11/24 木 夕刊
日本サッカー、新たな高み ドイツ破る、優勝経験国に初勝利 サッカーW杯カタール大会
年末年始の内閣改造、首相否定
空白の領収書、首相「確認漏れ」
ロシア同盟国、宣言への署名拒否
素粒子 〈いとほしや見るに涙もとゞまらず親もなき子の母をたづぬる〉。道端で激しく泣く幼子を見て詠んだ歌という。
◎
「鎌倉殿の13人」で非業の死が迫る源実朝の作。子の父母はなぜ亡くなったのだろう。患い、災害、あるいは戦(いくさ)か。
◎
同じ境遇の子は絶えず、鎌倉殿の悲嘆は今も。いかにして戦争による死別のない世をつくるか。侵攻から9カ月。
11/25 金 朝刊
五輪組織委側、談合調整か 落札企業の出向社員 独禁法違反容疑、本格捜査へ
子宮移植、慶大が計画申請 来年度に臨床研究、目標
4年半の思い、右足に ドイツ戦、浅野が決勝点 サッカーW杯カタール大会
折々のことば:2567 鷲田清一
どっかで狂狷(きょうけん)でなかったらね、まともな人間ではないよ。
(白川静)
(天声人語)凍ったニンニク
凍ったニンニク、町の掃除、ドライマンゴー。いま台湾ではそんな単語が盛んに飛び交っているそうだ。外国人には奇妙に聞こえるが、地元ではだれもが知る選挙用語。発音などが似る「当選」「遊説」「亡国感」をそれぞれ意味する言葉だとか▼▼▼▼▼民主主義は選挙があるだけでは機能しない。「私は自分たちの代表を選ぶ過程に参加した」との人々の実感こそが台湾の民主社会の強さなのだろう。あすの夜、お隣の島からの「凍ったニンニク」の声に耳をすませたい。
11/25 金 夕刊
電通に談合容疑、家宅捜索 五輪テスト大会、受注事前調整か 東京地検・公取委
「全国旅行支援」年明け以降も実施
安保3文書にハラスメント対策
国連人権理、反ヒジャブ弾圧調査へ
素粒子 永井愛作・演出の「歌わせたい男たち」を再見。卒業式の君が代をめぐり、葛藤し、傷つく人々を描く笑える悲劇。
◎
05年の初演から全く古びていないことに驚く。先の「国葬」でも、権力が内心の自由に踏み込んでくる恐ろしさ、愚かさに向き合ったばかり。
◎
「歌わせたい」輩(やから)は後を絶たず、憲法は自由と権利を保つ「不断の努力」を国民に課す。
11/26 土 朝刊
電通出向者ら、談合主導か 五輪テスト大会、各社に意向確認 東京地検・公取委が捜索
秋葉復興相、教団側に支出 「会費」記載「雑誌購読料」と訂正意向
ウーバー配達員は「労働者」 都労委、団交権認める
敵基地攻撃能力、初の明言 与党、来週にも合意 政府案
折々のことば:2568 鷲田清一
(天声人語)時を超える出会い
未来から過去へ。過去から未来に。時空を超えた手紙が瞬時に届いたらどんなだろうか。そんなタイムマシンのような不思議な郵便ポストが、2006年の米映画「イルマーレ」には登場する▼▼▼▼▼王将戦七番勝負は来年1月に始まる。どんな将棋になるのか想像するだけで楽しくなる。世代を超えて、未来の棋士たちが棋譜を並べてうなるような名局を見てみたい。
11/26 土 be 朝刊
(フロントランナー)ワカヤマファーム社長・若山太郎さん 竹林を宝の山へ、広がる可能性
11/26 土 夕刊
回るレストラン、喜び悲しみくり返し 現役わずか、関係者ら存続へ奔走
(Photo Story)越境のあとに
素粒子
「国葬」の弔辞でも、国会の追悼演説でも、触れられなかった森友問題。だが、一人の実直な公務員が死に追いやられた事実は永遠に消えない。
◎
賠償すればいいんだろうとばかりに、妻の訴えを「認諾」し、税金を使って真相の解明を封じた国。改ざんを主導した元国税庁長官も逃げ続け。
◎
「美しい国」を唱えた為政者が生み出した、醜い光景。
11/27 日 朝刊
政策活動費、自民379億円支出 使途公表不要、議員に20年間で
いつも、長友は太陽だ 今夜コスタリカ戦 サッカーW杯カタール大会
(安保の行方 核なき世界)首相の理想、遠ざかる現実
折々のことば:2569 鷲田清一 人生は青いほうがいい。熟れないほうがいい。最後まで青いままで行く。 (安藤忠雄)
(天声人語)棺材を見ざれば
「潔い」の反対語は何だろうか。いさぎ悪いは誤りだし、見苦しい、あきらめがよくない、未練がましい。四字熟語で言えば漱石枕流(そうせきちんりゅう)などもあったか。うーむ、なんだか書いているだけで気がめいってきた▼▼▼▼▼岸田首相はこの1カ月で3人の閣僚を「更迭」した。いずれも首相の判断は遅く、3人は強弁を続け、貴重な国会審議が空費された。またそれが再現されるのだろうか。ああ、思い出した。「潔い」の反対語は「往生際が悪い」だった?
11/28 月 朝刊
日本、敗れる コスタリカに0―1 サッカーW杯カタール大会
中国、ゼロコロナ抗議拡大 習氏母校で数百人集会
意思抑圧しない配慮、義務 救済新法、寄付勧誘時に 政府方針
折々のことば:2570 鷲田清一
中立を要求することは、時に普通の意見よりも攻撃的なものとなる。 (福嶋聡)
(天声人語)茶色い戦争ありました
幾時代かがありまして/茶色い戦争ありました――。昭和の詩人、中原中也が代表作「サーカス」を書いたのは日本の中国侵略の発端となる満州事変勃発の前夜、1920年代末のことだった▼▼▼▼▼これからも「茶色い戦争」が繰り返されるとすればあまりにも空しい。三好さんは言った。「人間はそんな愚かじゃないと思っていたのに」。学生たちの問いかけは重い。
11/28 月 夕刊
さらばブルトレ、憧れは続くよどこまでも 寝台特急「あけぼの」27両、秋田で解体作業開始
スペイン戦、勝てば決勝Tへ サッカーW杯カタール大会
チケット購入、マイナカード活用案
秋葉復興相、秘書の勤務記録示さず
素粒子
ゆうべ、電気もガスも止まった部屋で、凍えながら砲声におびえていた人々がいる。
× ×
ぬくぬくとしたテレビ桟敷で、サッカーに絶叫してた身が何だか申し訳ないような。
× ×
ゼロコロナ政策はもう無理でしょう。広がる抗議への中国共産党の対応が見ものだ。
× ×
時節がら。〈来るわ来るわ喪中の報(しら)せ十一月〉寺田秀夫
11/29 火 朝刊
防衛費「GDP比2%」 首相が指示、大幅増額 27年度
廃炉原発の建て替え明記 経産省原案、「60年超運転可」も 福島事故後の政策、転換
悪質な寄付勧誘を規制 救済新法、閣議決定へ
折々のことば:2571 鷲田清一 人におだてられれば、ついその気になって割にあわないことや無理なことまでしでかすといった人物は必ずいて……
(竹永睦男)
(天声人語)白い紙に透ける怒り
白紙、と言ってもどこかの国の首相の領収書をめぐる話ではない。たくさんの中国の人たちが白い紙を手に手に掲げて抗議活動をしているという。政府の徹底したゼロコロナ政策への不満が激しく噴出しているらしい▼▼▼▼▼「白紙も模様の内なれば、心にてふさぐべし」。江戸時代の絵師、土佐光起(みつおき)はそう言ったという。怒れる中国の人が高く掲げる白い紙にその「心」を透かして見る。
11/29 火 夕刊
ウィンターリーグが熱い 野球選手たちのプロへの夢、沖縄に再挑戦の場
五輪談合、ADKなど新たに捜索
有効求人倍率、10カ月連続で上昇
個人情報巡り、メタに制裁金380億円
素粒子
原発延命をめざす経産省の計画にのけぞる。「次世代」の「安全神話」を見る思い。
× ×
原子力政策の大転換が内々の議論だけで拙速に進む。世論を見くびるにも程がある。
× ×
防衛費「GDP比2%」。必要性も効力も財源も不明瞭な「数字ありき」を危ぶむ。
× ×
電通に続いて博報堂も。五輪談合は業界ぐるみらしい。
11/30 水 朝刊
薗浦氏側、4000万円過少記載か 自民議員、地検が捜査 パーティー収入 秘書「本人に報告」供述
中国、デモ呼びかけ急拡散 「マラソン大会 白い紙持参 リツイート希望」
ピッチ上、沈黙の抗議 カタール人権問題に批判 サッカーW杯
折々のことば:2572 鷲田清一
祖父の中にあったのは、焼ける前と焼けたあと、という区分だった。
(星野博美)
(天声人語)あんかの思い出
もう寝なさいという声に押され、綿入れはんてんを脱いで布団に潜り込む。冷たさに、ううっと体が縮こまる。幼い頃の冬の思い出だ。格別に寒い夜に登場するのが豆炭(まめたん)あんかだった。真っ赤な炭を入れて留め具をパチリ。郷愁とともにぬくもりを思い起こす▼▼▼▼▼思い出すのは2011年の震災後の夜空だ。〈ひつそりと柿栗供ふる十五夜の月は節電の闇夜の明かり〉中山孤道。ネオンが消え、エスカレーターの止まった街で、もう電気を無駄遣いする暮らしには戻らないと誓った。あの思いを忘れてはなるまい。
11/30 水 夕刊
ハッとホッと、いま映すCM ACジャパン50周年、企画展
選挙日程表、秋葉氏「事務所が作成」
NATO、ウクライナの越冬支援
中国が有人宇宙船を打ち上げ
素粒子
ほかにも横行していそうな手口ではある。自民議員がパーティー収入を過少記載か。
× ×
朗報なれど、いちいち文科省が通知する話かねぇ。「学校給食で、おしゃべりOK」
× ×
どう裁くのだろう。死刑囚が絞首刑は残虐な刑罰を禁じた憲法に違反する、と提訴。
× ×
あすから師走。さて、忘年会は何人規模でやりますか。
12/1 木 朝刊
敵基地攻撃、自公が実質合意 抑止力高める必要性一致 安保3文書、明記へ
江沢民元国家主席死去 中国の経済発展推進 96歳
同性婚訴訟巡り「違憲状態」 家族になる制度なく「重大な障害」 同性婚認めぬ規定は「合憲」 東京地裁
折々のことば:2573 鷲田清一
家族という小さな共同体をうまく回転させるため、記憶担当者と忘却担当者で自然に役割分担をするのである。 (星野博美)
(天声人語)江沢民氏死去
「淡い紅を朱鷺(とき)色と呼ぶ。トキの美しい羽の色からだ。古くは日本書紀にも「桃花鳥」という優雅な名で記されたその鳥は、江戸時代まで日本全国で見られた。明治以降の乱獲で絶滅の淵に立たされる。2003年には、日本生まれの最後の一羽「キン」が36歳で死んだ▼▼▼▼▼隣り合う国同士が反目しつづけることを誰も望むはずがない。あのつがいのトキに込められたのは、不変の願いだったと信じたい。」
12/1 木 夕刊
絵本がくれた、オオカミの夢 バーで読み聞かせ
節電要請、きょうからスタート
NY株、700ドル超値上がり
NATO事務総長、中国依存を懸念
素粒子
「専守防衛」が崩れゆく。疑問を多く残したまま、自公が「敵基地攻撃」で合意へ。
× ×
理由は「抑止力」の向上。ならば、いずれ「究極の抑止力は核武装」と言い出すか。
× ×
きょうにも、国内のコロナの死者が5万人を超えそう。
× ×
ひょっとしたら、ひょっとするかも。あす早朝、眠い目をこする人が多いだろうな。
12/1 木 朝刊
中国ゼロコロナ、緩和の動き PCR縮小・ロックダウン一部解除・商業施設再開
被害者救済法案を提出 今国会で成立図る
大手電力3社に課徴金1千億円 カルテル疑いで公取委
折々のことば:2574 鷲田清一
三途の川をはさんでの、そんな人間同士のさしのつきあい。ともあれ、案外、さっぱりしたものなのですよ。 (津野海太郎)
(天声人語)トンネル事故から10年
乗っていたのは、シェアハウスに住む男女ら20代の6人だった。深夜ドライブに出かけ、夜明けの温泉につかった。富士山を眺め、帰る道すがら。心地よく眠る姿も車内にあっただろうか。窓にもたれ、未来を思い描く姿もあっただろうか▼▼▼▼▼遺族にとっては、時が止まったままの10年だったろう。悲しみは波のように寄せては返す。いつか穏やかな海となるまでの時の長さを思う。
12/2 金 夕刊
日本、決勝T進出 スペインに逆転、2―1 次戦クロアチア サッカーW杯カタール大会
課徴金対応、中国電2097億円赤字予想
円高急速に進行、一時135円台
米仏首脳、ロシアに妥協せぬ姿勢
素粒子
旧統一教会の被害者を幅広く救える法律に仕上がるか。国会での修正に目を凝らす。
× ×
1千億円もの課徴金を電力3社は払えるの。まさか、値上げの口実にはできないし。
× ×
「義務化」するのになあ。マイナカード普及に2兆円。
× ×
きのう「ひょっとしたら」と書いてはいたが、ほんとにひょっとしちゃうなんてね。
12/3 土 朝刊
敵基地攻撃能力、保有へ 防衛政策、大きく転換 自公合意
日本、劇的16強 スペインを逆転、首位通過 サッカーW杯カタール大会
救済新法、修正を検討 配慮義務規定の強化案 政府・与党
折々のことば:2575 鷲田清一
絶えず自分に対して「わたしは知らない」と繰り返していかなければなりません。
(ヴィスワヴァ・シンボルスカ)
(天声人語)W杯の快挙
「神の手が働いたんだ」。サッカー界のスーパースター、マラドーナが試合後に放った一言はあまりに有名だ。1986年のW杯メキシコ大会での準々決勝。イングランド戦で決めた1点目は、ゴール前の競り合いで、頭ではなく左手に当てたものだった▼▼▼▼▼ドイツとスペインという優勝経験国をやぶり、日本は決勝トーナメントに進む。この快挙ばかりは最新技術も予測できなかったに違いない。そこにこそ、スポーツの面白さがある。
12/3 土 be 朝刊
(フロントランナー)弁護士・紀藤正樹さん 霊感商法からの救済に奔走
12/3 土 夕刊
Kポップ踊りたい、アイドルみたいに 子どもも中高年も、教室盛況
(Photo Story)残したい、しま模様
他国へミサイルを撃ち込める国に、着々と変わりゆく。
× ×
「やーやー我こそは」と言うはずもなく。敵の「着手」を誰がいつ、どう見極める。
× ×
狙う対象は「個別具体的に判断」。曖昧(あいまい)さが破壊と殺戮(さつりく)の際限のなさを示している。
× ×
ウクライナがロシア本土へ反撃しない理由は、敵基地攻撃能力がないからではない。素粒子
12/4 日 朝刊
(黒田日銀10年 異次元緩和の光と影:上)円安、日本じゃ稼げない 労働市場、落ちていく魅力
ロシア産原油、60ドル上限 取引価格、G7・EU・豪が合意
(安保の行方 対中・対ロ戦略)中ロの接近は「脅威」
折々のことば:2576 鷲田清一
「写真って、生き方を肯定してくれたりもするんだねー…」 (真理絵さん)
(天声人語)東京五輪の公式映画 異例の2本立てである。河瀬直美さんが総監督をつとめた、東京五輪の公式記録映画をDVDで見た。「SIDE:A」では、子連れのマラソンランナーやシリア難民などの選手たちが描かれる。「SIDE:B」は組織委の幹部やスタッフ、市民らの光景だ▼▼▼▼▼記録映画で「全てを余すことなく」伝えるには、もう1本「SIDE:C」が必要であろう。欲とカネにまみれた群像劇を描くために。恐れるのは、それが前2本を上回る「超長編」になるのかもしれない、という点だ。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。