『大きな古時計』(おおきなふるどけい、英: My Grandfather's Clock)は、アメリカ合衆国のポピュラー・ソング。
作詞・作曲はヘンリ・クレイ・ワークで、1876年に発表され、当時アメリカで楽譜が100万部以上売れた。ワークがイギリスを訪問している際に、宿泊先のホテルの主人から聞いたエピソードにヒントを得て歌にしたものである。
内容 [編集]
注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。
「おじいさんが生まれた時から90年間[1](保富康午による日本語詞では100年間)ずっと時を刻み続けてきた大きなのっぽの古時計が、おじいさんが亡くなった後の今では、もう動かなくなっている」と言うのが、歌詞の内容である。
日本での受容 [編集]
1940年(お祖父さんの時計) [編集]
戦前の1940年に、吉本興業(東京吉本)所属の子供歌手兼タップダンサー・ミミー宮島による歌唱、門田ゆたか作詞、仁木多喜雄編曲で「お祖父さんの時計」としてリリース。1943年に製造中止となるまでに5173枚(2002年の音楽市場規模に換算すると5万枚に該当[2])のレコードを売り上げた。
このときの歌詞は原詞とは全く異なり、シンデレラをモチーフとしたものだった。「お祖父さんの時計」はコロムビアミュージックエンタテインメント(現・日本コロムビア)から発売されたオムニバスCD『舶来流行歌 笑・撃篇』に収録されている。
1962年(みんなのうた) [編集]
1962年にNHKのテレビ番組『みんなのうた』で、保富康午の訳詞によって「大きな古時計」として放送され、日本人の間に急速に浸透した。歌を担当したのは立川清登。
現在日本でよく知られている歌詞は、このときのものである。
原詞との相違点 [編集]
保富による日本語詞は、英語原詞に近いものだが、以下の相違点がある。
- 歌詞中のおじいさんの年齢は、原詞では90歳だが、保富による日本語詞では「90年では響きが悪い」との理由で100歳に変更された。
- 原詞では4番まであり、3番の詩は「おじいさんが時計を褒め称える」内容であるが、保富による日本語詞では3番が丸ごとカットされている。
- 原詞には「The old man died(おじいさんが死んだ)」という歌詞が頻繁に出てくるが、保富による日本語詞では保富の意向で3番(英語版の4番に相当)で「天国へのぼる」とあるのみで直接的には老人の死が表現されていない。
2002年(平井堅) [編集]
『大きな古時計』は、歌手・平井堅がカバーしたバージョンでさらに親しまれるようになった。
ライブで歌ってファンの間で徐々に話題を集め、2001年7月9日には(同曲が『みんなのうた』で紹介されてから40年を迎える)2002年にCD発売することが発表される[3]。そしてマキシシングルCDが2002年8月28日に日本でリリースされた。編曲は亀田誠治。オリコン4週連続1位(ちなみに100年以上前に発表された楽曲がオリコン1位になるのは史上初)、2002年度のオリコン年間チャート7位を記録する。累計出荷枚数は85万枚[4](90万枚[5]とも)。平井堅はこの曲で第53回NHK紅白歌合戦にも出場。2003年の第75回選抜高等学校野球大会開会式の入場行進曲に選ばれた。
オリジナルとの違いは、2番の一部だけサビがなく、3番でサビの最後の部分が2回歌われている。
シングル盤としての収録曲は次のとおり。
- 大きな古時計 - 保富康午による訳詞
- Grandfather’s Clock - 原詞(英語歌詞)※3番の歌詞は省かれている。
- 大きな古時計(Less Vocal)
- PAUL - 平井のオリジナル曲。かつて飼っていた犬に対する思い出をつづった歌で『大きな古時計』と曲のコンセプトが類似するという理由で収録された。
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選抜高等学校野球大会入場行進曲 |
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替え歌・パロディ [編集]
平井堅の『POP STAR』を替え歌した『VIP STAR』を歌ったkobaryuが、一級建築士らの耐震強度偽装問題を風刺した『大嘘つきな古狸』なる替え歌を歌い、2ちゃんねるで話題になった[要出典]。また、この替え歌を元ネタにした『大きなのっぽのライブドア』なるものも存在する。これは、2005年12月のライブドアの株主総会後の忘年会でkobaryuにより披露されたもので、歌詞はライブドア社員によるものであるという。翌2006年1月に堀江貴文元社長が逮捕された際に、関連するニュース内などで流され話題になった。
所ジョージの2006年発売のアルバム『安全第二』に、『大きな古時計』のパロディ『豪華な金時計」が収録されている。
2009年に日本テレビの『誰も知らない泣ける歌』で、伊藤秀志が大きな古時計の秋田弁バージョンを披露したことがある。そのとき、「フランス語に聞こえる」と紹介された。
続篇・アンサーソング [編集]
ワークが1878年に、古時計のその後を歌った続編 Sequel to "Grandfather's Clock"を発表した。しかし、前作のようなヒットには至らなかった。その続編では、新しい時計が壁にかけられて古時計が役立たずとなり、古時計はがらくた屋に売り払われ、バラバラに解体されたというのが歌詞の内容となっている。
In the Soupが2000年7月20日に発売したシングル『あの頃は〜大きなノッポの古時計〜』は、『大きな古時計』のアンサーソングである(イントロで『大きな古時計』の一部の歌詞を歌っている)。
絵本 [編集]
本曲を題材とした絵本。
クラシックにおいて [編集]
ピアノ伴奏つきのチェロソロ曲として、比較的初心者のチェロ奏者用によく演奏される。また4パートほどに分けてチェロアンサンブルとしても演奏される事がある。もちろん編曲の内容によっては相当な難易度となることもあり、プロ奏者がCD収載曲として選択することもある。
歌詞 [編集]
My grandfather's clock was too large for the shelf,
So it stood ninety years on the floor.
It was taller by half than the old man himself,
Though it weighed not a penny weight more.
It was bought on the morn of the day that he was born,
And was always his treasure and pride.
But it stopped short, never to go again
When the old man died.
CHORUS:
Ninety years with out slumbering, tick, tock, tick, tock
His life seconds numbering, tick, tock, tick, tock
It stopped short, never to go again
When the old man died.
In watching it's pendulum swing to and from
Many hours had he spent while a boy.
And in childhood and manhood the clock seemed to know
And to share both his grief and his joy.
For it struck twenty-four when he entered at the door
With a blooming and beautiful bride.
But it stopped short, never to go again
When the old man died.
CHORUS
My grandfather said that of those he could hire,
Not a servant so faithful he found.
For it wasted no time, and had but one desire,
At the close of each week to be wound.
And it kept in its place, not a frown upon its face
And its hand never hung by its side.
But it stopped short, never to go again
When the old man died.
CHORUS
It rang an alarm in the dead of the night
An alarm that for years had been dumb.
And we knew that his spirit was pluming for flight
That his hour of departure had come.
Still the clock kept the time with a soft and muffled chime
As we silently stood by his side.
But it stopped short, never to go again
When the old man died.
CHORUS
著作権情報 [編集]
JASRACによると、翻訳前の元々の作詞・作曲に関しては著作権は消滅しているが、日本語訳詞の保富康午(1984年没)については没後50年経過していないので、その分に関する著作権は有効である。
脚注 [編集]
関連項目 [編集]
外部リンク [編集]