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ゆるキャラとは、「ゆるいマスコットキャラクター」[1]を略したもので、イベント、各種キャンペーン、村おこし、名産品の紹介などのような地域全般の情報PR、企業・団体のコーポレートアイデンティティなどに使用するマスコットキャラクターのこと。そういったかわいらしいイラスト一般をさすこともある。そのためゆるキャラの元祖はたれぱんだという説もある。[要出典]
狭義では、対象が国や地方公共団体、その他の公共機関等のマスコットキャラクターで着ぐるみ化されているものに限られるが(後述の「ゆるキャラ三か条」も参照)、広義では大企業のプロモーションキャラクター等も含まれる。
概要 [編集]
サブカルチャー関連の用語の大半がそうであるように、「ゆるキャラ」という名称の考案者については諸説あり確定はしていない(杉作J太郎の名前が挙げられることもある[要出典])。ただ「一般にこの言葉を広めた」という意味での提唱者はみうらじゅんであるとするのが2010年現在の通説である[2]。「ゆるキャラ」という言葉自体も扶桑社とみうらじゅんによって2004年11月26日に商標登録されている(第4821202号)。これは無関係な第三者により商売に利用されることを防ぐためである[3]。
2002年(平成14年)11月23日に後楽園ゆうえんちスカイシアターで、『第1回みうらじゅんのゆるキャラショー』が開催された。
2007年からは鳥取県鳥取市の鳥取砂丘で、ゆるキャラ達の運動会「ゆるキャラカップ」が年に1回開催されている[4]。
2008年(平成20年)10月25日-26日に滋賀県彦根市で、『ゆるキャラまつり』が開催された[5]。『ゆるキャラまつり』は2009年(平成21年)10月23日 - 25日に第2回が開催されており、主催者側では今後も定期開催化して「ゆるキャラの"甲子園"を目指す」方針を明らかにしている[6]。
2008年の新語・流行語大賞にノミネートされた60語のひとつに数えられている。
ゆるキャラ三か条 [編集]
「ゆるキャラ」の提唱者であるみうらじゅんは、あるキャラクターが「ゆるキャラ」として認められるための条件として、以下の三条件を挙げている[2]。
- 郷土愛に満ち溢れた強いメッセージ性があること。
- 立ち居振る舞いが不安定かつユニークであること。
- 愛すべき、ゆるさ、を持ち合わせている事。
これに加えみうらは「原則として着ぐるみ化されていること」も条件に挙げている[2]。
条件に「郷土愛」が含まれていることからもわかるように、みうらの想定はあくまで「地方の村おこし・地域振興のためのキャラクター」であり、この定義に従えば全国展開する大企業のプロモーションキャラクターは対象に含まれない。しかし、2009年の『ゆるキャラまつり』にはNTTドコモの「ひつじのしつじくん」のような大企業のキャラクターも参加を認められており、対象の範囲はやや曖昧になりつつあるのが現状といえる。ただし『ゆるキャラまつり』の実行委員会ではこのようなキャラクターはイベント協賛企業のキャラクターとして参加を認めているため、一応「ゆるキャラ」との線引きはしているようだ。
民間企業が商戦などに用いるイメージキャラクターとゆるキャラとの相違点として、およそ以下のような特徴を挙げることができる。
クオリティのばらつき [編集]
専門のデザイナーやイラストレーターなどに委託して作製する場合もあるが、住民参加型行政の実現のため特定の行政目的(献血など)の普及啓発や地域主催のイベント(国民体育大会など)の認知向上などの手段としてキャラクターそのものを一般公募し、その中から選定するといったケースも多い。その際、応募する側あるいは選定する側において美的なセンスがやや不足している場合、いまひとつ垢抜けないものになりがちである(公募の場合は特に、結果として上がってきた「民意」を無下に拒むことはできない)。こうしたことから、団体間のキャラクターのクオリティにはかなりのばらつきがある。
また、マスコットキャラクターを着ぐるみなどで立体化したときの再現度にも優劣あり、もとのイラストでの等身が全く無視されて普通の人間の等身になったり、横から見ると全く立体感がなかったりといった、造形アレンジ技術の欠如がゆるキャラ感を強くしている場合もある。
キャラクターに対する団体の思い入れの強さ [編集]
一般にキャラクターの所属団体が特定の目的を持ってキャラクターを選定・作製・使用するケースがほとんどであり、それだけにキャンペーン等にかける当該団体の思い入れがより強く反映されやすい環境にあるといえる。このため、当事者の思いは十分くみとれるものの意匠を凝らしすぎた結果、見た者が一瞬思わず絶句してしまうようなものや「正直これはちょっとローカル色が濃すぎるのではないか」と思われるようなものもたまに現れたりする。
存在基盤の脆弱さ [編集]
所属団体の組織力の強さやPRへの力の入れ具合、財政力などによって存在が左右されるのもゆるキャラの大きな特徴の一つといえる。このため、作ってはみたもののほとんど認知されることもなくひっそりと消えてしまうような泡沫キャラクターも多い。また、行政改革が盛んな今日では自治体の合併や団体組織の統廃合に伴い、それまで当該部署のマスコットとして使用しそこそこ認知もされていたキャラクターがあえなく消えてしまうといったようなケースも生じる。さらに、政治的な背景を持って誕生したようなゆるキャラにとっては首長の交代などもその存続にとって大きな脅威となりうる。このように、ゆるキャラはさまざまな面において脆弱な存在基盤の上に存在しているといった特徴を一般に持っている。しかしその一方で、警視庁の「ピーポくん」(1987年4月誕生)のように誕生後20年以上経った現在、全国レベルにまで知名度が向上し携帯ストラップやタオルなどの関連グッズが大人気になるといったようなキャラクターもある。
特徴的なネーミング [編集]
まず何よりもキャラクター自体に親しみを持ってもらおうという配慮が働くためか、一般に「〜ちゃん」「〜くん」「〜りん」のように「ん」で終わるものや「〜ぴー」のように、長音で終わるといった名前をもつものが多い。また、ゆるキャラの中には家族を持っているものもいるが、家族の命名のしかたについてもメインキャラクターを想起させるような音プラス続柄といったように一定の傾向が認められる(一例として、台湾観光協会のキャラクターである茶さんとその家族参照)。
行政体質の温存 [編集]
キャラクターの下に商標登録日や登録番号などの情報がこと細かに記載されているものであるとかホームページでキャラクターを表示させると、そこにキャラクター選定の趣旨、使用取扱要綱、使用承認申請書や使用計画書の雛形などが添付されてきたりするものがあるなど[7]、かわいさだけに徹しきれずどこか行政本来の体質を引きずっているようなキャラクターも結構ある。
ゆるキャラ(R)さみっと協会 [編集]
2008年10月に滋賀県彦根市で開催された『ゆるキャラまつりin彦根~キグるミさみっと2008~』の実行委員が「ゆるキャラ」が商標登録されている事を知り、みうらじゅん事務所と「ゆるキャラ」の使用許諾のやりとりをする中で、地域活性化イベント及び関連事業については無償で使用して良いと許可を貰った。その話し合いの中で全国の地域活性化イベントでの「ゆるキャラ」の使用状況の把握と「ゆるキャラ」という文字にライセンシーマークをつけてもらう活動を依頼された。そこで、2009年に『ゆるキャラまつりin彦根~キグるミさみっと2008~』の実行委員を含む地域キャラクター管理をしている有志が集まり、みうらじゅんを特別顧問として迎え『ゆるキャラ(R)さみっと協会』を設立した。
ゆるキャラ(R)さみっと協会では、「ゆるキャラ(R)」の使用許諾とキャラクターイベントやセミナーの開催、キャラクターの育成や相談、キャラクターイベント開催の協力、全国のキャラクターのネットワーク化と交流のアシストなどを行ないながら、地域キャラクターを使ったまち興しを応援している。
主なゆるキャラ [編集]
詳細は「官公庁のマスコットキャラクター一覧」を参照
CD [編集]
- ゆるキャラ音頭/橋幸夫(2009年3月18日、ビクターエンターテインメント)
- 作詞:みうらじゅん 作曲:サワサキヨシヒロ
関連文献 [編集]
テレビ [編集]
関連項目 [編集]
脚注 [編集]
外部リンク [編集]