熱中時間「レトロ機械」 |
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番組HP: http://www.nhk.or.jp/nj/ |
2009年10月19日 (月)目に見える機械と人間の関係「レトロ機械収集熱中人」
今回レポートする「レトロ機械収集熱中人」の放送は |
■近代プロダクトの宿命・「壊れる」 | |||
ぼくは、学生の頃デザインの歴史を勉強したことがあります。その授業の中で先生が言った非常に興味深いひと言があります。 それは「工業製品は"古くなる"」という言葉。 曰く、工業製品以前の人間の生活においては、日用品は"古く"はならなかった。たとえば10年前の衣服が時代遅れになるなんてことはなかったし、茶碗や箸が壊れて機能しなくなるということは滅多にない。 もちろん、破損したりするけど、それを直して使うことは当たり前だった。重要なのは新品と時間を経過した物との間に、今普通にあるような大きな価値の差はなかった、と。 今思うといささか誇張した部分がある論だとは思いますが、いわゆる「消費社会」以前と以降では物に対する価値観に大きな隔たりがあるのは事実だと思います。 そういう環境の中でデザイナーは何をすべきか、という教育でした。 しかし、そういうプロダクトにこそ強い魅力がある。今回の熱中人はそういう「古くなる」宿命を負った近代のプロダクトを収集・修理する渕上さんです。 そして、取材は、そう、久しぶりに藤岡弘、さんです。 |
■収集修理したレトロな機械、なんと10000点以上! | |||||||||||||
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いやはや、すごい。これは実際に見に行きたいなあ。前述したぼくが受けたデザイン教育の一環でここを見せたらいいと思いますよ! 渕上さんの熱中歴は50年。建設業を営むかたわら、解体業者や古道具屋を通じて古い機械を集めてきたそうです。77歳を迎えた今では、建設会社の経営を息子さんに任せ、もっぱら機械いじりの毎日。まさに熱中人! 収集しているものは多岐にわたります。 | |||||||||||||
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渕上さん、いわゆる「機械」であればなんでも集めてしまうんだな、ということに気がつきました。「機械」であること。これには大きな意味があると思いました。 それにしても「何となく品物が寄ってくる」は多くの収集系熱中人が口にする名言ですね。 |
■目に見える「機械と人間の関係」 |
「機械的」という言葉があります。個別の事情を考慮しないで、一律に処理する、といったニュアンスで、あまりよい意味では使われないですよね。 しかし、機械ってそんな単純には機能しないんですよ。 部品にはばらつきもあるし、ある大きさと質量を持った物が動くということには、理論通りいかない場面がたくさんある。しかも冒頭で触れたように、古くなる。腐食したり摩耗したりする。工学をちょっと学んだ人なら「機械的」という言葉の意味が大間違いであることを知っているでしょう。 物理的な実体を持った物が動く仕組み、というものがもつ魅力とは、そういう精度と時間と経済性のせめぎ合いを、あるレベルで解決したときに放つオーラのようなものだと思います。渕上さんの熱中ぶりを拝見していて、この方はそういう部分に魅入られているんだろうな、と思いました。 スタジオで黒崎教授が、この時代の物には「機械と人間の関係が目に見える形で存在していた」とおっしゃっていました。このままならなさの解決と、なによりそれが役に立つということが分かりやすくそこに物体として存在している魅力ということでしょう。教授、良いこと言うなあ。 |
■修理を待つモノがまだまだたくさん | |||
渕上さんの物静かながら情熱あふれる語り口と、藤岡さんの圧倒される様子を放送でぜひご覧ください。 ダメ押しでびっくりしたのは、まだまだ修理するものが渕上さんの倉庫にあふれているさまでした。すごい! |
「レトロ機械収集熱中人」の放送は |
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投稿者:大山編集長 | 投稿時間:19:00
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