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折々のことば:3254 鷲田清一
先生においては文章のスタイルがそのまま哲学である。そのスタイルを離れてその思想を表現することは不可能に近い
(三木清)
(天声人語)「伝統的家族観」とは
結婚するときに、夫婦がそれぞれの姓を選ぶ。同姓でもいいし、改姓が嫌なら別姓を選べば良い。どちらを否定するものでもないのに、なぜ実現しないのか――。選択的夫婦別姓制度の導入を求める人たちからよく、こんな疑問を聞く。確かに、誰の不利益も生じないように思える▼▼▼▼▼仕事上の不便さや自己喪失感など、別姓を望む理由は多様だ。日々の不都合を解消するのも大事だが、根っこには凝り固まった価値観がある。変えなければいけない。
★ (しつもん!ドラえもん:5250)ロケット編
鹿児島(かごしま)の種子島(たねがしま)から打(う)ち上(あ)げられている、日本(にほん)の新(あたら)しい大型(おおがた)ロケットは?
★ こたえ
H3(エイチスリー)
2023年(ねん)の初打(はつう)ち上(あ)げは失敗(しっぱい)。でもその後(ご)は連続(れんぞく)で成功(せいこう)している。「H」は燃料(ねんりょう)に使(つか)う水素(すいそ)の英語(えいご)(Hydrogen〈ハイドロジェン〉)の頭文字(かしらもじ)に由来(ゆらい)しているんだ。
(記者解説)福島第一、霧中の廃炉 デブリ回収難航、根拠なき「2051年完了」 福地慶太郎
今年9月にあった「1F地域塾」には地元の住民や専門家、東京電力の社員、原子力規制庁の職員らが参加。福島第一原発の廃炉の将来像をテーマに対話した=福島県広野町
・福島第一原発の廃炉は、政府と東京電力が掲げる2051年までの完了は非現実的だ
・溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)を取り出すには100年超かかるとの試算もある
・処理水問題の反省も踏まえ、地元と丁寧な対話を重ねて現実的な工程を探るべきだ
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「燃料デブリが原子炉内のどこにどれぐらい分布するかが正確にはわからない。しかも、高線量の中で遠隔で作業しなければいけない。それが取り出しの難しさだ」
原子力規制委員会の前委員長、更田豊志氏は、燃料デブリの取り出しについて、こう解説する。
東京電力福島第一原発の1~3号機には推計880トンの燃料デブリがある。3基とも圧力容器の底を突き破り、外側の格納容器にまで広がっている。放っておけば、将来、建屋の老朽化などで放射性物質が漏れ出す恐れがある。政府と東電は、全て取り出して安全な状態で管理しようとしている。
東電の構想では、まずは2号機で試験的に3グラム以下を取り出し、2020年代後半に別の手法で段階的に取り出す量を増やす。それから、30年代初めに3号機で大規模な取り出しを始め、その後、1号機に展開する。
この構想の最初のステップが今年9月に始まった。東電は2号機の原子炉格納容器の側面にある貫通口から取り出し装置を挿入した。カメラの不具合で作業は1カ月以上中断したが10月28日に再開。燃料デブリを装置でつまみ、今月2日に装置ごと格納容器の外側の設備に入れた。線量が基準を下回り容器に収めれば初の取り出し成功となるが、これから続く道のりは深い霧に覆われている。
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政府と東電は51年までの廃炉完了を掲げている。11年12月の工程表で示したものだ。
当時の想定では21年までに燃料デブリの取り出しに着手し、10~15年程度で1~3号機すべての取り出しを終える計画だった。
しかし、開始は3年遅れた。主な原因は、関連事業を含めて78億円の国費を投じて開発したロボットアームの精度不足だ。ロボットアームはいまも試験中で、今回の取り出しには簡易的な「釣りざお式装置」を使った。
原子炉建屋のプールにある核燃料の取り出しも大幅に遅れている。当初の計画では、1~4号機に計3108体ある核燃料を21年までに取り出すとしていた。
だが、ガレキの撤去など作業環境の整備に時間がかかり、21年までに取り出せたのは3、4号機だけ。1、2号機はいまも始まっていない。最新の工程表では、当初から10年遅れの31年までにすべての取り出し完了をめざしている。
重要作業の遅れが続いても、政府と東電は51年までの廃炉完了という旗はおろしていない。東電福島第一廃炉推進カンパニーの小野明代表は「51年までの完了を目標に仕事を積み上げていくことが大事だ」と強調する。
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そもそも、なぜ51年までの廃炉完了を目標にしたのか。
政府関係者は技術的な根拠はまったくなかったと明かす。「事故直後は廃炉が進まないと原発周辺の避難区域の住民は帰還できないような空気だった。何かしらの数字を出さざるを得なかった」
参考にしたのが1979年に事故を起こした米スリーマイル島(TMI)原発2号機だ。事故から11年後に99%の燃料デブリの取り出しが終わっていた。福島第一原発は1~3号機に燃料デブリがあるため、3倍の時間がかかるとみて、30~40年後(51年まで)の廃炉完了を目標にしたという。
だが、TMI原発と福島第一原発は状況が大きく異なる。TMI原発では原子炉圧力容器に水をはった状態で、燃料デブリを取り出すことができた。水は放射線を遮れるうえ、作業時に放射性物質の飛散を抑えられるという、大きなメリットがある。
一方、福島第一原発は圧力容器の損傷が激しく、水をはることができない。外側の格納容器まで広範囲に燃料デブリが広がり、TMI原発よりも取り出しの難易度が格段に高いとみられている。
そもそも事故を起こしていない原発でも、原子炉に核燃料がない状態から作業を始めて廃炉完了までに30~40年かかるとされる。このため、51年までに廃炉完了とする目標については、多くの専門家が「あり得ない」などと指摘している。
政府や東電は廃炉の工程をすぐには見直そうとしていない。専門家の間では、自主的に根拠のある見通しを示そうという動きが出ている。
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早稲田大学の松岡俊二教授(環境経済・政策学)は22年、福島第一原発の燃料デブリの全量取り出しにかかる期間を試算し、論文を発表した。
TMI原発では約132トンの取り出しに4年3カ月かかった。週休2日で作業が年間260日とすると、1日の取り出し量は120キロ。TMI原発より作業が難しい福島第一原発の取り出し量は、1日20キロ、もしくは50キロと仮定した。その場合、全量取り出しにかかる期間はそれぞれ170年、68年という結果だった。
松岡さんは「3グラム以下の取り出しに難航している現状を踏まえれば、170年でも相当楽観的な数字だ」という。
廃炉作業で出る放射性廃棄物は、事故を起こしていない原発600基分になるとの見方もある。
技術コンサルタントの河村秀紀さんらは、福島第一原発の図面などの公開情報をもとに試算した。敷地の放射線量が下がり、自由に出入りできる状態にする場合の放射性廃棄物は約780万トンになるという。
日本原子力学会の分科会はこの試算を参考に、汚染された地盤などを残して継続管理とする「部分撤去」のシナリオについて検討した。廃棄物量を試算すると約440万トンとなる。放射性物質が自然に減るのを待つために数十年間の期間を挟めば、さらに約110万トンまで減らせるという。
■地元と対話で探る将来像
政府と東京電力は福島第一原発の廃炉完了の姿を明確にしていない。更地をめざすのか、一部の施設が残っても完了とみなすのか。ゴールはあいまいだ。
福島県は燃料デブリを含む放射性廃棄物をすべて県外で最終処分するよう、繰り返し求めている。だが、処分地探しなどの議論は進んでいない。
原発事故を後世に継承できるよう、一部を「遺構」として残すよう求める意見もある。
廃炉の費用は東電が出すが、電気代の一部として国民の負担になる。政府は廃炉に必要な技術開発への支援などとして、毎年100億円以上を企業などに補助している。
最新の見積もりでは廃炉費用は8兆円とされるが、燃料デブリの最終処分にかかる費用などは含んでいない。さらに膨らむのは確実で、廃炉の将来像は国民全体に関わる問題だ。
日本原子力学会の分科会が示すように、将来像や時間のかけ方で発生する廃棄物の量は変わる。技術的な検討だけでは解決できず、社会的な合意形成が重要となる。
昨年8月に始まった処理水の海洋放出では、政府は専門家会議での技術やコスト面からの議論を重視した。
放出の方向性を固めた後に、地元や漁業者らへ説明して理解を得ようとした。だが、結論ありきの姿勢に幅広い納得は得られず、強い反発を招くことになった。
福島では地元の住民や専門家、東電社員らが対話し、廃炉の将来像を探る「1F地域塾」が22年から続く。廃炉作業について助言する「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」も今年6月、原発事故の避難指示が出るなどした13市町村で住民の声を直接聞く場を設けた。
政府と東電はこうした取り組みを参考に、丁寧な対話を重ね現実的な工程を探るべきだ。
(科学みらい部・福地慶太郎)
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