをブランド化する動きもあり、脚に色違いのタグを取り付けるなど販売に力をいれている。ブランド化はズワイガニとは異なるカニであるとの誤解を消費者に与える場合がある。
地域ブランドの一例
- 松葉ガニ
- 越前かに
- 間人ガニ(たいざガニ)
- 津居山ガニ
- 加能ガニ(かのうガニ)
- ブランドタグ
- 所属漁港ごとに発行され、ブランドとともに漁獲した漁船名・所属漁港が明示される。
- プラスチック素材の場合が多いが例示した鳥取県漁連の場合のように特産品の和紙を用いている例もある。プラスチックの場合は漁連もしくは漁港ごとに異なった色のタグを用いている。
- タグ取り付けの要件は発行の漁連所属漁船による漁獲というだけではなく、脚がとれていない・脱皮後の期間による状態(脱皮後すぐは殻が薄く身の入りも少ない)など漁連ごとに一定の品質を定めている事が多い。
脚注 [編集]
- ^ a b 平成19年度ズワイガニ オホーツク海系群の資源評価 (PDF) 水産庁増殖推進部漁場資源課
- ^ 京都府農林水産技術センター海洋センター. “ズワイガニの生態と漁業 - 成熟と産卵(応用編)”. 2011年5月27日閲覧。
- ^ ズワイガニ幼生の生残と発育日数に及ぼす水温の影響小金 隆之, 浜崎 活幸, 野上 欣也; 日本水産学会誌, Vol. 71, pp.161-164 (2005)
- ^ 若狭湾沖に生息するズワイガニの産卵数今 攸, 安達 辰典; 日本水産学会誌, Vol. 72, pp.673-680 (2006)
- ^ 本尾洋 『日本海の幸 -エビとカニ-』 あしがら印刷出版部、1999年、60-63頁。
- ^ 食材図鑑
- ^ ズワイガニ漁業(応用編) 京都府
- ^ 京都府沖合におけるカレイ漁に使用する駆け廻し式底曳網の選別網によるズワイガニの混獲防除宮嶋 俊明, 岩尾 敦志, 柳下 直己, 山崎 淳; 日本水産学会誌, Vol. 73, pp.8-17 (2007)
- ^ ズワイガニ種苗生産研究兵庫県立農林水産技術総合センター
外部リンク [編集]
- 東北海域におけるズワイガニの分布と生物特性 (PDF)
- ズワイガニ 太平洋北系群 (PDF) 水産庁
- ズワイガニの資源調査と漁獲量予報農林水産研究情報
- ズワイガニ類資源の保全型漁業生産技術に関する研究渡部 俊広; 日本水産学会誌, Vol. 72, pp.835-838 (2006)
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カニは、ハサミを含めて5対、10本あります。したがって歩行用の脚は4対、8本です(十脚目カニ下目にぞくする生物)。
カニではなくヤドカリの仲間(十脚目ヤドカリ下目)は、一番後ろの1対が小さくなって折りたたまれているので、ハサミが1対、2本で、歩行用の脚が3対6本です。
ちなみに、タラバガニは分類上、カニの仲間ではなくヤドカリの仲間なので、歩行用の脚は3対、6本です。
松葉ガニ(まつばがに) 標準和名:ズワイガニ
松葉ガニとは、山陰・日本海側(島根県、鳥取県、兵庫県、京都府)で水揚げされた「ズワイガニ」の総称です。関西の人は「松葉ガニ」、関東の人は「ズワイガニ」と呼ぶことが多いようです。日本はこの松葉ガニ(ズワイガニ)の大消費国でして、「冬=かに=高級食材」というイメージがすっかり定着しています。とはいえ現在、「松葉ガニ」や「ズワイガニ」といった呼び方はかなり混乱しており、山陰では「間人ガニ」「津居山ガニ」、越前では「越前ガニ」などと、その地域でとれたズワイガニだけに「地域名」をつけて、独自のブランド化を計っています。山陰でとれた「松葉ガニ」では、年々、港によっては松葉ガニ(ズワイガニ)に独自のタグや印(その地域で水揚げされたことを証明するもの)を付けるのが増えています。本来「松葉ガニ」とは山陰で水揚げされたズワイガニを指しますので、このページでは、「松葉ガニ=山陰のズワイガニ」、「越前ガニ=越前・福井県のズワイガニ」、「ズワイガニ=北海道+海外輸入されたズワイガニ」と区別しております。
松葉ガニ 山陰でとれたズワイガニ
隠岐松葉ガニ 島根県の隠岐諸島(おきしょとう)近海でとれたズワイガニの中でも一定品質・大きさ以上のものを「隠岐松葉ガニ」と呼びます。隠岐松葉ガニには、青地のタグがついています。
鳥取松葉ガニ 鳥取県で水揚げされたズワイガニを鳥取松葉ガニと呼びます。鳥取県は松葉ガニ(ズワイガニ)の水揚げが多いのが特徴です。鳥取松葉ガニのタグは、白地に赤色です。
津居山ガニ 兵庫県の津居山港で水揚げされたズワイガニを津居山ガニと呼びます。兵庫県の漁船は隠岐近海(島根~鳥取)と丹後沖(京都)の2つの漁場でズワイガニ漁を行います。津居山港は兵庫県の東部にあたるので丹後沖(京都)側のズワイガニ漁場に向かいます。この津居山港に持ち帰ったズワイガニを「津居山ガニ」と名付け、青色のプラスチックタグをつけます。
間人ガニ 京都北部の丹後半島にある間人(たいざ)港で水揚げされる松葉ガニを間人ガニ(たいざがに)と呼びます。山陰では一番有名な松葉ガニのひとつです。丸い緑色のタグに「間人ガニ」と刻まれます。
越前ガニ 福井県・越前のズワイガニ
越前ガニ 福井県の越前海岸周辺の港で水揚げされたズワイガニを越前ガニと呼びます。知名度は日本一といって過言ではありません。黄色いタグが付き、皇室献上されたズワイガニとしても有名です。
ズワイガニ 北海道のズワイガニ、輸入ズワイガニ
ズワイガニ 北海道の近海やカナダ、ロシア、アラスカ、ベーリング海、北朝鮮、韓国などの海外から輸入されたズワイガニは、そのままズワイガニと呼びます。山陰や越前ガニの価格に比べ格段に安いので、予算控えめで美味しいズワイガニを食べるにはおすすめです。
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