3/6 月 朝刊
(東日本大震災12年 3・11の現在地)原発避難、テロより怖い雪
中国、成長目標5%前後 経済回復を重視 全人代開幕
徴用工「解決策」、韓国きょう発表 尹大統領、早期訪日の意向
折々のことば:2665 鷲田清一
なにしろ、おばあさんになるのは生まれて初めてのこと。 (田村セツコ)
(天声人語)宇宙飛行士の卵
時代を先取りしすぎた偉人には嘲笑がつきまとう。ライト兄弟が動力飛行の夢をかなえて、わずか16年後。米国の研究者ゴダードは、1919年に「超高空に達する方法」という論文を書いた。ロケットで月まで行ける。人々は奇想天外さに肝を抜かれたのだろう。「月男」とからかった▼▼▼そ▼あすはH3ロケット初号機の打ち上げ再挑戦もある。白煙を吹きあげて空を貫く雄姿を今度こそ
3/6 月 夕刊
韓国、徴用工「解決策」を発表 朴外相「関係を未来志向的に発展させる意志」
「首相補佐官が問い合わせ」認める
東証一時300円超上昇、2.8万円台回復
バフムート巡り「最も過酷な戦い」 ウクライナ
素粒子
原発事故の避難計画の何たるずさんさ。まるで安全神話が続く実態に、おじけだつ。
× ×
なぜ、第三者機関が検証しない。どうして、政府が責任を負わぬ現状がまかり通る。
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都道府県議の4分の1が無投票。民意、置いてけぼり。
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きょうは啓蟄(けいちつ)。もごもごと春めく。〈蛇いでゝすぐに女人(にょにん)に会ひにけり〉橋本多佳子
3/7 火 朝刊
徴用工、日韓「政治決着」 韓国、財団が賠償肩代わり 日本、「おわび」継承で呼応
「行政文書」認める方針 放送法、官邸とやりとり 総務省
家族・暮らし、戻らず トルコ・シリア地震1カ月
折々のことば:2666 鷲田清一
知識の共有は経験の共有を補完し、ひいては代替しうるものだと私は信じています。 (ハン・トンヒョン)
(天声人語)ハコベのたくましさ
花粉で鼻をすすりつつ、春色に染まり始めた東京の街中を散策した。紫のスミレに黄色いフクジュソウ、ピンクの早咲き河津桜も。視線を落とすと、ハコベの白い花が街路樹の根元を埋めていた。小さな5枚の花弁が深く切れ込んでいて、さらに極小の10枚に見える▼▼▼▼▼色とりどりの春の花でも地味なハコベに心が引かれるのは、焦土でも芽吹いたたくましさのせいか。いま一度見ようと夕方、同じ場所へ戻ると、もう花弁を閉じていた。
3/7 火 夕刊
放送法めぐる資料は「行政文書」 総務相が認める「内容を精査」 高市氏「捏造で不正確」
H3ロケット打ち上げ失敗 エンジン着火せず破壊指令
入管法改正案、閣議決定 「不法残留」外国人ら迅速に送還
保険証廃止へ関連法案、閣議決定
1月の実質賃金4.1%減、物価高響く
バフムート撤退否定「防衛続ける」 ウクライナ
素粒子 あちらの世論と、こちらの「呼応」の内実が気になるけれど。徴用工「政治決着」。
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「反省とおわびの継承」って、何とも妙な日本語だなと思いつつキムチ鍋をつつく。
× ×
「死後再審」は最高裁の判断へ。なおも時間がかかる。
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嫉、妬、嫌、奴、奸(かん)……。女偏に差別感覚の一端を垣間見る。あすは国際女性デー。
3/8 水 朝刊
放送法文書、総務省が作成 高市氏、改めて「捏造」主張 総務相、正確性を「精査」
H3打ち上げ失敗 日本の宇宙開発、打撃
難民申請中、送還可能に 骨格維持し閣議決定 入管法改正案
折々のことば:2667 鷲田清一
はじめて聞く、遠い国の話、でも最低限の知識があれば、自分の地域にもある、近しい、しかし別の問題へと接続することができる。 (田中功起)
(天声人語)「中」から見えたもの
小欄の担当になって5カ月余り。寄せられた数々のご意見に深謝しつつ、気になっていることがある。女性の私が筆者に加わって何か変わったのか。正直に言えば、わからない。ただ日々、書くべきことは何かを必死に考えている▼▼▼語り直しには、古代ギリシャの叙事詩を女性奴隷の目線で描いた作品などもある▼よろよろと歩いてきたこの5カ月で、確信できたことはある。あとで語り直すためには、いま語らなければならない。国際女性デー、おめでとう。
3/8 水 夕刊
沖縄返還密使からの戒め 若泉敬氏、青年官僚へ送った手紙 「“権力の魔性”に毒されず、欲を捨て――」
ガーシー氏、15日にも「除名」決定
韓国大統領の訪米、同盟強化協議へ
景気減速懸念、NYダウ570ドル超安
<お知らせ>「沖縄密約」を考える 15日、オンラインイベント 記者サロン
素粒子
「変なヤクザに絡まれたって話」。放送への政治介入。露骨に、おどろおどろしく。
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「行政文書」なのだから、立証責任は野党でなく、大臣だった高市氏にあるでしょ。
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はぁ!? 動画で陳謝のお笑いぐさ。除名へ、一歩進む。
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またも技術力の陰りを見る思い。昨年に続き、国産ロケット失敗。宇宙開発に暗雲。
3/9 木 朝刊
(ThinkGender)昇進には男性の3倍働けと? 均等法の第1世代、会社去った
高市氏、文書4枚「捏造」 総務省は明言避ける 放送法めぐり
藤井竜王が挑戦権 将棋名人戦、最年少更新かけ
旅行支援、継続へ 来月以降、GWは除外 観光庁
折々のことば:2668 鷲田清一
大きく見える問題に直面したら、形の大きさにおびえるな。 (むのたけじ)
(天声人語)カラスも驚いた大リーグ
「昼寐鴉(ひるねがらす)の胆(きも)を奪へば喝采暫(しば)らくは止(や)まずワッワッと騒ぐのに独(ひと)り舶来庄之助の眼(め)は球(ボール)のよそに外れない」。威勢がいい講談師の語り口のようだが、実は朝日新聞の記事である。1913年、初めて本格的に大リーグの一流選手らが来日して試合を行った▼▼▼▼▼日本で遠い存在だった大リーグは、いまや大谷翔平選手らが活躍して身近になった。日系大リーガーも初めて日本代表に選ばれた。今日の初戦ではカラスも驚くプレーが見られるか。
3/9 木 夕刊
(ウクライナ侵攻1年)それでも、守る
日韓首脳の「シャトル外交」再開へ
WHO、葛西氏解任 「不適切行為」
「外国の代理人」法案に反発、デモ
素粒子
▽捏造(ねつぞう) 怪文書を葬り去るには有効。行政文書に対して使う場合は、論拠の詳細な説明を付けないと説得力がない。
▽さまざま 問題をはぐらかすために多用される。参院では野党が首相に封印を要求。
▽倍増 防衛費以外の予算では、増額への単なる掛け声。類似語に「異次元」がある。
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けさ、ウグイスの発声練習が聞こえた。ケキョケホー。
3/10 金 朝刊
マスク緩和、少しずつ 「客は個人判断」「従業員は当面着用」慎重な一部業界も
大谷二刀流、白星発進 WBC中国戦
折々のことば:2669 鷲田清一
犠牲を払っていると思ってやったことは、必ず誰かを犠牲にしている。
(むのたけじ)
(天声人語)古今東西の暴露願望
「僕は帰国しません」と話すガーシー参院議員の動画配信を見ていて、ローマの街角にある「パスクイーノ像」を思い出した。おしゃべりする像として、500年以上も語り続けている――といっても彫刻が話すはずはなく、人々がメモを貼るのだ▼▼▼▼▼ローマのパスクイーノ像は、きょうも右斜め上を向いて立つ。過激な暴露話のなかに大切な真実が紛れていないかと待っている。
3/10 金 夕刊
(東日本大震災12年)「逃げて来い」、教えておけば 校長、生徒14人亡くした悔い 宮城・閖上中学校
日銀、大規模金融緩和を継続
日銀総裁に植田氏、正式決定
業界団体2割、マスク着用継続
素粒子
あすの午後2時46分、あの日から12年後の未来に立つ。
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津波被災地には自動車道、巨大橋、防潮堤などコンクリート塊の「復興」が整然と並ぶ。新しい街区や住民の笑顔に、よくぞここまでと感嘆しつつも、人口が減りゆく厳しい実情も目の当たりにする。
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いまも2523人が行方不明。この1年、遺体発見も身元の判明もないのが切ない。
3/11 土 朝刊
避難、なお3万人 地域の再生課題 東日本大震災12年
(東日本大震災12年)弱音、吐かずにいたけれど
外来負担、インフル並み コロナ「5類」対応、政府発表
折々のことば:2670 鷲田清一
「なんにもない日、おめでとう!」 (齋藤陽道〈はるみち〉)
(天声人語)大川小学校の12年
支柱がねじれ、海側へ倒れた渡り廊下。大きく盛り上がった床。そして、津波到達時の「3時37分」で止まった時計。児童74人と教職員10人が犠牲になった宮城県石巻市の大川小学校を訪ねた。12年前まで、子どもたちはこの校庭で一輪車に乗ったり、春に花見をしたりしていた▼▼▼▼▼校庭ではきょうの夕方、追悼のために竹灯籠(どうろう)がともされる。用意された竹は、108本。12年前の在校生の数である。
3/11 土 be 朝刊
(フロントランナー)探検家・作家、角幡唯介さん 極地で文明を哲学する「雪男」
3/11 土 夕刊
あなたを胸に、一歩ずつ 東日本大震災12年
素粒子
この12年、ずっと釈然としない。事故原発の廃炉作業はどうなるのだろう。1号機の使用済み燃料の搬出は「17年度下半期着手」が「27~28年度をめざす」に変更された。燃料デブリの取り出しは「20年度上半期までに始める」としていたが、今や何の記述もない。2、3号機の工程も滞っている。だが「30~40年で完了」の看板は下ろさない。
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そして、原発回帰が進む。
3/12 日 朝刊
心、いまもそばに 東日本大震災12年
朗希が勝った、3・11は変わる 幼なじみが見た66球 野球・WBC
「故郷は 遠くになりて」母の無念 関連死なお、福島で突出 東日本大震災12年
折々のことば:2671 鷲田清一
経験でしかものを言えなくなる人生は寂しい。 (田口俊樹)
(天声人語)手作り新聞400号
丹沢山地のすその、神奈川県秦野市に元中学教諭の武勝美(たけかつみ)さん(86)は暮らしている。3年前のこと、腰を痛めて近くの病院に担ぎこまれた。ひと月ほどの入院だったが、自宅に届く愛読紙を読みたいと、家族に運んでもらった▼▼▼▼
▼紙面を読みたいと、ご自宅を訪ねた。武さんは笑顔で言った。「継続は惰性なり。できるところまで続けます」。なぜだろう。ほんわりとした気持ちになった。
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