新燃岳また爆発的噴火 空振ガラス割れ負傷者 規制区域4キロに
宮崎、鹿児島県境の霧島連山・新燃岳(しんもえだけ)は1日午前7時54分、強い揺れを伴う爆発的噴火をした。噴煙は火口上空約2000メートルに達して南東方向に流れた。1月26日以降の一連の噴火活動で爆発的噴火は4回目。空気振動(空振)は広範囲に広がり、鹿児島県霧島市を中心に窓ガラスが割れる被害が多数確認され、負傷者も出た。同市内の火口から半径3キロ内の立ち入り規制区域外まで大きな噴石が飛んでいる。
気象庁は1日午前11時20分、噴石飛来の警戒範囲を火口から半径2キロ内から4キロ内に拡大。これを受け霧島市は立ち入り規制をこの区域内に広げた。区域内には宮崎県えびの市、小林市、高原町、都城市と鹿児島県霧島市の一部が入る。噴火警戒レベルは「3」を継続。
鹿児島地方気象台によると、遠望カメラでは火砕流は確認されていないが、火口内の溶岩ドームの頂点部がなくなっているように見え、上空から観測調査している。
霧島市は、立ち入り規制区域外の林で直径約5メートルの穴が開いているのを確認。穴から蒸気が上がり、周囲に40-50センチの赤く燃える噴石が多数転がっていたという。
一方、空振の大きさは新燃岳の南西3キロ地点で458パスカル(パスカルは圧力の単位)を観測。一連の爆発的噴火で最大だった1月28日の約82パスカルの5倍以上を記録した。
この影響で、新燃岳南側の霧島市牧園町の医院「霧島温泉クリニック」で窓ガラスが割れ、入院中の92歳女性が顔や手を切る軽傷を負った。同市災害警戒本部によると、同市牧園町の丸尾地区を中心に、宿泊施設5軒で窓ガラス114枚が割れたほか、小・中学校4校や民家、店舗などのガラスも割れた。
空振は、宮崎市の宮崎地方気象台で確認されたほか、熊本県人吉市でも「窓ガラスがガタガタと10秒ほど揺れるのを感じた」という。
町民513世帯に避難勧告を出した宮崎県高原町では、勧告から2日目の1月31日夜も町総合保健福祉センターに400人以上が避難した。
噴煙は午前9時現在で火口上空約100メートルに収まった。鹿児島地方気象台は「噴火でエネルギーが解放され一時的に落ち着いている状況。今後も同程度の噴火が起きる可能性は十分にある」と警戒を呼び掛けている。
=2011/02/01付 西日本新聞夕刊=
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