陶器や人形などを巧みにつないで飾った高さ10メートルの山車(だし)が進行する奇祭「茶わん祭」が4日、長浜市余呉町上丹生の丹生神社周辺で開かれた。長い歴史を持つ伝統行事だが、近年は人口減や財政難などから定期的に開催できず、他地区から参加者を集めるなどして5年ぶりに復活。普段は静かな集落に、大勢の観光客が詰めかけた。
祭りは、平安時代に製陶業が盛んだった上丹生地区で、陶工が神社に陶器を奉納したのが始まりとされる県無形民俗文化財。現在は地区の3集落がそれぞれ1年以上をかけ、皿や壺などの陶製品を人形や小道具と組み合わせ、民話や歌舞伎の一場面を再現した「山飾り」を制作。飾りつけ方は地元でも一部の人しか知らない「秘伝の技」で、飾りだけで7メートルの高さになる。
この日は、華やかな衣装で踊りなどを披露する子供たちに続き、それぞれの山飾りを載せた山車3基が丹生神社を出発。八幡神社までの700メートルを、ゆらゆらと飾りを揺らしながらも山車が絶妙のバランスを保って進んでいく様子に、何度もどよめきが起こった。
山車が到着した八幡神社では、山飾りを支える長い竹ざおが外され、それでも飾りが崩れない「匠の技」に、観光客らが惜しみない拍手を送っていた。